ryuryuの秘密基地

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夜の王 第弐話


           第弐話    白い扉の向こうの世界



          ☆★   えんかにゃとりゅうみゅ!!  ★☆

???   「はい!どうも皆さん始めましてお父さん(広海)に作られた物語を具現化する能力の召喚獣!”アリス”で~す♪」
???   「広海お兄ちゃんの妹”夢の支配者”美弥子(みやこ)でーす!」
アリス  「このコーナーは”夜の王”のキャラクタ-設定や武器設定、世界観設定や裏話、物語のほうでは省かれたとこらの話を入れたりするコーナーで~す」
美弥子 「第一回目はキャラクター”死者の女王”であり悪魔長であるナイさんです!」
アリス  「ナイさんは悪魔であり悪魔には禍々しい能力が備わっている人がいます。」
美弥子 「ナイさんのあの第壱話で首を切られても死ななかった能力がそうですね?」
アリス  「はい。彼女の能力は”生死”をつかさどる能力で生き物の生き死を操ることが出来るんです、なので彼女が首を切られても死ななかったんですよ。」
美弥子 「なるほどそれはべんりなのうりょくですね!」
アリス  「そうなんですよ!それにこの能力は生死を操ることが出来ることだけあって自分だけじゃなくって他の生物も生き返らせたり命を奪ったり出来るのです!」
美弥子 「すごいです!その能力があれば無敵です!」
アリス  「まあ出も少し欠点があって・・・。」
美弥子 「欠点ですか?」
アリス  「実は自分以外の生死を操るのは範囲内で無差別に行われるんです。なのでもし範囲内に死骸の一部でもあればそれが地上最悪の化け物でも蘇らせてしまうんですよ。」
美弥子 「ほわ!?」
アリス  「なのでよっぽどのことがない限りは使えないんですよ。」
美弥子 「なるほど・・・。」
アリス  「次はナイさんの武器と防具です。ナイさんの武器は”切り裂きジャック”通称ジャックです。」
美弥子 「これって今回の話しででてくる武器ですけどネタバレしちゃっていいんですかね・・・。」
アリス  「ま、いいんじゃない?」
美弥子 「はあ・・・」
アリス  「ジャックの形状は散髪屋の鋏で、性格はとても凶暴です。」
美弥子 「鋏なのに自我があるの?」
アリス  「はい、というかお父さんが作るものすべてに自我があるんだけどね」
美弥子 「へぇー・・・」
アリス  「話し戻すけどジャックの能力は血を吸うとパワーアップするんです!」
美弥子 「吸血鬼!?」
アリス  「ちがう!で、次はナイさんの防具”黒騎士”です。
美弥子 「なんか強そう!」
アリス  「黒騎士はお父さんの作った物の中の傑作品の一つで、炭素をたっぷり含んだ金属でできているとても強度が高いくしかも!血を吸う事で壊れた部分が自動修復されるのです!!」
美弥子 「すご!!」
アリス  「まあこんな感じですかね。ナイさんのしゃべり方は歌っているわけではなくものすごく軽いしゃべりかたなだけです。私実はこの人あまり好きじゃないんです。」
美弥子 「どうしてですか?」
アリス  「いえないんですが、お父様が寝てる間にあんなことを、あんなことを・・・羨ましい!!!」
美弥子 「お兄ちゃんが寝ている間に何されてるの!?」
アリス  「フシャー!!!」
美弥子 「ああもうお兄ちゃんの昔の写真上げるから落ち着いて!」
アリス  「こ、これは!お父様が4歳の頃の写真!?しかもウサギの人形抱いて寝てる!かわい~♪」はあはあはあはあ・・・
美弥子 「さてアリスさんが落ち着いた(めちゃくちゃ興奮してるけど・・・)ところで第弐話スタートです!」
アリス  「ああ、かわい~」じゅるり








広海たちが扉を抜けるとそこは丘の上だった、そこから円形の壁で囲まれた街のようなものが見える。空は暗くどうやら向こうの世界と時間軸にはあまり差がないらしい。
「ここがあなたの世界ですか?」
「はい、そうです。この時間帯は夜行性のモンスターが活発な時間なので少し急ぎましょう。」
広海達はホルンについていき街に向かった。
向かっている途中、ところどころで人よりも大きな蛇や大百足、動く植物など向こうの世界ではいない生物が大量に見かけた。襲ってきた生物は問答無用でナイが殺していったので全員無傷で街の前までつくことだできた。
街の入り口には男の兵士と思われる者が二人並んでいてホルンが広海たちの説明をしてくれたおかげですぐに街に入ることができた。
「それにしてもこの壁、ベルリンの壁みたいだね♪」
ナイは壁のほうを見ていう。
「べるりんの壁?」
ホルンは首を傾ける。まあ当然の反応だ、異世界に神の力をかりにいくのに異世界の歴史を詳しく知る必要はない。
「僕たちの世界のある国を一時期二つに分けていた壁のこと、その壁ができたせいで家族、兄弟などがばらばらに分けられてしまったことも少なくはなかったんだ」
「異世界でもそういう歴史があるんですね・・・」
ホルンは馬車を止めて王宮まで乗せて行くようにいう。
広海たちはその馬車に乗って街(後で聞いてみたら国だったらしい)の中心にある王宮へと向かう。

馬車に揺らされて二時間・・・馬車は王宮の私有地に到着しホルンが帰ってきたことを伝えるとすぐに王宮の私有地に入ることができた。
そこからさらに三十分、やっと王宮についた。
広海たちは馬車から降りて王宮の中へと入っていく。
王宮の中では使用人たちともわれる人たちが両方の壁際にずらっと並んでいた。
「「「「お帰りなさいませホルン様」」」」
一人の眼鏡をかけたメイドが前に出てくる。
「ホルン様、ガルド様がお呼びです、それと後ろの方たちはどなたでしょう?」
「この方たちは異世界から来ていただいた神の使いたちです。」
使用人たちはざわついた。見るからに12くらいな仮面をかぶった子供と18,19くらいの女性二人がこの世界を救うために派遣された神の使いといわれれば誰が信じるだろうか。
「失礼しました、皆様もガルド様にお会いしてきてください。」
広海たちはホルンについていき王室に向かう。

王室の中には、美術品などが置かれていて奥の王席には一人の男が座っておりその横には初老の執事と思われるものが立っていた。
広海とアイルは片ひざを立てて座る。
「顔を上げよ」
二人は座ったまま顔を上げる。
「よくぞ帰ったなホルン、でその後ろの若者たちは何だ?」
「異世界の神の使いたちです。」
「ほお・・・」
がるとは広海たちを見回す。
「こんなガキと女たちがか?まあいいためせばわかることだ、ホルンそいつらを客室へ連れて行け」
「はい」
ホルンは広海たちを連れて王室を出る。
「さて、あいつらをどうやって試すか・・・」

広海たちはホルンに連れられて客室にきた。
「今日はここで寝泊りして下さい。」
客室は大体旅館の一室くらいの広さがあった。
「ありがとうございます」
「あの、少し聞いてみたかったことがあるんですが・・・」
「何?♪」
「皆さんはどういう理由でお会いしたのですか?」
「いいけど何で?♪」
「いえ、なんだかまったくつながりがあるように見えなくて・・・」
普通は天使と悪魔と聞けば普通敵対しているって思うのが普通だ。
「あたしたちの世界では天使と悪魔は手劣りあっている関係で、あたしたち悪魔は幸福が大きい人間に不幸の力を渡す、天使はそれとは逆のことをしているんだ♪それで天使と悪魔はいつも近くにいて、あたしと力がつい会うのがアイルだと判断されてアイルと一緒にいるわけ♪それである日あたしたちの世界に大量の巨大な虫が現れる事があったんだ♪その話は去年の夏の話なんだけど・・・」

時間をさかのぼって一年前の夏、ないたちはある公園で巨大な虫たちと戦っていた。
虫たちはどんどんと湧き出てきて押されていた。
もう武器がぼろぼろでもうだめかと思ったそのときどこからか歌が聞こえて黒い霧が突如発生した。
ないたちはそれが虫たちの仕業だと思い構えた、しかし一向に攻撃がこない。
歌が聞こえなくなり霧が晴れていきそこには大量の剣が刺さっていて当然巨大な無視は串刺し状態になっていて全滅していた。
空には半分が黒で半部が白い仮面を被った天使と悪魔の羽が生えた少年が空を飛んでいた。

「その光景を見た私たちはそれ以来その少年を見張ることになったんだ♪」
「その少年って・・・」
「そう、広海のこと♪」
二人は広海のほうを見る、広海は眠そうに目をこすっていた。いつもなら彼はもう眠っている時間だがしかし彼はがんばって起きていたのだ。
アイルはベッドまで広海を連れて行き寝かした。
「それじゃあもう私たちも寝るね♪」
アイルとナイもベッドのある部屋に向かった。結局ナイはずっとため口で話していたがよかったのだろうか?
・・・
・・


次の日の朝、広海は目を覚ましまわりを見回す。
そして昨日何があったのかを思い出た。
暇なのでバックの中からスケッチブックを出して窓の外の風景を書いていく。
2時間ほどたつと女の使用人と思われる人が部屋に来た。
「お食事ができましたのでお呼びに・・・あら」
使用人は広海の描いている絵を見た。
その絵は白黒だがとても綺麗にできていてとても存在感のある絵だった。
「絵、お上手なんですね」
広海はもくもくと絵を完成させていく。
そうしているうちにナイとアイルが起きて来て広海を連れて食事へと向かった。

食事が終わると広海たちは馬車に乗り闘技場へと向かっていた。
使用人の話によるとこの世界を救えるかどうかを試すために闘技場で魔物や魔族と戦うことになったらしい。
広海は馬車の窓から外を見た。昨日の夜は暗くてよく見えなかったが、町並みは昔のフランスの街に近くいたるところに水路が通っていた。
水路の水は綺麗で水はガラスのように透き通っていて魚が泳いでた。水路の部分も掃除が行き届いているようで苔ひとつない。
ふと上のほうを向くとバックをしょった白い鳥が何羽も飛んでいた。
鳥は家の壁についている穴の前にとまりバックから手紙や小さな小包を出してその穴に入れ他の家に飛んでいく。
多分この鳥たちは郵便の配達をしているのだろう。
広海はその鳥が家にある穴に手紙を入れる姿をスケッチブックに描いていった。
三十分ほどすると馬車は白くて円柱の形をした天井がない建物に着いた、多分ここが闘技場なのだろう。
中に入ると少し狭いような気がするが通路があった。
通路には看板が立っていてこの世界特有の文字で「闘技場観覧席」と書かれている。
広海たちは入り口に入って正面のところにある「参加者及び関係者以外立ち入り禁止」とかかれた木でできたプレートがついている扉に入るように言われた。
中にはいつとそこには木でできた椅子が六つ並んでいて壁に木製の戸棚があるだけの簡素な造りの部屋だった。
部屋の真ん中には水晶のような物が浮いていて壁には魔法陣が書かれている。
「なんだろうこの水晶みたいなの」
アイルはその水晶に触れる、そして目に魔法陣が現れる。
「通信系の魔法の一種、これに別の場所の場所を映し出したり音を出したりできる。簡単に言えば生中継のテレビ」
「へー」
広海は水晶を覗き込んだ、確かに競技場のような場所を映し出している。
どうやら戦いの様子がここから覗けるようだ。

一方そのころ王族用観客席にはホルンとガルドが座っていた。
二人は少し眠そうだ。
「寝不足か?」
「お父様こそ」
昨晩二人は何か大きな魔力が集まってくるような感覚がして眠ることができなかった。
「昨日の夜のあれはいったいなんだったんだ?」
「それにしても今回は観客が多いですね」
ホルンは観客席を見渡す。
観客席はほとんど埋まっている状態で今回のチケットの売り上げは過去最大を記録していた。
「そんなもの当然だ。何背今回は異世界の神の使い(と思われる奴ら)に加え相手の魔物と魔族は凄い奴らだからな」
「その凄い奴らっていったい・・・」
「今ここで言ってしまうと面白くないだろ?楽しみに待っているんだな」
「・・・」
ホルンがその言葉に少し不安を残したまま広海たちに向けての試練が始まる。

闘技場の真ん中の上空に丸い大きな水晶が現れてそこから音楽がなり始める。
「皆様大変長らくお待たせいたしました!これより第二十七回闘技大会を始めます!」
観客たちの盛大な拍手と歓声が聞こえる。
「司会を務めますのは私コドレですが、本日はなんとゲストとして異国から姫様が起こしになっております、武力の大国と呼ばれる最強の大国の姫君、スエラ・C・レオン様です!!」
観客席から「おおー」という声が聞こえる。
「ふん、われの紹介などどうでもよい、それよりはよ始めよ」
「・・・それでは第一回戦をはじめましょう!一人目のチャレンジャーは、異世界の天使長”白銀の鈴”アイル!!」
闘技場の壁に魔法陣が現れそこから白鳥のように美しい羽を鎖骨らへんから生やしたアイルが出てくる。
その美しい姿に観客たちは声が出なくなる。
「・・・・」
「こいつはすごいな」
「・・・」
「おいどうした?」
「は!す、すみません。ええー対戦相手は”地獄の門を護りし者”ケルベロス!」
アイルのいる側の反対から魔法陣が現れその中から鎖につながれた三つの首を持つ黒い大きな犬、ケルベロスが現れる。
そのケルベロスに鎧で身を固めた男たちが近づき鎖をはずしていく。その様子からしてかなり危険なのだろう。
「ところでなぜ地獄の門番とも呼ばれるケルベロスがこんな所に居るのだ?」
「えーその分につきましては実は今あそこにいるケルベロスは世代交代の終わったケルベロスと聞いております」
「世代交代などする必要があるのか?」
「はい、いくら地獄の番犬といえどもやはり老いには逆らうことが不可能でございます。なので百三十年ごとに次の世代のケルベロスへと交代するのです。」
「なるほど・・・」
「まあ、いくら世代交代をした後のケルベロスであっても世代交代したのはつい三週間ほど前なので油断できませんがね」
「ほう、そうかなら少しは楽しめそうだな。」
鎧を着た男たちは鎖をはずし終わるとそそくさと退却していくが、少し遅く退却しだした男がケルベロス二蹴られて足を折ってしまい他の男たちに運ばれていく。
「えー、少々事故が発生いたしましたが、第一回戦を始めさせていただきます。」
コドレがそう言うと水晶に何か記号が表れる、多分この世界の数字だろう。
「「「三」」」
水晶の中の記号が変化する。
「「「二」」」
記号がまた変化する。
「「「一」」」
「「「すたーと!」」」
合図とともにケルベロスはアイルに襲い掛かる。
アイルは剣を抜きケルベロスの一撃を防ぎ切りこむ。ケルベロスは前足で地面をけり後ろに飛ぶ、アイルの剣はケルベロスの右前足に軽く傷口を作っただけだった。
そのように見えた。
ケルベロスは地面に着地する。
  ビキビキ!!
ケルベロスの右の前足が着地した瞬間に割れた。
アイルが傷つけた部分から下が凍っていたのだ。
右前足が割れて体から離れたせいでバランスが崩れ、倒れる。
アイルはその隙を見てケルベロスに真上から剣を振り下ろす。ケルベロスはそれを歯で受け止めるが、受け止めた場所から徐々に凍っていく。
ケルベロスはすぐに剣を放しなんと後ろに飛ぶ。真ん中の首の口の周りは凍り付いている上に右前足はなくなってしまっていてそこから徐々に凍傷が進んでいっていて、今かろうじて立ってはいるが、動けなくなるのも時間の問題だ。
アイルが空中を切ると氷柱のような物が現れてケルベロスのほうに飛んでいく。
ケルベロスはそれを避けるが、アイルが剣を持っていないほうの手を引くと氷柱が割れて四方八方に飛び散りそのいくつかがケルベロスに刺さる。
アイルはケルベロスに近づきとどめを刺すように剣を背中に突き刺した。剣は深く刺さり腹まで貫通する。
そしてケルベロスの体はじわじわと凍りつき、動くことがとうとうできなくなった。アイルはケルベロスから剣を抜いて背中からおり剣を鞘に納める。
 カチン!
アイルが剣を鞘に収めると同時にケルベロスが粉々に砕けた。
「勝者白銀の鈴アイル!」
観客から声援が聞こえる。
アイルは再び現れた魔法陣の中に入っていく。
「えーコート整備のためしばらくお待ちください」
先ほど鎧を着ていた男たち(今は鎧を着ていない)がコート整備のために出てきた。
「さて第一回戦いかがだったでしょうか?」
「うむ、一方的な戦いだったが少しは楽しめた。少しアイルとやらが持っていた剣についてなんだが少し疑問に思うことがあってな」
「と言いますと?」
「武器には、純器、魔器、神器、憑器などがあるのを知っているな」
「はい・・・」
「魔器や神器、憑器は普通使用者が持つ魔力や能力を注ぎ込むことによって武器に備わる力を発揮することが出来るのだがあの剣へとの力の流動が感じとることができなかったのだ。」
「どういうことでしょうか?」
「つまりあれは魔器や神器、憑器などではなく、また別の何かと言うことになる。」
「・・・大変長らくお待たせしましたコート整備が終わりましたので、第二回戦を開始しようと思います」
「・・・話わからなくて逃げ出したな?」
「いえいえ決してそんなことは・・・」
「逃げ出したな」
「はいすみませんでした・・・」
「まあよい、さっさと始めよ」
「はい、第二回戦二人目のチャレンジャーは異世界の悪魔長”死者の女王”ナイ!!」
壁の魔法陣からナイが現れる。ナイの右腰にははさみを挿したポーチをつけている。
観客の男たちから「おお~」と言う声が聞こえる。
「大和撫子の次は巨乳女か・・・」
「対戦相手は”アルスタの猛獣の王”サアベルタイガー!!」
もう片方の魔法陣から赤い鬣と長い犬歯が特徴のヒョウのような生物が出てきた。
「今度の女には興味がないのだな」
「ただ胸がでかいだけですからね、それでは第二回戦始めさしていただきます」
「「「三」」」
「「「二」」」
「「「一」」」
「「「すたーと!」」」
第二回戦がスタートした。
ナイは鋏をポーチから出す。
「行くよジャック♪」
ナイはいつの間にかサアベルタイガーの後ろにいた。
そしてサアベルタイガーの腹から大量の血とともに内臓が出てくる。
あまりにも早すぎて誰も見ることができなかった。
サアベルタイガーはそのまま地面に倒れて動かなくなった。
「こんな雑魚物足りないね♪お前もそう思うだろジャック♪」
ナイはサアベルタイガーに鋏を突き刺した、サアベルタイガーはどんどん干物のように乾燥していきそれにともなって鋏の形が変化していく。
「し、勝者”死者の女王”ナイ!」
ナイは鋏をサアベルタイガーから抜きポーチに戻して魔法陣の中に入っていく。
その後に男達が出てきて死体の処理にかかる。
「今の見えましたでしょうか・・・」
「かすかには見えたが、しかしあの鋏先ほどの剣と同じでまったく魔力を注ぐことなく力を発揮している、たぶん同一の者が作った可能性が非常に高い」
「少しあの鋏のことをジャックと呼んでいた事も気になりますね」

そのころ王族用観客席では
「お父様これでお分かりくださいましたか?」
「ああ、だがあいつらが強いのもあの武器のおかげかも知れぬぞ?」
「しかし・・・」
「お前はもしかしてあの小僧を戦わせたくないのか?」
「!!」
戦わせたくないのは昨日ナイから聞いた話が本当であったとしてもまだ十五にもなっていない子供であり、そんな子供にこんな危険なことをさせるわけにはいけないからだ。
「もしあの小僧が死ねばそこまでだ、なにあの小僧が「参りました降参です」と泣いてわびれば生かして奴隷にしてやってもいいがな」
ガルドはがっはっはと笑う。
だが二人がこの後思っていなかった方向へとことが進むことになった。

「さー、ていよいよ最終戦になりましたが・・・はっきり言ってあんま最終戦は乗り気になれませんね・・・」
「いいからさっさと始めよ」
「それじゃあ最終戦を始めます、異世界の少年”夜の王”アサクラ ヒロミ」
魔法陣から刀を一本腰につけた広海が出てくる。
観客とスエラは呆然とした。
「「「・・・」」」
「正気か?」
「え?」
「この国の王は正気かと聞いているのだ!」
スエラはコドレに怒鳴りつけた。
「知りませんよ!大体この国の王は今日までほとんどの国民に顔すら見せなかった王ですよ?あくまで国民の一人でしかない私がそんなこと知るわけないじゃないですか!」
「まあよい子供相手にそれほど強いものは出してはこんだろ」
「そうでもないようですよ」
「何だと?どれっくらいの相手だ?」
「はっきり言って子供虐待じゃ済まされないほどにね、後々国民から反逆があるくらいの相手ですね。」
「は?」
「ええ一様名前言いますね・・・”最強のゴーレム”といわれる動く石造キングゴーレムです」
魔法陣の中から広海の二十倍以上のでかさもある石造が現れる。
「ふざけておるのか!!」
「知りませんよそんなの」
水晶のカウントが自動で減っていき強制的にスタートされる。
石造は広海に向かって拳を振り下ろす。
全員がもうだめだと思った瞬間だった。
「@@@@@ @@@ @@@@@@」
広海が何かを言うと石造の腕は広海に当たるすこし手前で止まる。
「@@@@@@@@ @@@@@@@  @@@@@@ @@@@@@@@@@」
広海が何かをまた言葉をはっすると石造は広海を殴ろうとしていた手で自分のもう片方の肩を殴り破壊する。
広海は外部から石造に命令を送って石造を操作していたのだ。
石造は自動的に修復を始めたが広海がまた言葉を発すると修復が止まる。
広海は刀を抜いて石造の胴体の部分を切った。
そこから赤い水晶が見える。その水晶をきろうとした。
そのときだ。
突然石造が再び動き出す。
広海は振り落とされて地面に落ちる。
石造は腕をもう一度振り下ろした。
「@@@@@ @@@ @@@@@@」
再び言葉を発するが今度は止まらない。
広海はそれを避ける、後ろではなく前に。
そして足の人間で言う太もも辺りを刀で切った。
石像は片足を失ったせいでバランスを崩して倒れる。
広海は倒れた石像の上に乗り石像の中にある赤い水晶を割った。
石像は、間接部分が全て外れて動かなくなる。
「勝者アサクラヒロミ!!」
「「「うおーーー!!」」」
観客から歓声が聞こえる。
誰があの巨大なゴーレムに広海が勝てると思っていただろうか?誰もが予想していなかったことが今目の前で起きたのだ。
「・・・これはもうすごいとしか言いようがありませんね」
「そうだな、まさかあんな子供がゴーレムに勝つとは・・・はじめはどうなるかと思った」
広海は魔法陣の中に入っていく。
「それにしても全員があのよくわからない武器を持っていましたけど結局あれはいったい何なんでしょうね」
「さあ?、私が知るわけないじゃない」
スエラは席を立った。
「どこへ行くのですか?」
「勝者たちがいる控え室よ」
「そうですか」
スエラはドアを開けて出て行く。
「それではこれをもちまして第二十七回闘技大会を終了させて頂きます」

スエラは三人がいる控え室に向かっていた。
するとホルンが控え室のドアの前にいた。
「あらどうしたの?」
「えっとあのその・・・三人にちょっと会いに来たんですが少し入りずらかったんで・・・」
「ふーん・・・」
スエラがドアを開けて部屋にはいる。その後ろから少し控えめに「失礼しマース」と小さな声で言って入る。
中ではナイが広海に膝枕をしてあげていてアイルは広海が持ってきたスケッチブックを見ていた。
広海はぐっすりとアイルのひざの上で寝ている。
「眠っちゃってますね」
「久しぶりに戦ったからね♪この子は作ったり直したりするのが専門だからね♪」
「ということはまさかお前たちが使っていた武器はこの子が・・・」
「うん、そうだよ♪」
「・・・」
スエラは広海を見た。この子がいまだにゴーレムを倒したことが信じられないのだ。
「仮面、はずしてみてもよいか?」
「かまわないよ♪」
スエラは広海の仮面をはずす。
仮面のしたは顔の形が整った少し女っぽいかわいい系の少年の顔だった。
「なぜこの子は顔を隠しているんだ?」
「実は顔を隠してるんじゃないよ♪」
「?」
「その仮面被ってみて♪」
スエラは言われるままに仮面をつけたが、しかしスエラはすぐに仮面をはずす。
仮面を外したスエラはすごく息切れをしていた。
「どうだった♪」
「も、ものすっごい量の魔力を一気に吸われた感じだ。」
「正解♪それつけている人の魔力を吸い取るものなんだ♪」
これをずっと付けてるってことは相当な魔力量になるな。」
「そうだよ♪まあそっちのお姫様はもう実感しているかな?」
「え?あ・・・・」
ホルンは昨日の夜に集まってくるような感じがした膨大な魔力のことを思い出した。
「まさかあの魔力って・・・」
「そう、広海の魔力回復だよ♪」
「やっぱり・・・」
この話でホルンは自分が予想していたのよりもとんでもなくこの子が危険なことがわかった。
「ところで何でお二人さんはここに来たのかい♪」
「ああ、そうだ実は魔王を倒すために旅に出た者たちが集まる会のようなものが我が国で行われるのでな、それにお前達を招待しに来たのだ。」
ナイの表情に笑みが見えた。
「残念だけど、あたしとアイルはいけないよ♪」
「なぜだ?」
「あたしたちの世界のほうでも大変なことが起こったらしいから、あたしとアイルは帰んなきゃいけなくなったんだ♪」
「え?じゃあこの世界の件は・・・」
「大丈夫、この子が引き受けてくれるって♪」
ナイは広海の唇を指でなぞる、すると広海がないの指をなめはじめた。
「・・・」
「これは広君の昔っからの癖♪寝ているときに唇を指で触るとなぜかぺろぺろしてくるんだ♪」
「はあ・・・」
「まあ広君のことしばらくよろしくね♪」
「ああ、わかった。ところでそちらのほうはさっきから何を見ておるのだ?」
「絵」
アイルは簡単に答える。
「・・・誰の絵だ?」
「広海の」
「少し見せてもらってもよいか?」
アイルはスケッチブックを閉じてスエラに向けて渡した。
どうやらいいらしい。
スエラがそれを開くとホルンも後ろから覗きこむ。
そこの始めのほうのページには彼女たちが見たことのない風景が描かれていた。
それは向こうの人間からすればごく当たり前のビルの立ち並ぶ町の夜景だが、こちらの人間からすればとても珍しい物だ。
スエラはさらにページを進めていく、するとナイの描かれた絵を発見した。
スポットライトが当てられた桜の散る木下で着物を着たナイが舞を踊っている姿を描いた絵だ。
その次のページにはカフェエプロンをつけた女性(龍介)がケーキを作っているときの絵だった。
さらにページを進めていくとこの国の城の庭の風景が描かれた絵や街の家に郵鳥が手紙を配達している絵などもあった。
どれもとてもうまくかけている。
「すごい・・・」
「これ何枚かもらってもよいか?」
「それはこの子に聞いて♪」
ナイは広海の口の中に入れていた指を出して自分の口に入れ指についた唾液をなめ取った。
「「---!」」
二人は顔を赤く染める。
ナイは広海の肩をたたいて起こす。
「あたし達そろそろ行かないといけないからゲート用意してくれる?」
広海はうなずいてよろよろと壁に向かって歩き壁に触れる。
「召還”リターンゲート弐”」
壁に黒い扉が現れひとりでに開く。
ナイとアイルはその扉に入っていきそして扉が閉まり始める。
「それじゃあね広海♪」
「・・・」
アイルは無言で手を振った。少し表情が緩んでいた気がする。
扉は完全に閉まり消えていく。
「忙しくなりそうですね。」


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