笹本敦史のブログ
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福祉系大学に入学しながら資格も取れずに卒業した橘圭太は、警備員の仕事で稼いだ金をパチンコで使い切るような生活をしている。 そこへ面識のない母方の祖父を名乗る葉書で「引き継いでもらいたいものがある」と連絡がある。いくらかの金になることを期待して圭太は祖父を訪ねることにする。 ということでストーリーが展開するのだが、実は祖父はすでに亡くなっており、葉書を寄越したのは、祖父の晩年をともに過ごした男で、男は祖父の戦争の記憶を圭太のものとして、圭太に語るという、やや込み入った構造になっている。年代を矛盾なく設定するためであると同時に記憶の継承というテーマを強調する意味もあるのだろう。 そのためにプロットが強い、説明的な文章になってしまっているように感じるのだが、謎がしだいに解けていく展開は飽きさせない。 豊かで清潔な街と地続きの村。南国のリゾートと時間でつながる戦場。楽園とはそんな位置にあるのだということを考えた。
2017.04.30
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