「十二支のお正月」より
正月考その１ 初日の出
その２ 年神
その３ 鏡餅
その４ 初詣
その５ 若水
その６ 年男
その７ 屠蘇（とそ）
その８ 正月の遊び屋外
その９ 注連縄（しめなわ）
その10 門松
その11 初夢
その12 正月の遊び屋内
その13 お年玉
その14 お節（おせち）
その15 仕事始め
その16 鏡開き
その17 どんど焼き
初日の出
地球が太陽の回りを一回りするのが１年であるその間に太陽の高さ（昼の長さ）が移り変わり季節がめぐる。古い暦では立春が正月であった。
農耕が重視され太陽との関係で自然が新しくよみがえる区切りであった。
現在の暦の元日は自然現象による節目の意味はない。しかし気候風土をこえた地球の１年の初日。その日地平水平から顔を出す太陽が初日の出。
年神
正月様・若年さま・歳徳神ともいう。
正月行事は年神が迎え来る年の幸を祈るものであるが年神そのものは年始に家々を訪れ人々に活力を与える農耕の神（田の神）とも山海の神とも先祖神とも考えられている。つまり年神とは自然そのものと解してよく、山海里の幸を供え又食す正月行事は我々もまた自然の中で生かされていることを喜び祝う祭りなのであろう。
屠蘇
正月松の内に飲む薬酒。年少者から年長者へ飲み進むのが決まりである。あらかじめ調合された屠蘇の薬を元日の朝早く銚子の酒に浸しておくものだが飲兵衛は朝から酒が飲めることをよいことに正月の酒ならなんでも屠蘇というと思いこんでいる。
もうじゅうぶんと いいながら ひとり手じゃくで 飲みどおし
さけるにさけられぬ このよいごこち 新年そうそう よいつぶれ
大とらいっちょう できあがり これがほんとの めでタイガー
お年玉
正月の贈物。
本来は年の始めに万物がよみがえるのと同様に人もまた年神から１年の新しい生命力を授かる意味をこめて年神に供え物である餅を家族ひとりひとりのためにもこしらえ、年長者が配ったもの。年玉は１年の活力・年魂なのである。
餅がやがておもちゃや金銭に変わったのが今日のお年玉である。
お節（おせち）
本来は五節の料理のことであるが五節のうち、とくに年の始めが重んじられ、おせちといえば正月料理のことになった。お決まりのものから海山里の幸など内容はお好み次第である。色取りよければ栄養バランスにもかなっているはずで重箱に美しく盛られたお節は食欲をおこし、支度片付けも少なくてすみ、みんなが楽しく心置きなく食すことできる。
これこそ健康の第一であり、願わずとも１年の活力は訪れるはず。
よちどりみどりの 重箱あけりゃ 色とりどりの 節りょうり
負けより 勝ちかち 栗きんとん
子宝たくさん 数の子 だから
いわしは ひりょう 田作り ごまめ
まめに なれよと 黒豆をにて
にたもの どうしで よろこんぶ
輪にきる 大根 みんなの和
根もふかく ひらきごぼう 運ひらき
人参れん根 根気が でます
丸もち もち月 欠けはなし
伊勢えび 長寿 こしまがるまで
お味も けっこう おめで鯛
注連縄（しめなわ）
正月の門戸に注連縄を張るのはその家が年神を迎えた聖域であることを示すものでもあるが、本来は家に近寄る悪鬼をおどししめだすために縄である。縄にたらす和紙の幣（しで）は悪鬼をおどす稲妻をかたどったもののように見える。更に注連縄に歯固めなどの縁起物をつけ輪飾り注連飾りとする。
だいだい家の繁栄を ゆずる葉をつけ よろこんぶ 海の穂俵ほんだわら
歯朶は裏白齢をのべ こしがまがれど威勢海老 ほしがき串柿これで嘉来 しめしめ 鬼もにげていく おめでたづくし 注連飾り
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