しがないリーマンの徒然HobbyLife!

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ムラサメ戦記第二話



―――予想通りだった。


いざ出撃してみたものの、無線からは救援要請や指示を求める伝令が流れてくるばかりで指揮系統は混乱を極めていた。
「まったく、部隊の配置もままならないなんて・・・上はどうかしてますよ、ほんとに」
リョウヘイの声はやや怒気を含んでいるように思われた。
「それはそうだが・・・」
今はぼやいても仕方がない。俺は視覚からの情報を得ようと、モニターの隅々にまで目を行き渡らせた。
ちょうどその時だった。モニター左方、市街地へと続く道の半ばで、ザクウォーリアとM1アストレイ数機が交戦しているのが映し出された。防衛が遅れているこの状況だ。おそらく、当初から警備目的で配置されていた機体であろう。
ただ、戦況は思わしくなかった。敵は、通常装備のザクと長距離砲装備のガナーザクを巧みに配置し、味方機は後退を余儀なくされていた。
「よし!手始めに、あのアストレイ部隊を援護する。」
俺は各機にそう伝えると、グリップを倒し上空から機体を急降下させた。機体は地面に対しほぼ垂直になり、コクピット内にも強烈なGが襲った。当初、この圧迫感は苦痛でしかなかったが、今ではもう慣れてしまった。逆に、この加速感と反応速度が頼もしく感じるほどだ。俺の機体に続き、僚機も編隊を組んだままそれに続いた。
(間に合えよ・・・)
そう願いつつ、敵機に向け高高度から急速接近する。
そして、主翼直下、両サイドアーマーにマウントされた2梃のビーム・ライフルが同時に火を噴く。一般機は1梃のみだが、俺の機体は所々がカスタマイズされているのだ。
標的である2機のザクは、直前に気付くも回避運動が間に合わず、胸部をビームに貫かれ爆散した。
(よしヒット!まずまずの滑り出しだな。)
しかし、悦に浸っては入られない。敵の数も多く臨戦態勢だ。爆散した機体から昇る噴煙の合間から、次々にビームが打ち込まれる。
俺はすぐさま、機体を上昇させそれを回避した。
「ヒュー、隊長さんやるねー!」
ソイルが軽快な口調で煽りつつ、我も続けとばかりにビームを放った。
ソイルは射撃が得意だ。主翼基部に備え付けられた近接防御機関砲で相手を牽制しつつ、的確に打ち抜いている。
「調子に乗るな。敵は1機2機ではない。」
ジュウシロウはソイルを嗜めながら、堅実な攻撃でターゲットをしとめる。腹部を打ち抜かれたザクは崩れるように地面に倒れこんだ。そして、機体を旋回させ機体背面を地面に向けるとビームと機関砲の一斉掃射を行った。
「そうですよ、こっちも打ち落とされたら終わりです。」
リョウスケの機体は先行する2機の後方から飛来し、ガナーザクの真正面に現れると、垂直尾翼内に装備された高エネルギー砲を放った。長距離砲オルトロスは至近距離では取り回しが難しい。しかも連射は行えない。
ビームは胸部を抜け、エネルギータンクをかすめた。タンクはその衝撃で爆発を起こし、周囲を巻き込んだ。
「MMI-M633ビーム突撃銃。破壊力と即射性に優れるがその分精度が落ちる・・・・」
一方のキョウヘイは、相手機の装備の特徴をぶつぶつとつぶやきながら攻撃を行っている。
いつもの癖だ。
「つまりは、当たらなければ問題ないと・・・」
そう言いつつ戦闘機形態のムラサメを旋回させると、敵機をロックしビーム・ライフルを放った。ライフルはサイドアーマーにマウントされているものの、ある程度の射角は取れるのである。

「固まってると、穴だらけにされるぞ。」
俺は各機に念を押した。と、いうのも敵の方がMSの数は圧倒的に多いのだ。主力であるビーム兵器を雨霰のように放たれては、いくら優秀なパイロットでも避けようがない。
そして、俺はムラサメをMS形態に移行させると、リアアーマーに縦に配置されたビーム・サーベルを引き抜いた。
リアにマウントしている理由は、先に述べたようにライフルを2梃携行しているためだ。
次に、突撃銃の照準をこちらに向ける相手に対し、急降下する。
―――そのまま惰性に任せ、一気に切り裂く。
機体は真っ二つに両断され、奥にいるMSの姿が視界に入った。機体は、切断面を赤く発光させながら、力なく地面に横たわった。
そして、ターゲットを近くのガナーザクに変更し、接近。その長大な砲を下方から払いのける形で薙ぐと、シールドを前に突進し、相手を吹き飛ばした。
さらに間髪いれず、よろける相手目掛けてサーベルを突き刺す。
サーベルを引き抜くと、ザクは貫かれた部分から火花を散らせながら、膝をついて地面にひれ伏し爆散した。
「すごい・・・」
傍で戦っていたリョウスケは感嘆の言葉を漏らした。
地上にいる相手に対し、戦闘機形態のまま戦った方が有利なのは確かだが、いちいち距離をとってから攻撃していては、こちらのエネルギーがもたない。時には、流れに乗って攻めの戦法を取ることも必要なのだ。もっとも、奨励されるべきではないが―――
(しかし、今のは危険すぎたか。)
俺は少し自嘲気味に笑みをつくった。

―――しばらく戦っては見たものの如何せん。続々と投入されてくるMSに、こちらも少々参りつつあった。
「何体倒せば済むんだこりゃ?こういつまでも、もたねぇだろ?」
ソイルは攻撃の手を休めずに、愚痴っている。
「我々に退路などない!祖国のため、軍人の誇りにかけて一機でも倒すのみだ。お前もさっきそれを誓ったではないか!」
ジュウシロウは、ソイルの言葉も間違いでない分、余計にいらだっていた。
(できれば長期戦にはしたくないものだが・・・・)
――そんな折だった。
「よぉ!マツカゼぇ!お宅らの仕事は空のハエを叩き落とすんじゃなかったか?」
(んっ?この声は?どこかで聞いたような気が・・・)

コンソール上には、増援を示す味方機のアイコンが点滅していた。

                               ―――To be continued

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