勝手に最遊記

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Short Story Nap ―4―



「猿は?・・って、アイツら何寝てんだ?」首を伸ばして、悟空達を見る悟浄。

「僕が起こしてきましょうか?」八戒が腰を浮かしかける。

「あ・・いーって。俺が起こしてくる。」
なんか悪戯してやろう・・小声で呟きながら、悟空達の方へ歩いていく悟浄。

三蔵が不機嫌そうに、八戒は苦笑しながら、読書へ戻った。


「・・・・あ?」
参ったね・・コリャ。

木陰で幸せそうに昼寝をする二人の姿。

『まるで姉弟だな。』思わず微笑む。

桃花の横に座ると、気持ちの良い風が体の周りを流れていく。

『・・・確かに・・・昼寝日和かも。』
悟浄も寝ころんだ。


「・・・オイッ。八戒。」
不機嫌そうに自分の名を呼ぶ低い声で、八戒は本の世界から引き戻された。

「・・はい?なんですか、三蔵。」

「なんだじゃねぇ。・・アイツら帰って来ねぇ。」
眉間の皺を増やしながら、グイッと顎で指した。

「ああ・・・。呼んできます。」
行きますよ、ジープ・・と、桃花達の方へと歩いていく。

『自分で行けば早いと思うんですけど・・・三蔵って我が侭ですねっ。』
もちろん、口には出さない。

木の側にまで行って――――納得した。

悟空・桃花・悟浄・・・皆、幸せそうな顔で寝ている。

『久しぶりかも知れませんね、こんなにゆっくり出来るのは・・・。』
チラッと三蔵の方を見る。
後が恐いですけど・・皆、一緒ですし。
こんな機会は滅多にないですからね。

八戒が木の幹にもたれる。その傍らにジープが踞る。

『・・・・・あー・・・気持ちが良いですねぇ。』ゆっくりと、目を瞑った。


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