勝手に最遊記

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A Rose Prison ―9―



「・・滅多に見ないですねぇ。」

悟空だけで無く、八戒まで料理を見た途端、感嘆の声を上げた。

いつもの中華系の料理ではなく・・西洋系の料理。

銀の食器がシャンデリアの下で輝き、
並べられた皿に芸術的な料理が、上品に盛りつけられている。


「・・・この料理、全て貴女が?」
八戒が沁紗を見る。

「・・ハイ。この家では、昔からこういう食事なんです。」
ワインをグラスに注ぎながら答えた。

「へー?金持ちってのは、いいモン食ってんなー。」
ワインをがぶ飲みしながら、悟浄が面白そうに言う。

「・・悟浄。良くないですよ、そんな言い方。」
八戒が窘(たしな)める。

「いえ、気にしてませんから。」
ニコリともせず、頭を下げて出ていこうとした。

「あっ、あの、沁紗さん?」
八戒の気功で、なんとか顔の腫れが引いた――まだ、若干腫れているが――桃花が
「・・・三蔵は?」と聞いた。

個室が与えられてから、三蔵の顔だけ見ていない。

もちろん、煩いのが嫌いな三蔵は
宿の個室が取れると用がない限り、出てこないのだが・・・。

「あの方は、ご主人様とのお話が弾んで・・・部屋で食事されるそうですわ。
ご主人様とご一緒に。」

そう言って、お辞儀をして出ていった。

しばし、沈黙。そして、




              「「「「三蔵が?」」」」

思わずハモってしまう。

ステーキと格闘していた悟空が、その手を休めたぐらい・・・衝撃的なのだ。


「三蔵が・・・話が弾む??」
「ンなワケないっしょ?あの三蔵が。」
「・・・コレはちょっと・・・。」
「おっ、おい!マズイ事になるんじゃねーの?」

四人が顔を見合わせる。

「・・・妖怪か?」
「いえ、そんな感じでは・・。」
「とにかく、三蔵を捜そうよっ!?」
「うむぅ・・っ・・うん!!」
悟空が口にステーキを突っ込みながら頷いた。

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