勝手に最遊記

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A Rose Prison ―17―



気功術・・多大な妖力と、精神力を要する。

『長引けば・・不利ですね・・。』万全の体調では無いのが響いている。

2度、3度と攻撃が繰り返される。

『・・三蔵っ・・未だですか・・!?』
防護壁に揺らぎが生じてきた。

「八戒ちゃん!」
悟空と悟浄を助け起こしながら、桃花が叫んだ。

「桃花・・バリヤーが消えたら・・逃げて下さいっ。」
必死に気を放出しながら、八戒が真顔で言う。

その言葉に笑いながら、
「このあたしが、素直に逃げるような女だと思ってるの?」
「・・・思ってませんねぇ。」桃花の言葉に苦笑した。

防護壁が解けたら、逃げ出すどころか身を呈して、自分達を庇うだろう。

『上手くハッパを、かけられちゃいましたね。』気が増幅する。

「このっ・・たかが肥料にしかならない、分際のクセにっ・・!!」

沁紗も容赦なく、攻撃の手を休めず・・・そして、微笑んだ。

「―――――――――っあっ!!?」

自分達の真下――――・・地中から蔓が飛び出してきた。

「・・・しまっ・・」八戒が振り向きざま、蔓が悟浄達に襲いかかるのが見えた。

「死ねっ・・!」沁紗の喜びの声が響く。

「っ・・・・!!」桃花は目を閉じた・・・『?』・・・痛みも何も感じない。

眼をそっと開けると、八戒が沁紗を凝視している。

「ひっ・・・ひぃっ・・・。」沁紗が苦しげに喘いでいる。

その美しい花びらが、一枚一枚黒ずみ、散っていく。

蔓も水分を失ってしまったかのように、干からび、折れ始めていた。


「こ・・コレって・・?」満開だった薔薇が、突然枯れ始めている・・。

「・・・薔薇はもう、たくさんだ。」
三蔵がゆっくりと現れた。

「「「三蔵!」」」悟空達が嬉しそうに叫んだ。

「三蔵・・コレは一体、どう言う事なんですか?」
八戒の問いに、
「・・・コレだ。」
三蔵の手の中に、白い薔薇が一輪あった。

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