勝手に最遊記

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Darling ―5―


「・・あたしでも扱えるような武器。」
はぁ?――――――驚いた顔で桃花を覗き込む。

「だってさぁ~。この頃大モテじゃない?あたし。」
この頃・・・桃花が刺客に狙われているのは明らかだった。

常に集中して刺客に襲われる桃花を守るため、桃花を中心に円陣を作るようにして戦う。
――――――自由に戦えない皆の負担にしかならない―――――そんな思いが胸を重くする。

「武器なんて似合わねぇよ?桃花チャンにはさっv」悟浄があえて軽口を叩く。
「そう?キレーな花には棘が必要でしょ?」桃花も軽口で切り返す。

「・・・・つーかぁ~~~。」思わず髪を掻き上げる。その様子を桃花が笑いながら、
「だからぁ!もしもの場合だよ。万が一には、あたしだって武器を持っていた方がイイじゃない?」

「まーな。」納得の意を見せながらも、不満げな悟浄。
武器を持たせるのは自分のポリシーに反するのだ。『一応、女なんだから・・さ。』

「俺としては武器ナンカより、指輪だとかピアスとか、ヤリてーんだけど?」
「イ・ヤ!有り難みないじゃん?悟浄君がアチコチに配りまくってるような指輪もらったって。」
「・・マジ、キツイっすね。桃花サン・・・。」悟浄が撃沈した。
「あはははは・・ゴメン、ゴメン、ねっ?」

『ホント・・ごめん、ね。』       心の中で謝る。

             悟浄が心配してくれてるのも、気遣ってくれるのも判っている。

『でも。』

大勢の刺客に襲われる最中、自分は何もできないで――――――――守られるだけ。
三蔵達は強い。強いから・・・今まではソレでも良かった。

『でもね。』

コレから先は判らない。天竺に近づくにつれ、襲撃の凄まじさは増している。
もしも・・・もしも、あたしが。     あたしのせいで。三蔵達にナニカあったら?

『許せないよ、自分が。』

自分の弱さの所為で、三蔵達を危険な目に合わせられない―――『だから。』

身を守る為でなく、人質にでも取られた時のために・・・迷惑をかけない為に・・・




             自分の命を絶つための――――武器が欲しい


『・・・みんな、優しいから』

そんな事、口が裂けても言えないけどね。・・んなこと言ったら、殺されちゃうよ。マジで。       

クスリと笑いを漏らす。


「な~に笑ってンの?桃花。」
「・・・何でもないよ?ホラ、あの店はどう?」

桃花と悟浄が歩いて行くのを―――――――「へえ?・・大事にされてるんだ。あの玩具。」
卑しい笑みを浮かべた男が言った。


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