勝手に最遊記

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Darling ―17―



「だから~っ!“愛の色”だって言ってるでしょ~っ!?」恥ずかしいじゃない・・とむくれて言う。

「いや・・何で、そんな言葉が出てくるのかと・・。」 『アイの 色??』

ワインみたい とか

夕焼けみたい とか

そんな言葉なら 女達に良く言われた


「あのさ!女が冗談半分で、子供を産むコトが出きるワケないでしょ?」桃花がグッと悟浄の髪を掴む。
「お?・・おお・・そりゃそうだな。」『・・ナニ、言いたいわけ?コイツ。』

「禁じられている・・・妖怪の男性(ヒト)を愛したんだよ?悟浄君のお母さん。
本当に愛したから、悟浄君をこの世に産んでくれたんだよね。
女の人にとって、出産は命がけなの。お母さんが、命を賭けてまで産みたかったんだよ・・。」

―――――まるで。まるで、知らない言葉を聞いているように・・・悟浄は固まった。

「お父さんを本当に愛したから。例え、“禁忌の子供”と言われても、
お腹に宿った悟浄君の事、本当に愛してくれたから・・・産んでくれたんだよね。」

桃花の手が、優しく悟浄の髪を梳く。

「・・・だから。だから、悟浄君の存在は、“愛”そのものなの。
存在自体が、お父さんとお母さんの愛――――――。その髪も眼も・・・愛の色。」

桃花が膝立ちになり、悟浄の頭を撫でる。子供をあやすように。

「悟浄君を育ててくれた・・・独角兕さんのお母さんは、
“愛”そのものの悟浄君を見ていられなかったんだよね、きっと。」

桃花が悟浄の顔を覗き込む。

「・・・許してあげようよ。独角兕さんのお母さんを・・・自分のことも。」

悟浄は桃花の胸に、顔を埋めた――――――なんだか、泣きそうになってしまった自分が恥ずかしくて。


んなの、判んねぇって・・・小さく呟いた声が、桃花の耳に届いたらしい。

「“愛”が判らなくってもさぁ。・・・例えば、三蔵達が危機的状況に陥ったら、助けに行くでしょ?」
『・・そりゃ、まぁ。』胸に顔を埋めたまま―――――――――ウンウンと頷く。

「やーっぱ、死なれちゃ困るワケよね?居なくなったら淋しいとか。ね?」
『淋しい・・つーのは、どうかなぁ。』でも、一応、居ないと・・ウンウン頷く。

「ソレはさぁ。“愛しい”って言うヤツなのよ。」小声で囁く。
「・・・なにっ?」思わず顔を上げる悟浄。

「い・と・し・いっv・・。あはははは。気持ち悪いけど・・そう思う気持ちだって、愛の一つでしょ?」
悪戯っぽく笑って、
「誰かを大事だって。愛しく思える気持ちが有れば・・・さ。いつか、“愛”だって見つかるって事!」

「・・・生臭坊主達を“愛しく”思ってるっつーのはどうかと思うけど・・・。」背筋に悪寒が走る。
『コイツらとなら、一緒にいてもイイかな・・・とは思ってるよな。・・・面白れぇから。飽きないし。』

「俺は桃花のこと、愛しく思ってるぜ?」ニヤリといつもの調子が戻る。
「あら、そう?あたしも悟浄君達のこと、愛しく思ってるよ?」桃花も切り返す。

その他大勢かよ・・・たははと笑いながら、桃花を見る。シャツも裂け、アチコチ傷だらけの姿。

「・・・ももかああっ!!」ガバアアッと押し倒す――――ガウンガウンッ・・銃弾が掠めていく。

「おおっ!?今、触覚を掠めていったぞっ!?」「るせぇっ!!盛ってんじゃねぇ!!」
クスクス笑いながら、その様子を見ている桃花に、――パサッ――布が掛けられた。

「ちょっと汚れてますけど・・その姿じゃあんまりですから。」八戒が身に付けている布だった。
「ありがとう、八戒ちゃん。ジープは?」
「宿の方では大騒ぎでしたからね。非常事態を考えて、部屋に残してきました。」

流石は八戒ちゃん・・・・ウムウムと桃花が頷いていると、悟空が悟浄と言い争っているのが見えた。
『止めなきゃ・・・。』桃花が腰を浮かせると、
「先に三蔵の所に行った方が。かなり・・苛ついていましたよ?」八戒の忠告が入る。

「・・・・う・・はい。」行きたくない・・そう思いつつ、三蔵へと近寄る。

【この先キケン!】そんな立て看板が立てられていそうな三蔵の背中。

「さ・・さん、ぞぉ。」思わず小声で声を掛ける。『・・?』返事が無いので、もう少し近寄る。
「あの・・さん・・スッパアアンッ――――――爽快な音と共に、ハリセンが喰らわされた。

「三蔵っ・・っ・・・。」
「このバカ女っ!勝手に浚われてんじゃねぇっ!!」

『こっ・・この男っ・・!!』なんて無体な。桃花は心の中で呆れた。
じゃ、今から浚われるからねv・・なんて言って浚われるヤツ、居るワケないでしょーがっ!

・・・でも。でも、助けに来てくれた。見れば、三蔵の姿もボロボロで。

「・・・なんか、文句あるのか。」ジロリと睨む三蔵。
「なんにも御座いませ~ん!!」苦笑しながら、桃花が言った。

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