勝手に最遊記

勝手に最遊記

ACCIDENT ―3―



中華様式で、皆が円卓を囲んだんだけど――――――「このエロ河童っ!!俺の餃子、取んなよっ!」
「だからぁ?名前書いとけって言ってるだろぉ!?」

・・・喉に。喉に詰まりますぅ。

「潤ちゃん。ハイ、コレ。」隣に座ってる桃花ちゃんが耳栓をくれた。
「・・ハイ?」桃花ちゃんが耳に入れろと手振りで言う。『・・悟浄達が煩いから?』・・耳に入れた。

ガウンッガウンッ・・・『はっ!!発砲したぁぁっ!!』

三蔵が青筋立てながら、悟浄達に向けて発砲した。『生発砲っ!!』なにげに感激する潤。
耳栓を取ると、
「・・静かにメシぐらい喰いやがれっ!!」「「きゃーっ!!」」(悟浄・悟空)
凄まじい喧噪が。

「至近距離で聞くとさぁ、鼓膜がバカになるのよね。あたしは慣れたけど。」
「あ・・それで耳栓を私に?」・・・用意がイイよ、桃花ちゃん。

「はい。潤さん。」三蔵の発砲騒ぎのお詫びに挨拶回りをしていた八戒が、料理を取り分けてくれた。
「ありがとうございますv八戒さ・・ぅあっ!!」
「どうかしましたか?潤さん。」
「えと・・レ、レバニラ炒め・・。」大っ嫌いなレバーッ!!よもやココでお目にかかるとはっ。

引きつっている私の顔を眺め、
「潤さん?レバーは体に良いんですよ?特に女性は貧血に陥りがちなんですから、
鉄分豊富なレバーを食べないとv」

・・・・・そりゃ。理屈はそうで御座いましょうとも。エエ、そうですともっ!
頭じゃ分かってるけど、食べれないモノってあるじゃないーっ!やめてーっ!ニッコリ微笑むのはぁ!!

おそるおそる箸で持ち上げてみる。・・・ダメだこりゃ(イカリヤ風)
口に入れる勇気が出ない。
「・・・八戒・・さん。」「何ですか?」激ニッコリv『くぅーっ・・何か楽しんでない?この人っ!』


「うわぁっ・・【ガチャンガチャーンッ】―――――三人で争っているうちに、皿が円卓から滑り落ちた。
「何やってんだよ!猿っ!」
「俺だけの所為かよっ!?悟浄だって、三蔵だって・・・!」

「はいはい!早く片づけてしまいましょうね!」・・・サスガ現役保父さん。
八戒が悟空と悟浄をまとめ、率先して割れた皿を片づけ始めた。

『・・・エッ。』イキナリ桃花が潤の前の皿を取り、悟空の皿の中に中身(レバー)を入れる。
それに気付いた悟空が、間髪入れずに食べてしまう。

そっと桃花が潤に体を寄せ、
「あたしもね、嫌いなモノは、八戒ちゃんの目を盗んで悟空ちゃんに食べてもらのv」
・・・・なるほど。
悟空がモグモグと口を動かしながら、潤にピースをした。『ありがと、悟空v』潤もピースを返す。

「――――――で?桃花はっ、ちゃんとピーマンを食べてくれるんですよねぇ?」
「はっ・・八戒、ちゃん・・・。」

いっ、今、“桃花は”って強調したよね?・・バレてる・・バレてるよ、桃花ちゃんっ!
山盛りのピーマン(肉詰め)を皿に載せて、桃花に手渡す八戒。

「あ、あのさ、コレって多くない?」顔に縦線を引きながら、八戒を伺う桃花。
「そうですねぇ。桃花の罪の多さによって・・と、言う所でしょうか?」くっ黒い!黒八戒だっ!!

――――――――――桃花の声にならない絶叫が聞こえた。

なんだかんだと。大騒ぎのウチに、夕食が終わってしまった。最後は、涙目の桃花が印象的だった。

『・・・結局、食べた気がしないよぉ。』あまりの賑やかさに。部屋に戻ってため息を付いた。
ガサゴソと、バックを漁る。
「コレコレーっv」旅行に持って行こうと、買って置いた
「期間限定発売“夏の想いで”ポテチ」・・・・・・・・甘酸っぱそうだ。

「桃花ちゃーん。一緒に食べよv」・・すっかりタメ口だな、私ってば。
「ん?何ー?」興味津々の顔で覗き込む。
「私の国のおやつv」「へーっ!?食べた~いっ・・口直しに。」切実な顔してるよ・・。

食べようと袋を開けた時、「桃花ぁ~潤~・・あっ!食い物だっ!」サスガ悟空。目がキラキラしてるし。

「俺も食べたいっ!」ハッハッと、よだれを垂らさんばかりの子犬悟空。
『かっ可愛すぎっv』でも悟空に渡すと袋ごと(?)食べられそうだから、一枚ずつ手渡しにする。

「うっ・・美味いなぁコレッ!しょっぱいけど・・甘いし?パリパリしてるぞっv」
「ホント~!異国のお菓子って、美味しいんだねー。」
「喜んでもらえて・・良かった、持ってきてて。」

ハムハムと、私の手からポテチを取って頬張る悟空。『・・・気分は餌付けだなぁv(ゴメン)』

――コンコンッ
「桃花、潤。遊びに・・コラ猿っ!てめ、帰って来ねーと思ったら・・!」悟浄が入って来て、摘み上げる。
「いーじゃねーかよ!エロ河童っ!!お前の分なんか、もうねーよっ!!」ヘヘンと威張る悟空。

「・・・・。」悟浄は一瞬、何やら考えたが――ニィッと笑って、「じゃ、味見させてもらうわv」
そう言った途端、      【ぺろんちょ】・・・潤の手を取って、舐めた。

「ヒッ・・・!」イキナリの悟浄の行動に、抵抗するどころか固まる潤。
「ん~っv甘酸っぱいねー。」ご満悦な悟浄に、
「こんのっ・・・クソエロ河童ぁ!!」悟空が殴りかかったが―――――・・・殺気がした。

「・・・刺客かっ!?」悟浄と悟空が素早く振り返ると、・・・・そこにはメリケンサックをはめた桃花が。

【バチイィンッ】・・・右の拳を、左手の掌に打ち付ける音が恐い。「悟浄君・・。」
俯き加減で表情が見ないが、背後から見え隠れする怒りの炎が―――――悟浄の触覚を刺激する。

「もっ・・桃花チャン?」壁に追いつめられた赤ゴキブリ・・もとい、悟浄は既に生命の危機を感じている。
「よくも・・よくも、そんな真似が出来たわね?あたしの潤ちゃんにっ・・!」

『・・・はぅ!?あたしのって・・?』潤が混乱を起こしているウチに――――制裁が始まっていた。

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: