勝手に最遊記

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ACCIDENT 2―2



「・・・心細い・・・。」人の気配もなく、自分がドコに向かっているのかさえ分からない。
鳥の鳴き声の他に・・・動物の唸る声まで(恐い)聞こえて来る森の中・・たった一人。

「心細いっ!心細いよぅ!!」半ばやけ気味に呟く。こんな調子で・・・みんなに逢えないまま
妖怪なんかと出くわしたら・・・・

そう、思っていた時―――――――ヒュンッッ風を切る音がしたと思った瞬間、【ダンッ】
・・・潤の横顔をすり抜け、目の前の木の幹に矢が突き刺さっていた。

ビィィンッ・・・幹に突き刺さった矢が、小刻みに揺れている。「ヘエェ?」その意味が良く分からず、
潤は(ナゼカ)笑みを浮かべながら後ろを振り返った――――――――・・ヒュンッヒュンッ!!

連続して2本の矢が幹に突き刺さり、弓を構えている妖怪の姿が目に入った。
「チッ!また失敗した!!」苛々したようにもう一本、矢をつがえる。
「止めろ、下手くそが!さっさと捕まえて喰っちまえばイイんだよ!!」
もう一人の妖怪が、舌なめずりしながら潤を見た。バチッと潤と視線が合う―――――

「ぎゃああああっ!!」潤は、一目散に逃げ出した―――――――・・・・・・。


―――――――――薄暗い森の中を、潤は懸命に走り抜ける。

っってゆーかっ・・・ムチャクチャ・・・限界、なんですけど・・・っ・・・日頃、全力疾走する事など無い。
『もっと運動しておけば良かった・・。』ふらつく足下が危ない。息をするのも苦しく、今にも座り込みたい
衝動に駆られる・・・・が。

「うわっははははは!!待て~っ!!」「美味く喰ってやるからよぉ!」追いかけて来る妖怪の二人。
明らかに楽しんでいるその声が、ますます恐怖心を煽る。

「たっ・・・助け・・・・。」蹌踉めく潤の視界が、明るくなった。・・・森を抜けたんだ!

目の前に荒野が広がっている―――――――――――――「っっ!!」石に躓き、倒れ込んだ。

「・・・はっ・・・。」怖々、後ろを振り向くと・・・自分を見下ろす二人の妖怪が。
「上玉じゃねーか。美味そうだ。」「新鮮なまま、頂こうぜv」妖怪の一人が、斧を振り上げた。

「ひっ・・・・!」コレじゃ、13日の金曜日っ・・・潤は固く目を瞑った・・・「潤ちゃんっ!!」

『・・・・ぅあっ?』聞き覚えのある声と共に、誰かに押し倒された―――――ゴオオオォォォッッン

自分の体の周りを―――――火炎が螺旋状に取り囲んでいる。「ギィエエエッ!!」
妖怪達が、炎の向こうで消し炭と化すのが見えた。

「潤ちゃん・・大丈夫?」「あ・・・。桃花・・ちゃん・・。」笑顔の桃花を見て、安堵の息をついた。
「今の・・炎は?」――――熱さも感じなかった。あれだけ至近距離に居たのに。
「あ。コレだよ。お守りなの。」桃花が見せたバングルのターコイズが、赤色から青へと変化した。

『紅孩児に貰ったヤツだっv初めて見たっv』――――――*「Position」参照v

「潤ちゃん・・・良かった、また逢えて。」「桃花ちゃん・・。」見つめ合い、握り締める手と手。
「ぅおっ!?ヤッパ桃花ってば女の子が好き・・「ぬぁんだとーっ!?」揶揄する声に振り向く桃花と潤。

「よっ、潤。久ぶりジャン。」ハイライトを銜え、軽く手をあげウィンクしている悟浄。
「悟浄・・・。」カッコイイ~vやっぱりカッコイイよぅ~vv心の中で一人悶える。

「潤!ケガないか?桃花がジープを飛び出して行くからさ。」「悟空っv」可愛いっ!可愛いわぁ!!
見ればゆっくりとジープが近づいて来て止まった。運転席から八戒がにこやかに降りて来る。

「桃花、潤さん。怪我をしませんでしたか?」「大丈夫だよー。」「あ。私もデス。」
八戒・・・・相変わらず爽やかねぇvv

「貴様・・・また、来たのか。」背中に殺気を漂わせながら・・・・三蔵が八戒の後からジープを降りる。
「さ・・・三蔵・・さん。」思わず一歩下がる。『ひぃぃ!恐いっ!恐いよぅ!!』

明らかに普段の三割り増し(?)であろう不機嫌面を、遠慮なく潤に向ける。
あわわわわ・・・三蔵のこめかみに怒りマークがっ!怒りマークがぁぁ!!・・・怯える潤に八戒が、
「大丈夫ですよ。とって喰われる訳じゃありませんから。この間、貴方が急に帰ってしまったというのを
三蔵から聞かされて・・・。桃花や悟浄達に文句を言われたモノですから。」

「そうだよ!潤ちゃんっ!朝、起きたら居なくて・・・・。三蔵が“アイツは帰った”って・・。」
「ヒデーよな。挨拶も無しによ?俺ら、心配したんだゼ?」
「三蔵がさー。起こしてくれりゃ良かったんだよ。ズリーよな、自分バッカ!」
「煩い!テメーら寝ぼすけばかりが揃いやがって・・・。俺に文句を言うな!!」

『あぁ・・そっかぁ。』潤は思い当たった。
自分が元の世界に帰った後・・・。姿を消した自分の事を、三蔵は“国に帰った”と説明したのだろう。
もとより、“別世界のニンゲン”等と言う事を説明しても・・・理解出来るはずもない。
三蔵にしてみれば、苦肉の策で自分の事を説明してくれていたのだ。それが・・マサカ、また・・・。

『ゴメン・・ゴメンよぉ、三蔵・・・。』そう思いながら・・・でも。嬉しいv
にやける顔を隠しきれない潤であった。

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