勝手に最遊記

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HAPPY BIRTHDAY!―3


あちらこちらに照明は取り付けられているが、赤色やオレンジで妖しい雰囲気に拍車がかかっている。

『だっ・・大丈夫なんだろうーか、あたし・・・。』さすがに冷や汗が流れてきた。
紹介屋の背中を見ながら、段々と足取りが重くなって来ている。『女だってバレて無いよね?』
女の姿なら、こんな怪しげな建物に連れ込まれたところで、身の危険を感じただろう。

「ホラよ、この部屋だ。」男が指し示した部屋のドアの前で立ち止まる。「さ、入れって。」
男に促されて、ドアを開け中を覗き込んで・・【ドンッ】と背中を押され、部屋の中へと転がり込む。
「・・なっ!?」振り返った時にはドアは閉まっていて、男の姿もなかった。
「おっおいっ!?」ドンドンッとドアを叩き、ノブを回してもドアは開かない。

「そこで大人しく2時間過ごせば、約束通りの金を払ってやるからよ!ま、頑張んな。」
何を頑張れと言うのか・・・・足音が遠ざかっていく。
「マジかよ・・・。」薄暗い部屋の中で、項垂れた桃花の背後から「こっちに来い。」男の声が。

「・・・・?」恐る恐る振り返る桃花。薄暗い照明にも慣れてきたその眼に映ったのは、
一人の・・・男。『ぶっ!!不細工だっ!!』年齢は40歳も半ば。既に頭はハゲ上がり、体は太りすぎ。
ニヤニヤと薄笑いを浮かべながら、布団の上で胡座をかいている。

『・・つか、なんで布団が?』サテンの生地だろうか?ピカピカと光沢のある(趣味の悪い)紫の布団。
傍らに行燈(しかもピンク!!)が有るために、照らし出された男の醜悪な姿が良く見える。

「な・・何っすか?」ジワリと額に嫌な汗が噴き出すのを感じつつ、ごく丁寧にハゲ男を窺う桃花。
「こっちに来いって。・・・可愛がってやる。」ハゲ男が手招きをする。「・・・はぁ?」
子供ではない。まさか“イイ子・イイ子”と、頭を撫でるような可愛がり方でないのは判っている。
と・・・言う事は。

ダラダラと汗を増やしつつ、
「俺、良く事情が呑み込めてないっすけど・・。」言いながらも、自分が男で有る事を強調してみる。
ハゲ男はグフグフと厭らしい笑みを浮かべながら
「ほぉ。男相手は初めてか?大丈夫だ、女相手より良くなるからな。」そう言って舌なめずりをした。

『ぎゃあああっ!!ホッ・・ホ○だあぁ~っ!!』思いっきり青ざめる桃花。
女だとはバレていなかったものの。コレでは余計に性質(たち)が悪い。

『あたしのっ!!あたしのオシリが危ないっ!!』・・・いつもと違う危機感を抱きながら、
「俺っ・・そんな話しは聞いてないし!帰らせて下さい!!」懸命に訴える、が。
「金を払ってあるんだぞ?その金をお前が返すって言うのか?」「もう?幾ら・・「30万だ。」

「さっ・・・!?」あの野郎っ!!あたしに5万って言ったクセに!!驚くと同時に怒りが込み上げる。
「高い金はらったよね。悪いけど、あたし。・・・女なの。」桃花の言葉に今度は男が目を見開く。
うむうむ。これで万事解決よねv「あの紹介屋を煮るなり、焼くなり、好きなように・・」
桃花の言葉が終わらないうちに、ハゲ男が大声で笑い出した。

「悪い冗談だ。お前のドコが女だって言うんだ?」「・・どこがっ・・てっ!!」
男装が仇になったのを痛感しながら、「見れば判るでしょっ!あたしのドコが男だってーのよ!?」
「・・なら、証拠を見せろ。裸になれば一目瞭然だろう?」ハゲ男が立ち上がり、ジリジリと迫る。

「ひっ・・!」ハゲ男の手を逃れながらも、壁の隅へと追いつめられた桃花。
確かに、ハゲ男の言う通り・・・裸になれば女だと言う事を証明できる、が。

『こっこんな男に!!なにが悲しゅーて、裸を見せにゃならんのだっ!!』・・・尤もである。

「さぁ。観念しろ・・・。優しくシテやるから・・。」ハゲ男の両手が伸びて来る・・。
『一か八かっ・・殴り倒して蹴り倒してっ・・・!!』そっとメリケンサックをはめた時、

【ガッッタアァンッ】―――――大音量と共にドアが破れ、あの紹介屋の男が吹き飛んで来た。

「なっ!?」ハゲ男が振り返った隙を見計らって、
「変態があっ!!」【バキッ】・・・横面に、桃花の拳が炸裂した。よろけるハゲ男に、
「あたしはっ!」【ドゴッ】鳩尾(みぞおち)にメリケンサックが、めり込む。「ゲホッ・・」
咳き込みながら、うずくまるハゲ男に「女だってーのっ!!」【ドオンッ】・・・股間を蹴り上げた。

「・・・かっ・・。」ハゲ男が、倒れていく。「・・・ふうっ。」会心の笑みで、汗を拭う桃花。
そこへ、
「ホーラね。桃花チャンってば、無敵だねv」イヤに聞き覚えのある軽口が。

「悟浄君っ!?」大きく開かれた(と言ってもドアは無いが。)入り口に、悟浄が立っている。
「なん・・で?」驚く桃花に、「ん?なんかさ、怪しげな建物に入って行く桃花チャンを見かけてサ。
格好も違うし?なんかヤバそうな雰囲気だったからさ。追いかけて来ちゃったv」

「あ・・・そう。でも良く判ったね?あたし男装してたのに・・。」近くに悟浄の姿は無かった筈だ。
「俺様が、男と女を見間違えるハズ、ないっショ?と・く・にv桃花はウチのトラブルメーカーだし?
このセンサーがモノを言うのヨ。」触覚(?)を弄りながら、ウィンクして笑って見せる悟浄。
「・・・さーんきゅv」余計な気を使わせまいとする悟浄のジョークに、素直に感謝した。

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