勝手に最遊記

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HAPPY BIRTHDAY!―2


『はぁ~・・ヤダな。入る気がしない・・・。』悟浄達の前で軽く言ってみたものの。

三蔵の激烈な不機嫌さは、同行してから短くない時間を過ごした為・・・良く、判ってる。
罵詈雑言を吐かれるとか、ハリセンでどつかれるとか、殺気ばしった素敵視線で睨まれるとか。
・・・まぁ、そんな事にはとっくに慣れた。イヤなのは・・・・「無言、だろうなぁ。」

無言・・・狭い空間でのソレは、かなり・・・キツイ。「っしゃ!気合い入れて行くかぁ!」
意味のない気合いを入れて、ドアを思いっきり開く・・・途端、「・・なっ!?煙幕っ!!?」
目の前に充満している白い煙・・・「ゲホッ・・ゴホッ・・た、煙草っ・・・。」

イキナリ煙を吸い込んだ桃花の喉や目に沁みる。
「三蔵~・・・!!」部屋の奥で、新聞を片手に煙草を吸う三蔵の姿が見て取れた。
三蔵は入って来た桃花に一瞥もくれず、無言で煙草を吸い続けている。「ったく、もーっ!!」
ズカズカと部屋に踏入り、大雨が降っているのにも関わらず、窓を【バンッ】と開け放つ。

「・・・・・。」チラッと桃花を見た三蔵は、明らかに不機嫌さが増していて。剣呑な睨みが
殺気を漂わせている・・・・が。

「窒素くするっちゅーのっ!いい?あたしが悟浄君と交代したから。節度を保って喫煙してちょーだい!」
言いながらバタバタと部屋に篭もった空気を追い出す。
雨の匂いと汚れた空気が交換され、やっと桃花は一息ついた。

ハタッと三蔵を見ると、「・・・・・・。」やはり、無言だった。
『しゃーないな。あたしは、あたし。気にせず適当に過ごそうっと。』無難にやり過ごす事を決めた。


荷物を適当に置き、三蔵とは向かい合わせのベッドに腰掛ける。取り合えずする事もないので
八戒に借りた本を取り出し、続きを読むことに決めた。・・こう見えても(?)桃花は本好きである。

旅の最中では娯楽も少ない。悟浄と違って宿泊先の町で夜遊びをする事も無い。(と言うか許されない)
手っ取り早いのが、本を読むこと。尤も、難しい本は苦手なので軽く読める娯楽小説ばかりだが。

続きの気になる本を手に、“んふっv”と笑みが漏れる。刺客や暴走した妖怪相手の日常では、
ゆっくり本を読むのもままならないのだ。
多少、その笑顔がブキミに映ったとしても・・・・致し方ない。

本のページをめくり始めた時・・・『・・っと。コーヒー飲み損ねたんだ。』
さっきは悟浄の乱入によって、入れたばかりのコーヒーを置いてきてしまった。

備え付けのコーヒーメーカーで準備する。チラッと三蔵に視線を送ったが、相変わらずダンマリのまま。
ここでコーヒーを勧めたところで、素直に欲しいと言うヤツじゃないし。

『ま。ヤリたいようにヤラせてもらいましょーか。』のほほんと鼻歌など小さく歌いながら、
コーヒーを入れ、三蔵の前に無言で出す。
ついでに目の前にある山盛りの灰皿を取り、中の吸い殻をゴミ箱に捨てる。

その間も、三蔵は何も言わない。桃花も、何も言わない。

『・・・んじゃ、続き。読も~っとv』ベッドに寝転がり、本を読み出した桃花。


―――――――――――時は静寂に流れていく・・・・・


『この女は・・・・。』三蔵が、チラリと桃花を伺う。

ニヤニヤしたり、悩んでみたり、引き吊ってみたり・・・(?)表情をクルクル変えながら読んでいる。
本の世界へと没頭しているだけなのだが、あまりにも表面に出過ぎているだけに、

『・・飽きねぇバカ面だな・・・。』珍しく新聞から目を離して、桃花の顔に見入っている。
三蔵に観察されているのも知らず、ドンドン本の世界へとのめり込んでいく桃花。
クライマックスが近いのか、妙にせっぱ詰まった顔をしつつ・・・目に涙が浮かんできている。

「・・っ・・ぅ・・・。」小さく嗚咽を上げながら本から目を離さず、何とかティッシュを取ろうとして・・
【ドタンッ】
ベッドから転げ落ちる。本を持ったまま這い上がろうとして【ゴンッ】「痛って!!」頭をぶつけた。

『・・っつ~☆・・う、煩くしちゃった・・。』
恐る恐る三蔵の方を見ると、大きく紙面を開いている為に顔が見えない。何も言わないのだから
大丈夫だろうと、桃花は再び本に視線を落とす。


紙面の裏では、三蔵が必死に笑いを噛み殺していた・・・・・・・。

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