勝手に最遊記

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HAPPY BIRTHDAY!―3



「遅いよなぁ桃花。大丈夫かな・・・・。」一通り注文を終え、(一応)三蔵と桃花を待つ。
「三蔵サマ機嫌悪りぃからな~。桃花と大喧嘩ヤッてんじゃねーの?」悟浄がお先にと、麦酒を飲む。
「縁起の悪いこと言わないで下さい。大丈夫ですよ、悲鳴も銃声も聞こえて来ませんでしたから。」

その八戒の言葉が終わらないうちに、
「あー。ゴメンね~遅くなっちゃって。」笑顔の桃花と、その後ろから不機嫌を背負った三蔵が来た。

「注文は終わったんだよね?」確認しつつ、三蔵の分の麦酒を注文する桃花。その間も三蔵は無言。
口も開かず、腕組みをしたまま・・・・話を聞いているかどうかも怪しい。

『・・やっぱ、三蔵機嫌が悪りぃよ・・。っつか、気にしてない桃花の度胸がスゲェ。』
なにげに悟浄が感心している。

取り合えず食事が始まり――――――派手な騒ぎも起こさず(三蔵が恐いので)、平穏に終了した。

ガタンッと三蔵が立ち上がり、無言でスタスタと食堂を出て行く。

その後ろ姿を見送って、
「な、桃花。大丈夫なのか?三蔵と二人っきりで。」悟浄が小声で問う。
「うん?別に気にしてないヨ。じっくり本が読めラッキーだしねv」答えながらグイッとお茶を飲み干す。
「桃花?もう、部屋に戻るんですか?」悟空に、デザートの杏仁豆腐を渡してやりながら八戒が伺う。
いつもなら悟空と一緒にデザートを食べるのに・・・。悟空も杏仁豆腐を受け取りながら、不思議そうだ。

「あー・・ま、ね。今日、誕生日だし。お金は使わなくても、気ぃぐらい使ってやらないとね。」
あははと笑い、手を振って桃花も食堂を出て行く。

「そっかー。三蔵の誕生日だったんだよな。」ちょっと悟空が項垂れる。気付かなかったのが悔しい。
「旅の最中では日付感覚が狂いますからね。しょうがないですよ、悟空。」八戒が優しく宥める。
「それに俺らって、祝い合うような仲でもないし?っつか、男同士で気色悪りぃだろ?」悟浄が笑って、
「一応・・・桃花だけが女なんだからさ。アイツに任せておけばイーんでない?」ハイライトを銜えた。

「・・そうですよ。僕らは三蔵の機嫌がコレ以上悪くならないように、ここで飲み明かしませんか?」
いつの間に注文したのか、宿の仲居さん達がどんどんお酒を運んで来る。山盛りのおつまみと共に。

「へェ!いーのかよ、八戒!こんなに贅沢しちゃってさ!」そう言いながらも嬉しそうな悟浄。
「いいんですよ。隣の部屋でバタバタしたら、三蔵の逆鱗に触れるかも知れませんしね。
ココで僕らだけで、盛大にお祝いしましょうv」
「やったーっ!!・・って、八戒。お金・・・・。」既にスルメを掴んでいた悟空が伺うと、
「任せて下さい。・・・ほら、三仏神のゴールドカードvv」ニッコリ微笑みながら差し出した、
目にも眩しいゴールドカード。

「「・・・・い、いつの間に??」」やはり八戒は侮れないと、なにげに汗をかく悟浄と悟空であった。

『・・・特に気も使ってないんだけど、ね。』

部屋に戻り、食後のお茶を煎れる桃花。

ついでだからと、三蔵の分も入れてやり、読みかけの本をごそっとカバンから取り出す。

誕生日だからと言って、悟浄や八戒の時みたいに何かしようとは思わない。と言うより、何もしない方が
三蔵にとって、良いのではないかと思っている。

かと言って・・・・一人、放っておくのもイヤなのだ。 自分が。

何をする訳でも無く、何を喋る事も無く、何を気にする事も無く・・ただ、同じ部屋に居るだけ。

それだけでも、『もしかしたら、って。』三蔵の気が紛れるかも知れない。『自己満足だけど。』

――――孤独を好み、他人を寄せ付けない。・・・三蔵だけど。

淋しがり屋サンvかもしんないし、ねっv



何となく、三蔵が寒気に背筋を震わせていた。



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