勝手に最遊記

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海賊気分でア○ア○サー!―4




「しっかし、ドコ見ても海ってヤツだよねぇ~。」一人ゴチながら、桃花は甲板を散歩していた。


ちなみに濡れてしまった服は洗濯中。ウソップにオーバーオールを。そしてゾロにシャツを借りている。
もちろん、ナミやロビンが洋服を貸すと申し出てくれたのだが・・・・

「いや、絶対ぇ無理っ!!ってか、有り得ないしっ!!」丁寧に(?)断ったのだ。

『・・・あーんなピッタピタの服、着られないってば・・・』腹出したり足出したり腹出したり・・・
ナミの服に(無理矢理)体を突っ込んだ自分の姿を想像して、桃花は悪寒に襲われた。



【ボカンッ――――「うわっ?!」
突然の爆発音に、桃花はひっくり返りそうになった。


「あ、悪りぃ悪りぃ。驚かせたか?」呑気な声で、真っ黒な顔のウソップが手を振った。
「ナニナニ?どうしたの、ウソップ君。」
甲板の隅っこで、ナニやら大量の部品がウソップの前に積み上げられている。

「んー。新しい武器の開発!俺様の三連火薬星に匹敵するような・・・」そう言って長い鼻をつまんだまま黙り込んだ。
グランドラインでの敵はすべて超人。三連発ぐらいの火薬玉では心許ないのだ。

かといって、本物の弾丸を使う気は更々無い。いくら海賊をやってるからと言って、人の命を奪う事なんて出来ないし
弾丸を使用した武器(例えば銃やマシンガン)が【本当に】グランドラインでの敵に通用するかどうかなんて怪しい。

『現にウチの船長にも通用しねぇし・・・』

化け物じみた強さやタフさがあるワケじゃない。(←主にゾロやルフィ)
謀略・策略に長けているワケでもない。(←主にナミやロビン)



―――――――――自分にあるのは、機転の早さぐらいな・・・「ウソップ君っ!」

「どぅわあっ?!」考え込んでしまった自分の目の前に、桃花がドアップで迫っていた。


「すっごい、コレ!どうやって使うの??」ウソップホッピングを手に取り、満面の笑顔で聞いた。
「あ~・・ウソップホッピング。足に取り付けて使うんだけど、すっごく跳ねるから・・・ココで使うなよ。すーぐ甲板から飛び出して・・





             ね~~
「わあ~~!           る~~
        は~           ね~~~!」   「もう跳ねてんのかよっ!」



【ビシィッ】とウソップがツッコンだ時には、既に甲板から大きく飛び出していた。

「・・のわっ?」空中でバランスを崩し、一瞬で青空から視界が海へと反転する―――――「危ないっ!!」

強い力で自分の体が引き留められる・・・・「あ~ビックリした~。」

甲板に降ろされた桃花が見上げたのは、大きな大きな・・・「・・・・チョッパー君・・?」
獣人形態のチョッパーを見上げ、あんぐりと口を開けた。


ジィ~~っと、見つめられている事に気付いたチョッパーが【ポンッ】と元のチビトナカイに戻る。

「スッゴイ!スッゴイ!どうやってなるの?どうなってるの~?!」
「うわー!うわー!!やめっ・・抱きつくなああぁっ!!」
・・・・・ヌイグルミよろしく、抱きかかえられたチョッパーは真っ赤になって逃げて行った。

「あーあ。逃げられちゃった~。」残念残念v
クスクス笑いながら逃げて行ったチョッパーを見送り、「でもウソップ君もスゴイね!こんなの作っちゃうんだもん!」
「ん~・・まぁなぁ。オレは手先が器用だから・・・」らしくもなく口ごもるウソップ。

そんなウソップの様子を気にもせず、
「うわぁ~!コレも?コレもウソップ君が作ったんだよね?!ウソップ君すっごーい!!」
次々にウソップの作った「ウソップグッズ」を手に取り、大喜びな桃花。
「天才じゃない?!こんなの普通、作れないって!」

嬉々として騒ぐ桃花へ、
「・・オレは・・ルフィみたいに能力者って訳じゃねぇし・・ゾロみたく化けモンみたいに強い訳じゃねぇから・・」

「だから、こんなの作るコトしか・・・ 「ウソップ君っ!!」

いきなり胸ぐらを掴まれ、
「ウソップ君!じゃあ、ヒトの強さって何?能力者で有る事?剣が使える事?腕っ節の強さだけが強さの証明だって思ってンの?!」
ブンブンと首を激しく揺さぶられるウソップ。
「んな事言ってたら、あたしなんかどーなんのよ!それこそ妖怪が裸足で逃げ出すような連中と旅してんのよっ?
しかも男の中に女が一人で。こんなに か弱い女性 がっ!!」

「いやぁ・・オレにはか弱くは見えないゾ・・・」
控えめにウソップのツッコミが入るが桃花の耳には届いていない。


「こぉーんなに、沢山の発明品を作れるウソップ君ってスゴイ!だって、それって・・」桃花はウソップの目を覗き込み、

「・・自分の弱さと対峙しているって事でしょ?自分の弱さを認め、それを補おうとする努力をするヒトを・・。
あたしは、弱い人間だなんて思わない。」

ポカーンと口を開けたままのウソップを余所に、
「いやぁ~あたしもさ~。結構、落ち込む事もあるのだよ、実は。」簡単に三蔵達の強さを話し、
「・・でも、だからって負けられない。あたしは、あたし。強さでは敵わないけど、・・・絶対、退いてなんかやらない。」

“弱いけど、退かない”

その言葉の裏に、並々ならぬ強い決意が込められているのをウソップは感じ取った。


「それに、これだけの発明をするウソップ君って・・・頭良いじゃん!その辺の筋肉の固まり君よりスゴイよ!」
こうまで褒められれば、ウソップだって悪い気はしない。
「そ、そうかぁ~?いや、オレ様もそう思ってたんだけどよ!わはは!そうだよなぁ~。どこぞの筋肉固まりバカより・・ 「オレのことか?」




ギギギギギィ・・・・ゆっくりと首を回すと・・・・

「“筋肉固まりバカ"ってのは、オレのことなんだよなぁ~・・ウソップ?」


腕組みをしながら、鬼神のような表情でウソップを見下ろしている、ゾロが居た・・・・











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