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勝手に最遊記
海賊気分でア○ア○サー!―完
温かい力が体中に染み込んでくる・・・・これは・・・・・「・・・・ぁ、ったか・・・」
重たい瞼を開く。
「・・桃花?気が付きましたか?桃花、僕ですよ?」
目の前には不安げに揺れる翡翠の瞳。
視線を流せば、息を詰めて見守っている“黄金(きん)”と“紅”の瞳が・・
「温かいけど、気孔の無駄使いしないでよ・・・八戒ちゃん。」
この言葉に、ほぉ~~っと一気に脱力して座り込んだ悟浄と悟空。
「今使わないでいつ使うんです?・・・意識が戻って・・・良かった、です・・・」
言いながら八戒も座り込んだ。
「ゴメンね、迷惑かけて・・・あたし、どうなったの?」問いかけながら起きあがろうとしたのを八戒に止められた。
「まだ横になってて下さいね?桃花とジープが川に落ちたのは判ったんですけど・・」
「雑魚妖怪のせいで、すぐに助けられなかったんだ。アッという間に流されちまうし・・・。」悟空が唇を噛み、
「三蔵サマはブチ切れて?桃花とジープが見つかんねぇのを・・・いや、止めとくわ。」
ヤレヤレと悟浄が肩を竦めた。どうやら相当ストレスをぶつけられたらしい。
「ほ、本当にゴメン、悟浄君!」慌てて飛び起きた所を軽く悟浄に抱き留められた。
「いーって。・・・無事で良かったよなぁ・・・ホント、悟浄サンちびっちゃうっつーの。」
「ん、アリガト・・・」
よしよしと頭を撫でてやれば、大型犬よろしく悟浄が鼻をすり寄せた。
「・・・ちょっと離れてもらえませんか?着替えを用意しますから。
・・・桃花も悟浄は犬じゃないんですから甘やかさないで下さいね。」
「犬って言うより、色ぼけゴキブリだしな!」
「せめてほ乳類に入れてあげようよ、悟空ちゃん。」
「お前らっ。・・ったく・・桃花、三蔵のトコ行って来いヨ?」
“三蔵”の言葉に ピキ と動きが固まった桃花。
「・・やっぱ、避けては通れない道な訳ね・・・ぇえーと、ジープは?姿が見えないけど。」
同じ怒られるなら例えヒトではなくとも仲間が欲しい。
「桃花よりも先に目覚めまして。今は餌を捕りに森へ行ってますよ。」
「そ、そうなんだ・・・あはははは・・・じゃ、行って来る・・・」
「・・・頑張れよ・・・死ぬな・・・」そっと胸に十字を切った悟浄と悟空であった。
取り敢えず八戒が用意した服に着替え、のろのろと三蔵が居るらしき(険悪なオーラが漂っている)岩陰へと足を運んだ。
「え~・・三蔵、サマ?」
白い法衣が目の端に映っているのだが、あまりにも凶悪な雰囲気に顔を上げられない桃花。
「・・・ゴメン、落ちちゃって。」
――――――――――シーン・・・・足下に落ちている吸い殻の数が尋常ではない。
「さんぞ~・・?」
そぅっ、と顔を上げた途端、
「てめぇは一体何なんだ!このボケナスがぁ!!」
凄まじい怒声と共にハリセンが振り下ろされた。
「いいいいいいいいい痛いっ!痛いってば三蔵!!」
「ああ?人並みに痛覚があんのかてめぇ!」
「ひっ人並みってナニ?痛覚も視覚もあるわよ!ええ、ありますともさ!!」
「フン。大馬鹿過ぎて、神経系統が退化してんじゃねぇのか。」
「アンタは毛根が退化してんじゃないの?!」
「・・てめぇ。もう一度川に沈みたいらしいな・・・!」
ハリセンを振りかざし、一歩踏み出した三蔵に、
「けけけケッコーです!」
すざざっと間合いをあけた桃花。
「あっ!そう言えばね、三蔵!川から違う世界に行ったんだよ!」
「・・・・沸いてんのか、てめぇ。」
「ホントだってば!えーとゲートが開いてね?
海賊に海軍に、ゴムが伸びてグルグル眉毛な料理上手で、長鼻で青鼻で悪人面が剣士なの!
オレンジな髪の可愛い子と、エキゾチックな考古学・・
スッパーン!!
「訳分かんねぇ妄想ぶっこいてんじゃねぇよっ!!」
「ひぇ~ん!ホントなんだってば~!」
うわーんと(嘘泣き)頭を抱えて蹲る桃花を後目に、
「ったく無駄な時間を使わせやがって。とっとと出発すんぞコラ。」
サクサクと歩み出す三蔵。その三蔵の後を追いながら、
「妄想なんかじゃないからねー!スカウトだってされたんだから。このままコッチに居ないか?ってさぁ。」
「ほほぉ。そりゃ残念だ。てめぇなんざ、どこぞの世界にでも行っちまやぁ良かったんだ。」
「・・・帰って来て悪かったわね。」
三蔵の物言いに、グッとへこんだ桃花。
今回も迷惑を掛けてしまった思えば、帰って来ない方が良かったのかと自分でも思ってしまう。
「・・・・・・・まぁ、そん時はあの三馬鹿トリオも連れて行け。煩せぇからな。」
「・・判った!ちゃーんと四人共連れて行くから!」
「俺を入れてんじゃねぇよっ!!」
振り上げた拳から逃げ、笑いながら
「悟空ちゃん達にも話してこよーっと!妄想じゃないからね~。」
仲間の元へと駆けて行く桃花の背中を見つめて―――――――――――三蔵が息を吐き出した。
『・・・ったく・・馬鹿が・・・』
あの刹那
攻撃の煽りを喰らって川に落ちた桃花。
鬼神の如く、敵を蹴散らして
滝があるのにも関わらず、迷わず濁流に飛び込んだ悟空
物も言わず、川下へと走り出した悟浄
狂ったかのように名前を叫び続けた八戒
そして、
何も出来ず、ただ立ち尽くしていた自分
―――――――――思い返すだけで腹立たしい。
「首根っこに鎖でも付けておくか・・」
三蔵の口元に、自嘲気味な笑みが浮かんだ。
そして。
「ねっ!ねっ!ホントにホントなんだから~!ねぇ?ジープ!」
「キューッ!」
「いや、桃花チャン。ジープがキュ~って言ってもなぁ。」
「そんなに美味いモン喰ったの?!俺も喰いたい~!!」
「そうですねぇ。パラレルワールドと言うこともありますし。」
「バカ女の妄言なんか聞いてねぇで出発しろ!俺は寝るっ!」
相も変わらぬ、一行であった。
オマケv
「至急本部に連絡しろっ!すぐに手配書を作成するんだ!!」
「バロッガ大佐!写真を用意したであります!!」
「うむっ。・・・・こんな写真しか無かったのか?」
「申し訳ありません!」
「まぁ良い・・・この女に懸賞金も掛けるぞ!麦藁の一味だからな。」
「ハッ!いかほど・・・」
「3000万ベリーが妥当だな。あの女、新手の能力者に違いない。」
「連絡しておきます!」
バロッガは自慢のパイプに火を付けた。
「ふっふっふっ・・・待ってろよ・・このオレが貴様を捕らえてやる!」
ギッと睨み付けたのは、
ピースvしながらウィンクしている桃花の写真であった・・・・。
海賊気分でア○ア○サー!完
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