勝手に最遊記

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Family ―11―



「苦っ・・・。」顔をしかめる。

宿の女の子が「それじゃ、ゆっくり休んで下さいね。」
にこやかに部屋から出て行ったのを見送って、桃花はベッドから降りた。

「・・・と。」足下がふらつく。
高熱ではないが、まだ熱は完全に下がった訳ではない。

それでも意識を集中させ、洋服に着替え始めた。

『嫌なカンジがする・・。』
宿の女の子が八戒に話したのと同じ話をしてくれた。
子供の魂を求めてやまない女・・。もしかして悟空ちゃんが?不安が絡みつく。

18歳とは言え、見かけも中身も子供のように無邪気で純粋で・・。
悟空ちゃんなら、その女に取り込まれるかも知れない・・・・。


「ピーーッ。」ジープが桃花の頭に止まる。桃花の行動を諫めるように。

「ジープ・・。もしかして八戒ちゃんに監視でも頼まれてんの?
でも、大丈夫だよ。もう、元気になったし、それに・・。」
「ピ?」ジープが小首を傾げる。

「あたしだけ、呑気に寝てる場合じゃないって気がするの。
後で怒られるとは思うけど・・しない後悔より、した後悔の方がマシ!」

桃花は着替えを終え、ジープの体を抱え込んだ。

「んで、ジープにも協力して欲しいなって思ってるのよん♪」

うふふふふ・・・そう笑みを見せる桃花に、ジープが怯えたように鳴いた・・


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