勝手に最遊記

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Family ―19―


食後のお茶を啜りながら、八戒がニコニコと言った。

「保父さんか・・。でも八戒ちゃんって、お母さんみたい。」

「・・お母さん・・ですか?」「うん、役割分担が出来てるってゆーか。」

グルッと三蔵達を見て、
「ちゃぶ台ひっくり返しそうなお父さんが三蔵でしょ~。」
「・・・てめぇっ」
「良妻賢母なお母さんが八戒ちゃんで~。」
「あははは。」
「素行の悪い兄ちゃんが、悟浄君で~。」
「オイオイ。」
「やんちゃな弟が、悟空ちゃん!」
「・・・・。」

「そんなカンジ?」桃花は笑って悟空を見た。

「・・・桃花は?」「ハイ?」「桃花は入ってないのか?」「うーーん。」

考え込む。・・・あたしってみんなの何?

「やっぱりキレーなお姉さん♪ってトコかな?」エヘッと笑った。

「・・・誰が“キレーなお姉さん”なんだっ。」
「三蔵~。聞き流してよね~そのぐらい!」
「聞き捨てならんな。・・・家族にされて迷惑だ。」

「ハイハイ・・。確かに三蔵みたいなお父さんじゃ、一家離散になるのが
オチよね~。」ベエッと舌を出す。

「・・・お前というオンナは・・・。」三蔵の眉間に怒りマークが出る。


そうっと悟空・悟浄・八戒が席を立つ。

「こ、怖え~よ~。」
「桃花って怖いモノ知らずだよな・・。」
「幽霊に説教するぐらいですからねぇ。」

三蔵をからかうなんて・・・羨望(?)の眼差しで桃花を見る。

今にも発砲しそうな三蔵とは対照的に、桃花は笑っていた。

『こんなバカ面下げてるオンナに・・・。』怒りも失せてしまう。

唐突に桃花が席を立つ。「早く出発しよ?」三蔵の法衣を掴む。

「てめぇ、誰のせいで・・。」

「ホラ!行こうってば!八戒ちゃーん、ジープ用意して~!」

法衣を引っ張られながら、三蔵は宿を出た。

ジープが悟空・悟浄・八戒を乗せて待っている。              

「楽しいね~三蔵!」桃花の明るい声を聞きながら、
三蔵はため息をついた。






                 第三話   完


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