勝手に最遊記

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Jealousy ―8―



悟空が悟浄に駆け寄る。
「悟浄、大丈夫かよ!」
「・・・ったりめーだ!俺はアソコも体も丈夫に出来てるって言ってんだろ?」
いつもの下品な冗談に、悟空は安心した。

「なんてったって、赤ゴキブリだもんな!」
「・・お前ねぇ・・。」

「二人とも、そんな場合ではないようですよ。」

サクラの口が開いた。僅かに音がする―――――――口の中で何かが光った。


桃花は思い当たった――――まさかっ!?「み・・みん・・逃げ・・・。」舌の痺れがまだ取れない。

「悟空!逃げろっ・・・!!」三蔵が叫んだと同時に、サクラの口から光線が発射される。

            カッ・・・光がスパークする。

「あ・・・危ねぇっ!」間一髪。―――――悟浄と悟空が居た場所にあった木の幹が、
ポッカリと丸くくり貫かれ、木が倒れていく。

ドザザァ・・・ン・・。その衝撃に地面が揺れる。

「なんて破壊力だよ・・。」悟浄がゴクリと唾を飲み込む。

「チャージに時間がかかるみたいですから・・・エネルギーを溜める前に攻撃しましょう!!」
冷静に観察していた八戒が指示を出す。

「よっしゃあ!!」悟空・悟浄・八戒がサクラに向かう・・その時、

ジャキンッ!硬い音と同時に、サクラが変形した。「・・・なにぃ!?」

四つん這いに近いが、不自然なほど真っ直ぐに伸びた手足はまるで蜘蛛のようだった。

「!?」サクラが高速で移動する。飛びかかる悟空をかわし、木へと飛び移る。
木から木へ・・・飛び移りながらチャージをする。

「避けろっ・・・!」光が発射すると同時に、悟空達が吹き飛ぶ。

「うああぁっ!」直撃を免れたものの、爆風で地面に叩きつけられる。

「なるほど・・・チャージの間は、スピード重視の体に変形して、攻撃の隙を与えないって事ですか。」
ウンウンと頷く八戒に、
「っっっって、八戒、感心してんなよ!!」悟空が突っ込む。

苦戦している悟空達を見て、三蔵の眉間に皺が寄る。
『チッ・・・あんなのを相手にどうする?』

三蔵の法衣が引っ張られた。「・・・なんだ、こんな時に。」

「さん・・ぞ。・・かい・・て・・じょ・・。」

「魔戒天浄を使えっていうのか?あの蟷螂(カマキリ)女の時と同じで大した効果は期待できねぇぞ?」

「でも・・。うご・・が・・とま・・。」

『確かに動きが一瞬でも止まれば・・チャージ中に動きを止めることが出来れば、
悟空達が何とかするだろう。しかし・・・。』

しかし、自分が真言(マントラ)を唱えている間、無防備になってしまう。
俺は何とか出来るが、あの化け物の狙いは桃花だ。
もし、真言の最中にコイツが狙われたら・・・・・・・。

ガブッ!!「痛っ・・!何しやがんだ、このバカ女!」桃花がイキナリ三蔵の手に噛みついた。

「さん・・ぞぅ!・・いい・・から・・みんな・・やら・・マシ。」必死の形相の桃花。

『みんな殺られるよりマシってか?本当にコイツはくそ度胸だけはあるな。』


「・・・判った。お前は大人しくしてろ。」

三蔵は桃花を背後に押しやり、真言を唱え始めた。

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