勝手に最遊記

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Jealousy ―14―




       「今だけ、   いいよね。」

桃花がそっと呟いた声は          『  せめて  』


風に流されて


聞き取れる者は居なかったけど         『  今だけ  』


微かに微笑んでいる姿は


儚くて                         『  願いを  』


儚くて


消えてしまいそうだから            

「・・・・・おいっ!」  「へっ?何、三蔵??」

「てめぇ確か、俺の手を噛んだよなぁ?」

「ハッ・・そう言えば・・。」思わず青ざめる桃花。

三蔵が口の端を上げて笑う。
「貸しは返さなきゃなぁ?利息を付けて。」

「そんなぁ。遠慮なさらないでっ♪もらっておいて下さい、三蔵サマ!」
助手席から乗り出す三蔵に、桃花はジリジリと後退する羽目になる。
・・・しかし狭いジープでは逃げ場など無いわけで・・。

「そ~はいかねぇよ。キッチリ返してやる・・。」三蔵の手が伸びる。
「だっだって、アレは・・ふぇっ!?」むにぃ~っと桃花の頬が引っ張られる。

「ひゃめへほ~ひゃんそ~!!」(やめてよ~さんぞう~!!)
「くっくっくっくっ・・・良く伸びる・・・。」

『三蔵って本当に容赦しねぇよな。』『・・・ありゃ屈折してんだよ。』
「二人とも何か言ったか?」「「イエ・・。」」『地獄耳・・。』

「三蔵。その辺で終わりにして下さいね。」「・・・チッ。」
三蔵から解放された頬は、まるでお多福のように赤く腫れていた。

「ヒドイ・・三蔵~。」「お前がくだらん事考えてるからだ。」

「旅について来たきゃ、ついてくればいい。止めたきゃいつでも止めろ。
別に止めもしねーよ。・・・・判ったか。」

「・・・うん。」            『ありがとう・・・。』

「じゃあ、次の町まで飛ばしますよ?」
「おーっ!野宿はゴメンだぜ~!」
「腹減った~!」
「あたしも腹減った~!」
「・・・お前らっ」


            次の町へ   西へ向かって


     想いを乗せて                 ジープが走る










                 第五話     完

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