勝手に最遊記

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Blind Date ―10―



「すっげぇなぁ~花火!!」滅多に見ることのない花火に、驚嘆する悟空。
「た~まや~ってか!」まんざらでもない悟浄。

ジャキッ・・・三蔵が二人に冷たい銃口を向ける。「・・・ナニ湧いてんだよ。・・・死ぬか?」

「三蔵・・・人手が無くなったら困りますから、ね。」にこやかで情け容赦ない八戒の言葉に、
「・・・・・。」無言で固まる悟空と悟浄。

「チッ・・大体、人が多すぎる。あのバカ女は一体何処をほっつき歩いてるんだ?」

「それは・・・。・・・!?三蔵、妖気が・・!」八戒が辺りを伺う。

「あぁ感じるな。悪質な妖気だ。」険しい顔で三蔵が夜空を見上げる。
「も、もしかして桃花がっ!?」青ざめる悟空。
「ヤバイんじゃねーの?しかし、この妖気の出所が・・。」悟浄も辺りを見回す。

妖気を感じても場所が特定できない。ソレは、この町から離れた所に妖怪が居るとの証でもある。

「マズイですね・・。桃花が巻き込まれている可能性が大きいですし・・。」
「匂いで判んねーのかよ、悟空!」苛立つ悟浄。
「無茶言うなよ!こんなに屋台やら人が多いところで、判るわけねーだろ!?大体、俺は捜索犬じゃねーっての!」
「んじゃあ、捜索猿っつー事で。」「なんだとおぉ!?」睨み合う二人に、ガウンガウンガウンッッッッ
・・・・「ぶっ殺すぞ、てめぇらっ。」「「スミマセン・・・。」」二人が項垂れた。

「本当ですよ・・。今は喧嘩している場合じゃ無いでしょう?」フーッと八戒がため息を付く、



                 「「「「!!!?」」」」


悪質な妖気に覆い被さるようにして、強大な気が感じられる。

「三蔵・・!」悟空が指を指す。
「あぁ、コレで場所がハッキリしたな・・。」
「良く知っている方の妖気ですね。」
「それじゃ、ウチのお転婆オネーサンをお迎えに行きますか♪」

4人が走り出す。     町外れの小高い丘に向かって・・・・。


―――――――――――花火が夜空に咲き誇る。

その光に照らされて、紅孩児と桃花はお互いの姿を見つめ合う。

「・・・・紅君・・・。」桃花が一歩、紅孩児に近づいた。「俺は・・妖怪なんだっ。」思わず俯く紅孩児。

「だから、何?」「!!?」
桃花はしゃがみ込んで、紅孩児の顔を下から覗き込んでいる。

「あたし、妖怪に酷い目に遭ったこともあるし、殺されかけたこともある。でも、妖怪に救われた事もある
・・・人間にだって悪い人は一杯居るよ?種族の違いなんて、どーでもイイ事なんだよ。」

まるで子供に言い聞かせるように、優しく言葉を紡ぐ。

「紅君は、あたしを救ってくれたじゃない。2度も。
そこの連れの・・「独角兕だ。」独角兕が片手を上げて、自己紹介する。

「うん、独角兕さんだって、いい人だと思うよ?だって紅君の仲間じゃない。」
「しかし、俺は・・・。」

桃花が立ち上がる。
「自分の為に、自分が信じている事に、躊躇いも迷いも持たないで。例え、世界中が不幸になっても。」
真っ直ぐな黒曜石の瞳に、紅孩児が映っている。

「あたしは、桃源郷が・・・また、平和な世界になるように自分で出来る事をするつもり。
途中で死んでも後悔なんてしないよ?自分が信じている事をするんだから。」クスッと桃花は笑って、

「あたしの連れは、鬼のように強いからさ~。・・・・当分生きていられると思うけど、ねv」


『そうか・・・やはり、お前の“連れ”というのは・・・』


「ああああぁぁぁっ!!!桃花ああぁっっ!!」馬鹿デカイ声が、響き渡る。
「っっっ!悟空ちゃん!?」

桃花が驚いて振り向くと、三蔵・悟空・八戒・悟浄が立っている。

「あ~・・みんなで探してくれたんだ。ありがと~。あのね、ココにいる紅君が・・「桃花。」

「はい?」「こっちに来い。」三蔵が右手を差し出す。
利き手の左手には銃を握り、紅孩児へと向けられている。

「え・・・何・・「いいから!来いっつってんだよ!」
見ると、悟空と悟浄もそれぞれの武器・如意棒と錫杖を具現化させて構えていた。

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