勝手に最遊記

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Making ―12―


バシイィッ!! 如意棒が大蛇の腹を打つ。

「・・一体、何匹いやがるんだよっ!?」
スパアッ、錫杖で一気に大蛇の体を切り裂いた悟浄の息が上がる。

「減らず口を叩いているヒマはないぞっ!」
ガウンガウンッ・・・続けざまに二匹を仕留めた三蔵が叱咤した。


三蔵が洞穴へ向けて、銃を連射したところ、
一気に大蛇の群が溢れ出てきた。

片っ端から殺しているのだが、湧いて出る泉のように次から次へと
這い出してきてキリがない。

『・・・コイツら?』
三蔵が冷静に大蛇を観察する。
一口に大蛇と言っても、その大きさはマチマチだ。
大きいものはゆうに5メートルを超えるが、小さいものは2メートルもない。

「コイツらに親が居るっ!元から絶たなきゃキリがねぇぞ!!」
三蔵が叫ぶ。
「親ってドコに居るんだよっ・・って、うわぁっ!!」
悟空が大蛇の尾で叩きつけられる。

「・・・悟空っ!!」
悟浄が錫杖で、大蛇を縦にまっぷたつにする。

「いて~・・さんきゅー悟浄。」
悟空の声に悟浄がホッとする。
「休んでるヒマねーよ?さっさと終わらせようぜっ!」

「ああ、親は洞穴の中だっ!」
三蔵が洞穴へ走り出す。
しかし、這い出てくる大蛇によって行く手を遮られ、思うに進めない。


「――チィッ!」

「こんな事なら・・・八戒を連れてくるべきだったよなぁ!」
襲いかかる大蛇を切り裂きながら、悟浄が怒鳴った。

「しょーがねーよっ!居ないモンはっ・・・!」
如意棒を大蛇に突き刺して、悟空が怒鳴り返す。


ドオンッ・・・・光球が大蛇たちを消し飛ばす。


                      「呼びました?」

                  いつも通り、にこやかに八戒が笑っていた。


「八戒っ!!」
悟空が嬉しそうに駆け寄る。

「お前な、美味しい登場の仕方すんなっての。」
ニヤリと笑いながら悟浄が言った。

「・・・・で?その鍋つかみはなんだ?」
三蔵が指摘したのは、桃花に巻いてもらった包帯・・・。

「あははは。僕は結構、気に入ってるんですけどね。」
「ケッ。あのバカ女。包帯もろくに巻けねぇのか。」
不機嫌な三蔵に苦笑しつつ、
「ちょっと時間を稼いで貰えますか?特大級の気功、ぶっ放しますから。」
八戒の言葉に、無言で三蔵が洞穴へ向かう。
悟空と悟浄もそれに続く。

「―――――――――――――・・・・・」八戒が神経を集中させる。

「だぁーっ!腹減ったってー!!」
大蛇を叩き伏せながら悟空が喚いた。

「んじゃあー、この大蛇共を蒲焼きにでもして食うかっ!?」
大蛇の群に、錫杖が一閃する―――只の肉塊に変えながら。

ガウンガウンガウンガウンッッッ・・・『弾切れかっ!?』
「――八戒っ!!」

「みんなっ・・・避けて下さいねっ・・!」
ひときわ大きい、“気”の光球が八戒の頭上に浮かび上がる。

「はあぁっっ―――――――・・・・!!」

光球が木を、岩を、大蛇を吹き飛ばしつつ、それでも衰えることのない勢いで
洞穴へと突っ込んでいく。

そして――――・・・。



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