勝手に最遊記Ⅱ

勝手に最遊記Ⅱ

Separation―2


「おっ♪お前が桃花だな!?」菩薩が面白いオモチャを見付けたような顔をした。

「菩薩様っ・・。」次郎神の制止も聞かず、ズンズンと桃花に近づく菩薩。「ほー。成る程ねぇ~。」
無遠慮にジロジロと眺める菩薩に、少しずつ後退する桃花。

「あんだよ?何で俺から離れる?」「え・・いえ・・その・・。」菩薩に右腕を掴まれ、口ごもる。
「おっ・・お姿が・・・。」視線を合わすことが出来ず、赤くなって俯いてしまった。


―――――いくら桃花が(一応)女性で、見慣れているはずのモノでも。
こうも“どうだっ!!”と言わんばかりに裸の胸を晒されていては、恥ずかしくてまともに向き合えない。

『・・って、なんで皆平気なのよ~っ!?』男共の方が平然としてるなんて!
桃花にはソッチの方が解せない。

クッと菩薩が性質(たち)の悪い笑みを浮かべ、
「姿?は・・・可愛いこと言うじゃねぇか。」クィッと桃花の顎に指をかけ、顔を上げさせた次の瞬間――


【ぶちゅうっ・・・濃厚な口づけを、かました。



――――――――その場の全員が固まること、30秒。





「・・いっ、いい加減にしやがれぇっ!!」ガウンガウンッ!!・・・狙い違わず。
菩薩の後頭部に発砲された弾丸は、菩薩の体に当たる寸前―――――消滅した。


「・・雰囲気を壊すヤツだな、てめぇは。んなモンで神を殺せるはず、ねぇだろうが。」
片目を瞑りながら、うざったい様子で首だけを三蔵に傾けて見せた。

菩薩から解放された桃花がズルズルと座り込む。

「桃花っ!」慌てて悟空が駆け寄る。
「・・てめっ、なんで桃花から血気を吸い取ったんだよっ!?」以前、酷い目に遭った悟浄が詰め寄る。
「あん?血気を吸い取る必要なんざねーだろ?」「じゃ、なんでっ・・「俺の趣味だ。」


・・・・アッサリと。言い放った菩薩に悟浄が固まる。


「お・・女の人に・・・キ、キスされ・・。」虚ろに呟く桃花へ、「案ずるな。“下”も付いている。」
・・・・またもやアッサリと。その言葉に「いやーっ!!オカマだあぁ!!オカマとなんてぇっ!!」
喚く桃花を後目に、「悪ふざけは其処までだ。で?忠告とやらは?」剣呑な眼で、三蔵が問いただした。


「・・・ふん。お前ら、この先の村に寄るつもりなんだろ?」「それが?」菩薩は一息付いて、
「止めろ。・・・寄るなよ。」そう言って、三蔵達を見回した。

「罠が有るとでも?」「ま。そう言うこった。」菩薩と三蔵の会話を聞いていた八戒が、
「・・・本当にお珍しいですね。罠が有ろうが無かろうが、貴方には関係無いんじゃ有りませんか?」
穏やかな笑みを浮かべたまま、菩薩の眼を真っ直ぐに見た。




実際。菩薩が三蔵達の前に現れたのは、一度だけ。
それ以来――――――どんな苦境に陥ろうが、瀕死の状態になろうが。現れた事は無かった。
それが、何故?そう言いたげな、八戒の視線。

ポリポリと耳を弄りながら、
「~~まぁ、な。天竺も近いし。面倒事に巻き込まれて欲しく無いってーのと。」瞬間。真顔になって、
「・・・大事なモン。無くす事になっちまうのも・・なんだしな。」小声で付け足した。




「はい?」八戒が聞き返した時には、既に菩薩は踵を返していた。そして、「孫 悟空。」
桃花を助け起こしていた悟空に向かって、「強く なれよ。」「・・・え?」悟空の顔に動揺が走った。

「んじゃーな。」その言葉だけ残し、次郎神と共に姿を―――ザンッ・・消した。




「・・・なんだったんだよ。アイツ。」悟浄が呆れたような声を上げた。
「判りませんねぇ・・・三蔵。どうします?」八戒が三蔵を伺うと、
「決まってんだろうが。 寄るぞ。」不機嫌そうにマルボロを取り出した。



現実問題として――――食料どころか、飲料水までもが底を尽きかけている。ココで村に立ち寄らなければ、
次の町まで保たないだろう。
『・・・罠がある、そう言われても。』寄らないわけには行かないのだ。
『ま、心構えが出来ただけでも良しとしましょう。』そう思っていれば、危険を回避する事も容易い。




皆がジープに乗り込む。
先程までとは違い、何となく静寂な雰囲気だ。




桃花は(オカマに)キスされた事にショックを受けたままだし、悟浄はヤニ切れで瀕死状態。
三蔵はマルボロを吸いつつ(悟浄には分けないらしい)超絶不機嫌。そして悟空は・・『悟空?』
黙りこくったままの悟空。菩薩の最後の言葉が気になっているらしい。



『確か・・・悟空は天界に居たんですよね。』天界での記憶は、封印されていると聞いている。
と言うことは、菩薩は悟空の過去を知っている・・・と言うことになる。

その菩薩が“強く なれよ。”悟空に言った言葉。この言葉の意味は・・・とてつもなく、深い。

『本当に・・・・村に寄っても良いんでしょうか。』



少しずつ。浸食してくるような不安感。八戒は密かにため息を付いた。










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