勝手に最遊記Ⅱ

勝手に最遊記Ⅱ

Pain―Past-5




それから数日後、初秋の気配が漂いだした頃――――――――――・・・・





村では萄花と小瑯の結婚式の準備が着々と進み、後は小瑯が行商から戻るのを待つのみとなっていた。





「・・で、このお椀も持って行くの?新しいの買えばいいのに~」
「夏花。余計なお金を掛ける必要はないのよ?新生活には他にも色々と・・」
「萄花、夏花の言う通りだぞ。何も家で使っていた物を・・「良いって言ってるでしょ?それでなくてもお金は掛かるんだし」

困った笑顔で父と妹を窘める萄花。

新生活に不自由がないように、と。取り計らってくれる気遣いは嬉しいが、この家の財政状態を一番良く知るのは自分である。

「でも、最低限の物は買おうよ!小瑯とお揃いの茶碗とか。
だってココのを持って行ったら、帰って来た時にご飯が食べられないじゃない!」
「・・・そうね、有り難う」

妹の必死な顔に苦笑が浮かぶ。幾ら結婚して家を出るというからとしても、狭い村の中だ。僅かな距離しか離れないのに。


「これで後は夏花を嫁に出すだけだな・・」
「何言ってんの、お父さん!あたしはまだまだよ!やっとお姉ちゃんがお嫁に出るのに・・」
「ちょっと夏花!やっとって何?やっとって!!」

笑いながらじゃれあう姉妹を眼を細めて見る父。









穏やかな日常、幸せな未来――――――――――それが、ずっと。続いてくモノと信じていた瞬間・・・







「たっ、大変だよ!小瑯がっ・・!!」




突然、開け放たれた扉。


思わず立ち上がった三人の家族。


それが、―――――――――――――――――――悪夢への始まりだったとは、誰も気が付かなかった・・・






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