天使のつばさ

天使のつばさ

ホイッスル CP (シゲ×将)



くぅ~んっ
子犬特有のの甘えた鳴き声に、成樹はふと足を止めた。
足元を見れば、そこには茶色く、てふわふわした子犬が、大きな黒い目で成樹のことを見上げていた。
「なんや、捨て犬か?」
成樹はそういうと、ひょいっと子犬を持ち上げ、目を合わせた。
「お前、捨てられたんか?」
ん?と尋ねるように首を傾げれば、子犬もまた、同じように首を傾げて見せた。
「って、お前が首傾げてどないするんや」
成樹は1人でくすくすと笑うと、子犬を抱えたまま、家路を急いだ。

翌朝。
桜上水サッカー部の朝連前の部室でのことだった。
「おはよーさん」
「あ、おはようございます!シゲさんっ!」
「って何だそれ」
と、竜也が指差したものは、紛れも無く成樹が昨日拾った茶色い子犬。
「わ~っ!可愛いですね~っ。どうしたんですか、この子?」
将は成樹から子犬を受け取りながら、成樹にそう尋ねる。
「昨日、帰りしなに拾たんや」
「何故、学校に連れて来る必要がある?」
そう、もっともなツッコミをした大地に竜也も賛同する。
「連れて来るなよ」
「せやかて、『将』がくっついてきてもたんやんか」
将という言葉からそこにいた部員全員は『風祭将』を連想しただろう。
「…風祭?」
その考えに逸速く行き着いた竜也は、凄みのある顔で成樹に問うた。
「あ~ちゃうちゃう。あの犬の名前や」
「は?」
予想外の答えに、竜也は首を傾げる。
「なんかあいつ、ポチに似とうやろ~?」
怪訝そうな顔をしている竜也を尻目に、成樹はそう説明した。
「昨日一晩一緒に過ごしてみて、あ~ポチに似とうな~って思てん」
「じゃあ。ポチでいいんじゃないのか?」
竜也としては密かに思いを寄せている相手の名前を可愛いとはいえ、犬に付けられるのは面白いことではなかった。
「せやかて、これやったら思う存分『将』って呼べるやろ?タツボンとカザって、妬いてしまうほど仲え~のにいつまで経っても『水野くん』『風祭』やもんな~。ほんまは『将』って呼びたいんやろ?」
「なっ!///」
図星をつかれて、竜也は反論することが出来ない。
「まあ、別にポチでもえ~ねんけどな。…俺は普通に『将』って呼べるし」
「え?」
どうしてだと聞き返す前に、シゲは部室の自分達より離れたところに居るはずの将を呼んだ。
「将~」
と、この場合は人間の『将』なのか子犬の『将』なのか分かりはしなかったけれど。
「え?」
と、呼ばれた方を振り返った将だが、成樹と目があった瞬間、笑われてしまった。
「だぁ~っ!ほんま…」
「な、なんですか!?」
目尻に涙を溜めて笑い出す成樹に将は苛立ちを隠し切れない。
「いゃあ~っ、ほんまお前って子犬みたいやな~、思うてな」
笑い涙を拭いながら成樹の指差す方向には、子犬の『将』 に押し倒される(?)ような体制になってころげている将だった。
確かにその姿は犬っぽい。
「それよりっ!この子どーするんですか~?このままじゃ朝練できませんよ~っ」
将は子犬を胸に抱きながら体を起こすと成樹達の方へ寄って行く。
「せやな~…どないする、キャプテン?」
「白々しい…中止にすればいいんだろ?…放課後はいつもの河原な」
「さっすがタツボン!嫁に貰いたいくらいやわ」
その成樹の言葉に竜也はげっそりとなり、将はもともと大きな目をさらに大きくした。
「…っ!僕のことシゲさんのお嫁さんにしてくれるって言ったのに!」
「なんだって!?」
将の問題発言に竜也はショックを隠し切れない。
当の本人と言えばきょとんとして首を傾げて「僕なんかおかしなこと言った?」なんて言っている。
「か、風祭?」
「何、水野くん?」
「さっきのって…?」
今にも倒れてしまいそうな青い顔をして竜也は将にそう尋く。
「あ~っもうその話はええわ」
「シゲさん?」
「まあ、そういうわけやから」
成樹は竜也に意味あり気なウィンクを飛ばして、子犬ごと将を抱き締めた。

今回の勝者
佐藤成樹



fin


【コメント】

争奪戦大好きですv

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