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FUTURE (仮)
送りつけ小説
桜花天舞様に送りつけた小説です。ヒロインはレニ。
共に過ごす時間
ある春の午後、緩やかな日差しが心地よい日。
そこに一人の少女―――レニ・ミルヒシュトラーセはいつものように中庭で日向ぼっこをしていた。
するといつものようにフントがレニのところへとやって来た。
レニはフントの頭を撫でるとフントは嬉しそうに鳴いた。
「久し振りに散歩でも行こうか?」
フントは成長して飼い始めた頃とは比較にならないほどたくましく成長していた。
もともと動物に好かれやすい体質のレニであるが、フントも仔犬時代からずっとレニに一番懐いている。その所為か、いつからか彼女がフントの世話をよくするようになっていた。
最初の頃は全く犬になんて興味をまるで示さなかったレニが、今では世話する事が日課になり、フントと共に過ごす時間も一つのリラックス方法にもなっている。
―――――ボクもフントも同じ・・・似たもの同士なんだね。生まれた場所もわからなくて、家族も友達も誰もいなくてひとりぼっちなんだ・・・
「でも、今はレニもフントも一人じゃないよ。 今は皆がいるだろ?」
(微笑みながらそう言ってくれたあの人に、ボクは・・・)
「やあ、レニ。やっぱりここにいた」
「あ・・・隊長」
隊長と呼ばれる一人の青年がレニに声をかける。そして優しく笑いかけるとレニの頬がうっすらと赤く染まる。
隊長こと、大神一郎は海軍中尉であり、ここ大帝國劇場のモギリ兼雑用でもある。しかし、その実態は知る人ぞ知る、秘密組織“対降魔迎撃部隊 帝国華撃団花組隊長”なのである。
レニもまたその隊員で、彼の事を隊長と呼んでいる。
全く興味なかったフントと関わることを、いやそれ以上にも大切な事を教えてくれた人
信じあえる仲間と一緒にいることの幸せを教えてくれた人
心の氷を溶かしてくれて、尚且つ自分に感情を教えてくれた人
初めて心から気の許せられるようになった人
人を愛する事、その存在を守る事の大切さとそれがとても素晴らしい事だと気付かせてくれた人・・・
離れて悲しみや辛さを知り、その存在を改めて大きく感じた
また大神も、・・・最初はただの同情だったのかもしれない
でも、面倒見がもとより良い方であった大神は心を開いたばかりで無防備な上、精神的に未熟なレニのそばから離れなくなってしまった
時を重ねる毎に孤独だったが為に冷たく感じられた彼女は、本当は心の優しい少女だと知って
隊長としての、・・・或いは父親や兄のような保護欲から次第に一人の女性に対する恋心へと変わっていった
心の底から彼女を守ってやりたいと思うようになった
離れてその愛しい気持ちが更に大きくなった
いつしか二人は、互いに想いを寄せるようになっていたのだ
「天気がいいし、一緒にフントを連れて散歩にでも行こうか」
大神はレニと二人っきりで一緒にいたくて誘った。
「え?」
「迷惑かい?」
「迷惑なんて、そんな事は・・・」
「じゃあ、行こう」
最初戸惑ったレニではあるが、小さく頷いた。戸惑うのも無理もない。照れくささ等もあるだろうが、何より今から自分がしようと思っていたことをさ誘われたのだ。でも、なんだかその偶然が不思議な感じがして不快ということはなかった。
大神がニ、三歩歩前へ、レニがその後ろをゆっくりと歩く。フントはレニの真横に並んで歩く。
ざわついた町並みから次第に静かな場所へ。
やがて川が緩やかに流れている原っぱに着く。
ついた途端フントは元気良く飛び出していった。
「フントのヤツ、元気がいいのは仔犬の時から変わってないな・・・お~い、フント!あまり遠くに行くなよ~」
大神がそう言うと、フントは言葉を理解したように「ワン」と一言吠えて花畑にいる蝶を追かけていった。
二人は自然とその場に腰をかけた。
柔らかく生い茂っている草のじゅうたんと爽やかに吹く風が二人をそっと包む。
「久し振りに晴れたからよかったよ。雨続きでフントも退屈だっただろうし。こうして天気がいいと気持ちも晴れ晴れしてくるよな」
「そうだね」
大神は大きく欠伸をした。
「こう暖かいと眠気も襲ってくるけどな」
ちょっと困りながら欠伸する大神にレニはクスッと笑った。
「ボクも、こうして太陽の光を浴びてると とても心が落ち着く。・・・なんだか、隊長の温かさと似ている気がする」
「そ、そうかい?」
大神は照れた。そのためか、顔が少し赤くなっているようであった。
レニは、大神が巴里へ赴いてからの時を思い返していく。
二人は半年という短いようで長い日々を日本とフランスという遠く離れた場所で過ごしていた。
もしかしたらこんなに早く会えることなんてなかったのかも知れない。
それでもいつかまた会える日を楽しみにしながら信じて再会の日を待っていた。
巴里で何度も大神の活躍を聞かされるたびにホッとして、逆に敗北を聞かされたときや消息不明と連絡があった場合は言い表す事のできない不安に襲われた。
そんな時はアイリスと一緒になって健気に何度も何度も祈った。
クリスマスの一緒にいたいという願いも、神社で引いた一番良いという大吉のくじにも見事に裏切られたけれど、それでもレニは信じて祈った。
無事に帰って来た大神を見たときは言葉が出てこなかった。
「ただいま」という声を聞いたら安心して涙を流し、「おかえりなさい」と一言。
それから思わず大神に抱きついた。
二人は今まで一緒にいられなかった時間を埋めていくかのように時間の許す限り一緒に過ごすようになった。
「・・・ボク、最近考えるようになった事が二つあるんだ」
寝そべって空を見上げている大神にむかって言った。まだレニのほうから話し掛けてくることは珍しい方である。こうして話してくれることは隊長としても一人の男性としても嬉しい事である。
「なんだい?」
一息呼吸をしてレニは話し始めた。
「前は、性別なんて・・・男女の差なんて種としての個体としてみた場合、大きな違いはないって言ったよね?・・・暫くは本当に機能的に違うだけだと思っていた。でも今は、こうして隊長と一緒にいると女の子として生まれてよかったと、嬉しい事なんだって・・・そう思う」
大神は上半身を起こしてレニの頭をそっと撫でた。
「そう思ってくれるなんて嬉しいよ。有り難う、レニ」
レニはなぜ礼を言われるのかいまいちわかっていなかったが、大神の大きい手の温もりに頬がうっすらと桃色に染まる。
「もう一つは?」
大神はレニとのこうした会話を続けたくて訊ねた。話すこともそうだが、彼女がどれだけ成長しているのか――――勿論、見ていればわかることだが、どれくらいレニが自分自身のことをどのように思って受け止めているのかという事が知りたくて。
それは隊長としてというものだけでなく、ずっと彼女を見続けてきた彼にとって興味深いところであるから。
「もう一つは・・・」
呟くようにオウム返しのように応えた。しかしそこで黙り込んでしまう。
「レニ?」
大神は心配になって声をかける。
「・・・なんでもない」
「・・・・・・?」
「・・・言ったら、隊長、きっとボクのこと嫌いになる・・・と思うから」
そう言ったきりレニは何も言わず俯いてしまった。
「レニが言いたくなければ無理に言わなくてもいいよ。言いたくなったら焦らずに少しずつ話せばいい」
いつもより、優しい声で。「でも、俺がレニを嫌うなんて事はまずないから」と付け加えて、またそっと柔らかな銀の髪を撫でる。
暫くしてレニが口を開いた。
「・・・巴里で、隊長が他の人と仲良くしていた時、胸が苦しくなったんだ。今まで知らなかった感情がボクを支配して。・・・何よりあの非常事態にそんな事考える自分にイライラして」
そう、再会は大神が帝都に戻ってくる前一度果たせた。
しかし、遊びに来たわけでない。あくまで任務の為。
それでも、自分の知らない女性に囲まれて楽しそうに・・・はともかくとして、決して誰も入り込めないような絆を見せられた気がした。
何より、すぐ前にいる思い人がなんだか自分の知らない人にも思えて、レニは胸が締め付けられるような思いをした。
きっと、一緒にいた織姫も・・・いや、その前に大神と再会した花組のだ誰もが少なからず同じ気持ちを抱いたであろう。
「それが嫉妬という事は後からわかったんだけど。・・・ボクはその時冷静になれなかった。隊長の為にだったらどんなに危険な事でもしたかった。命をかけても惜しくはなかった」
・・・・・・―――――そう きっと、巴里花組に負けたくはなかったんだ・・・
・・・ボクは隊長に命がけで助けてもらった 守ってもらった・・・
・・・だから、他の事は頭になかった 真っ白だった
今度はボクが隊長を・・・
死んでしまったら何もならないって解かっているけど隊長の為ならば・・・
・・・あの時ほど自分が自分じゃないって思えたことはなかった--------・・・・・・
「・・・っレニ!」
そっと華奢なその身体を抱き寄せる。レニは突然の事に驚き身体を強張らせる。
「ごめんな、君を置いていくことなんて、どんな理由があってもするべきことじゃなかった」
「!駄目だよ、隊長は・・・」
「勿論、それはわかっているよ。でも、頭でわかっていても、気持ちが・・・」
大神の身体は震えていた。 守らなくてはいけない人にそんな思いをさせてしまって酷く罪悪感に襲われた。
「何より、君をこんなにも不安にさせてしまって・・・」
・・・・・・・ 隊長っ―――――――
「・・・ごめん。本当に・・・ごめん」
大神の腕に力がこもる。それでも震えているのは誤魔化せなかった。
レニはかぶりを振った。
「隊長謝らないで。隊長は何も悪い事なんてしてないんだから。今は、側に隊長がいるから、ボクはそれだけで良い・・・」
レニはこれ以上赤くならないだろう、頬を染めながら、回りきらない大きな背中に精一杯腕を回し、ギュッと大神にしがみ付く。
「・・・隊長は、みんなの隊長だからって解かっているのに・・・それでも隊長といつも一緒にいたいって、誰にも邪魔されたくないって・・・そう思うボクが変なんだ、きっと。・・・ボクはわがままなんだ」
大神は少し腕の力をこめた。
「そんな事ない。俺だって、君を・・・レニを独占したいって、いつも思うよ。例えそれが個人的な理由だとしても俺はそれでいいと思っている。だから、レニが俺と同じだってわかって嬉しいよ。
もし、そう思ってしまう君のことを誰も許さなかったとしても俺は許すから」
「・・・隊長、ずっとボクの側にいてくれる?ずっと一緒にいていい?」
「ああ、勿論だよ」
大神はゆっくりと優しく頷いた。
大神は顔をゆっくりとレニに近づけていく。
レニは次第に近づく顔を見つめてからそっと瞳を閉じる。
あと、数ミリ。
微かな吐息が互いの頬を撫でる。
二人の鼓動が高まっていく。
しかし・・・
「わんわんわんっ!」
さっきまで花畑にいたフントが元気良く吠えながら二人の間を割ってきた。
そして、レニに飛びつき顔を舐め始めた。
(くぅ~~っフント~~~!!)
大神はフントを恨めしそうに見た。いい雰囲気だったのを邪魔されたのだから無理もない。
(あと、もうちょっとだったのに・・・。10秒、いや5秒。・・・無念)
「アハハハハ、フント、くすぐったいよ」
「・・・ま。いいか」
しかし、フントと無邪気に戯れているレニのその微笑ましい光景に恨めしい気持ちは薄れていった。
「そろそろ帰ろうか」
気付けば、太陽が傾き始めていた。
「うん」
二人と一匹は歩き出した。 フントは二人の間を行ったり来たりして歩く。
不意に大神の手にためらいがちだったが、はっきりと柔らかい感触がした。
手の方に視線を送るとレニが顔を真っ赤にしながら大神の手を握っていたのだ。
大神はレニに優しく微笑むと、その手をぎゅっと握り返した。
夕焼けが美しく輝き、二人を優しく包み込むように照らした。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【後書き】
なんていうか・・・偽者レニって感じです。称して“レニセ”(なんのこっちゃ) 果たしてこんな事を彼女は言うのでしょうか?思ったりするのでしょうか?
心を開いて、他の女の子のも普通の感情(どちらかっていうとマイナスな感情)を持つようになるというのを表したかったのですが・・・。あと、恋すると女は強くなる事もあるけれど弱くなるのよ~、だから守ってあげて!というあたりを。レニに限らず、共通している事だと思う。(のは勘違い?) 私にとっては未知の世界。 大神さんはちゃんと皆を守ってますけどね。
“個人的に”嫉妬するのも度を越え過ぎると見苦しく思うのですが、私は大事な感情で素晴らしい感情の一つだと思います。 やっぱり、好きな人は独占したいのでは?という勝手な思い込みですが。ただ、嫉妬という言葉を辞書で調べるとあんまよくない意味だったりする。
う~ん、レニのSSは一番書き易くてよく書いているのに、何で上手くいかない?
フントが途中で邪魔するの、ありがちなネタかな?とは思ったのですが、これを書くときが一番ノリノリでした。(性格極悪・・) 楽しかった~♪(鬼畜) それから大神さんにくさい台詞を吐かせるのも♪レニの心の成長というか変化と彼の長所の一つである優しさが表れていればそれでいいのかな?
私は二人の2のEDで、「この二人はこれから始まるんだぞ~」ってかんじの雰囲気が好きです。初々しくて。だって、昨今の若者はどうも恥らう人とか減少する傾向にあるように思えるから余計に。(ババくさ・・・)
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