日常生活の留意点

~日常生活の留意点~

『住まいは清潔で簡素に』

 つねに居る部屋も、つねに用いる家具・道具類も、
飾り気なく質素で、汚れがなく、清潔なものが良いのです。
居室は、風邪や寒さを防ぎ、安らかに過ごせることころで
なければなりません。
家具・道具類は用が足りて不自由しなければそれで良いのです。
華美を好めば癖になり、思いあがって欲張ることになり、
結果、自分の心を苦しめ、要らぬ用事も増え、
養生の道に害を及ぼすことになるのです。

『大小便の通じをよくすること』

 大小の二便は、早く通じて体から去るのが良いです。
こらえるのは害があります。
もし不意に慌ただしいことが起きてしまえば、
排泄する暇もなくなってしまい、
大便をしばしば我慢すれば「痔」になってしまいます。
また、排泄の時、あまりいきんではなりません。
“気”が昇って、目が不快な感じになり、心臓の鼓動が乱れます。
あまりいきむと害が多いので、自然に排泄するのがよいのです。
つねに便秘がちな人は、毎日便所に入り、あまりいきみすぎないように
注意して、少しずつでも出すようにしなさい。
そうすれば、便秘が長く続くなどということはありません。

『入浴は熱すぎないこと』

 熱い湯に浴するのは害があります。
湯加減は自分でみて、頭や体を洗いなさい。
快いからといって、熱い湯に浴してはなりません。
“気”が昇って、減ってしまいます。
特に目を患っている人、凍えている人は
熱い湯に入ってはなりません。

『11時までには寝る準備を』

 夜に本を読んだり、人と語ったりするのは、
11時を限りとすべきです。
深夜まで寝ないで起きていると、精神は鎮まりません。

『無病の時こそ病を思え』

 古詩では「安楽の時、常に病苦の時を思え」と言っています。
病がなくて安楽な時に、病気にかかって苦しかった時のことを
つねに思い起こし、忘れてはならない、ということです。

『誰にでも医学の心得は必要』

 諸芸には、日常とくに役に立たないものも多いものです。
ただ、医術は役に立つものです。
医者ではなくても、少しは学んでおいた方がよいのです。
医術は、我が身を養い、父母にも仕え、
人を救うのに益があるのだから、もろもろの雑芸よりも
役に立つことがとりわけ多いのです。
知らないなどということがあってはなりません。

ただし、医者ではないのだから、
治療に習熟してはいないので、
みだりに薬を使ってはなりません。


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