心の扉 第4話



百合は、この日から心を閉ざしてしまった―――――



学校へ行かない、部屋から出ない。

そんな日が毎日続いた。

俺は、そんな百合を、見てられなかった。

今すぐにでも百合を救いたい。

どうして今までそばにいたのに、気付いてやれなかったのだろう。

百合は1言も話してくれなかった。

たった2人の家族なのに、百合は、俺にまで話してくれなかった。

俺が、信用できなかったのか、俺を悲しませると思ったのか。

俺は、自分の非力に痛感した。

たった1人の妹も救ってやれないなんて・・・・・



「転校しよう」

俺が百合にこの話をもちかけたのは、心を閉ざしてから約3週間ぐらいたった後のことだった。

わかってくれたのかわからない。

部屋の向こうからは、何の返事もなかった。

けど、その次の日、久しぶりに百合が部屋からでてきて、かぼそい声で、

「・・・す・・る・・・転・・校・・・」

と言った。

目が赤くはれあがった顔で、そう言った。

そしたら百合は、突然泣きだしてしまった。

「ごめん・・ね・・・お兄ちゃん・・ごめんね・・・私のこと・・嫌いに・・・ならないで・・・」

俺は百合を、抱きしめずにはいられなかった。

なんで謝るんだ。

謝らなきゃいけないのは、俺の方なのに。



綺麗な髪、綺麗な瞳、そして、綺麗な涙―――――

もう何も失いたくない





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