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建築写真家とは?



建築写真(けんちくしゃしん)とは、文字通り、建築物(建物)を撮影した写真のことである。

建築物を風景や都市の一部として捉えて撮影された場合には、風景写真や都市写真であるともいえるし、建築物の機能等に視点をおいて撮影される場合には、科学写真であるともいえる。しかし、最も純粋な意味での建築写真は、建築物のデザインを見る者に伝えることを目的としているといえよう。

その手法としては、一般的には、ストレートフォトグラフィが取られるが、デザインの忠実な伝達を目的としない場合には、ピクトリアリスム等が採用されることもある。ただし、一見ストレートフォトグラフィ的な手法を取るものであっても、建築写真はその建築物自体の正しい見え方を写し取ったものとは必ずしも言えない。例えば、その構図としては、建物外観については二点透視図法、内観においては一点透視図法的な、いいかえれば静的かつ説明的ものが好まれ、あおりの調整によって垂直方向のパースペクティブを修正されるケースが殆んどである。また、どうしても写り込んでしまう人物や電柱や電線などを消去する作業が行われることも多い。さらに、公共的な施設であっても、極度に人物が少ない状況、もしくは全く居ない状況で撮影が行われる事が多い。これは、設計した建築家の設計時における設計意図を明確に表現するためだが、一方でこのような建築写真の恣意性や、硬直化・マンネリ化した表現を批判する意見もある。

建築写真の分類

撮影地点による分類
建築写真は、主にその撮影地点によって分類できる。

鳥瞰写真 周囲の高い建物から、もしくは飛行機からの空撮によるもの。敷地と建物配置、周囲の状況を示す。
外観写真 建物の外装の全体的なデザインを示す。
内観写真 建物の内部空間のデザインを示す。
他に、建物の細部(ディテール)をクローズアップしたものが撮られる場合もある。


時間帯による分類
また、撮られる時間帯によっても分類できる。

昼景 昼間の状況(主に建物外観)を示す。
夜景 照明の状況などを示す。
薄暮 日没の前後の状況を示す。
昼景の場合は建物内部が、夜景の場合は建物の外観が見えづらくなるため、外観と照明の状況の両方が記録できる薄暮の時間帯を狙って撮影が行われる事がある。


主な建築写真家
建築写真の分野は専門化されているため、建築写真を撮影する写真家は、建築写真家と呼んて区別することもある。彼らの作品は、建築設計業に携わる者や建築を学ぶ学生を対象にした建築雑誌と呼ばれる専門雑誌で発表されることが多く、建築雑誌の中には内部に写真担当のセクションを抱えている所もある(新建築写真部など)。また、建築写真を専門にした会社組織もある(ナカサ・アンド・パートナーズなど)。一部の著名な建築写真家を除くと、建物の竣工時に写真家に撮影が依頼され、施工者から工事報告の一部として施主に提出される写真(「竣工写真」と呼ぶ)、分譲マンションなどの販売用パンフレットのための写真、建築家や設計者のプロモーションのための写真を主な生業にしている写真家が大半である。

著名な日本の建築写真家としては、二川幸夫が挙げられるだろう。彼は自ら建築雑誌"GA"を発行して写真を発表するだけでなく、誌上にて活発な建築批評を行っており、建築ジャーナリズム界において重要な位置を占めている。また、建築専門のギャラリーや建築専門書店を経営するなどの活動も行っている。

一般に、他分野の写真家が建築写真を撮影することは稀だが、近年では篠山紀信やホンマタカシ等の写真家が撮影したケースもあり、これは前述のマンネリ化から切り離れた写真が要求された結果と考えられるだろう。


日本の建築写真家(組織も含む)

二川幸夫
雑誌"GA"発行人、東京千駄ヶ谷にGA Gallery、GA Bookshopを経営
スズキ・ヒサオ (Hisao Suzuki)
スペインの建築雑誌"El croquis"専属写真家
新建築写真部
ナカサ・アンド・パートナーズ

海外の建築写真家
ジュリウス・シュルマン
建築家ピエール・コーニッグ設計によるケース・スタディ・ハウスNo.22の写真が代表作

その他の写真家・美術家
(一般に建築写真家として認知されてはいないが、建築写真を撮ったことのある写真家、もしくは被写体として建築物を好む写真家・美術家)

ヘルント&ヒラ・ベッヒャー
工場や給水塔など、産業・インフラ関係の建築物を撮影した連作など

篠山紀信
建築家磯崎新と書籍「建築行脚」シリーズを共同執筆・撮影

ホンマタカシ
建築家妹島和世の作品を撮影、また六本木ヒルズ関連の撮影。また雑誌SWITCHで建築家貝島桃代の連載の写真撮影やカーサ・ブルータスでの連載など建築との関わりが深い。

宮本隆司
著名な近代建築の取り壊し過程や建設過程を撮影した作品など

杉本博司
美術家。著名な近現代の建築物を、ピントを大幅に外して撮影した「建築」シリーズなど

伊奈英次
雑誌東京人の建築特集などを中心に撮影している。また「zone」シリーズでは建築写真の技術で在日米軍基地を撮っている。

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