神獣使い達の旅日記

駆け抜ける風

「文句言わないの！」
オレの呟きに相棒であるサマナーが怒る。
「だってよー…何でアリアンからスマグまで走らなくちゃならねえんだよ」
「仕方ないでしょー…これも試験の１つなんだから」
こんな言い合いをしながら俺達が道を進む事になったのは少し前…

情報収集の為、ある組織に入る事になった俺達。けどそんな簡単に入れてくれるハズが無い訳で。
「君達の耐久力がどれ程の物か見たいから…そうだなぁ…」
悩む組織のリーダーを見てて嫌な予感がしたのは俺だけじゃないだろう。
「うん。アリアンからスマグまで走ってきて」
『は！？』
あっさりと言われた言葉に俺達は唖然とする。さらに自分達の力だけで行く事、と付け足された。
「じゃ頑張ってね」
「ちょ…」
抗議の暇さえ与えられず、魔力に包まれるその感覚に目を閉じた。
そして目を開けた時…俺達はアリアンにいた。
「試験スタート、って所なのかな…」
「…だろうな」
こうして俺達はマラソンさせられる羽目になった…

勿論、俺だって冒険者だ。体力とかには自信がある。
けど…これは流石にキツイ。マジで。
「なぁ…ドラツイ撃ってもいいか？」
「ストレス解消に？」
即答されて少し目を逸らす。的確だから尚更なんだよな…
「ま。街中じゃないし、大丈夫でしょ」
「街中でもやらねぇって」
「でもこの前街中で見えた気がするけどねー」
「気のせいだ」
笑顔で聞いてくる相棒に笑顔で返し、剣を構える。
「はぁぁっ！」
空に向かってドラゴンツイスターを放つ。氷竜は猛々しく暴れ、消える。
「ふぃー…やっぱ気持ちいいなー」
氷竜が暴れていた空を見上げながら言う。
「けどさ…」
召喚獣を三段階にしながら相棒が呟く。そこで俺は魔物に囲まれている事に気付く。
「…これって俺のせい？」
「さあね」
不敵に笑い、俺は地を蹴る。

「ふっ！」
パラレルスティングを決め、横手から来た攻撃を盾で防ぐ。
ん？戦士じゃないのかって？俺の本職は剣士なのさ。
じゃあ何でドラツイを使えるのかって聞かれると…まぁあれだ。見た目に惚れたんだ。うん。
「いくよ！アクアバンブー！」
相棒の声が響き、地下水脈が引かれ、水が噴き出す。
「ゲイルパンチ！」
慌ててバンブーの範囲外に逃げようとする魔物達を風が止める。
その隙に素早く魔物達の片付けに入る。動きを止められているから、急所に当てやすくてそんなに時間は掛からなかった。終わると同時にバンブー達の効果が消える。
「お疲れー」
召喚獣を元の世界に還しながら相棒が言ってきた。
「うし、行くか！」
「うん！」
剣と盾を仕舞い、俺達は再び歩き始めた。

目指すは魔法都市スマグ――

＊後書き＊
またまたメインクエの一部分から抜粋。
お手伝いさんがいない限り無課金には結構大変なクエ。
アリアンからスマグってこんなに遠かったんだな～、としみじみ思っちゃいますね。はい。
てか名前無いと書く側意外と大変だわ（ぁ

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