神獣使い達の旅日記

神獣使い達の旅日記

父の愛 前編



いつものように銀行で装備の整理をしていると、銀行員であるアンノープが俺に話しかけてきた。
「ようシーフさん。いつも我が銀行を利用してくれてありがとうな。ところで…引き受けてもらいたい仕事があるんだが、どうかな?」
「んー…内容にもよるかな。どんなの?」
今は特に受けている仕事も無いが、一応内容を聞いてから判断する事にした。
「まあ仕事って言っても魔物退治とかじゃないんだけどな。リンケンにある旅館の主人をしているペナックという人物を説得してもらいたいんだ」
「説得?」
仕事の内容をまとめると、ペナックの父親は有名な冒険家でブレンティル銀行で遺産相続の契約をしていた。そして自分が死んでから5年後にペナックに遺産が継がれるという条件だった。が…
「ペナックは自分の父親を非常に嫌っていてな。遺産相続を拒否しているんだ」
「嫌っているって…何で?」
「母親が病気で寝こんでいる時、REDSTONEを探すためにどこかに行ったんだよ。結局、母親は過労死さ」
「なるほどな…」
俺は少し考えた後、この仕事を受ける事にした。
「ありがとよ。とりあえず、遺産であるこの手紙をペナックに渡してくれ。頼むよ」
「了ー解。それじゃ、行ってくるよ」
アンノープが渡してきた山吹色の手紙は4,5年は経っているらしく、しわくちゃになっていた。


砂漠村リンケンに着きアンノープに聞いた旅館に入ってみると、1人の青年がカウンターにいた。
「あれがペナックかな…」
とりあえず聞いてみる事にして俺は青年に話しかける。
「あの、ペナックというのはあんたか?」
「そうだが…冒険家が何の用だ?トラブルばかり起こす奴らに貸す部屋は無いからな」
俺の格好を見て冒険家と分かったペナックは、明らかに歓迎していないような表情で見る。
「あんたの遺産相続件で来たんだ」
「俺はそんなのに関心はないよ。そんな品、銀行で勝手に処分してくれ」
「とにかく遺産であるこの手紙を読んでみてくれ」
預かった手紙をペナックに渡す。
「遺産が手紙?笑わせるなよ。だが、まぁ読んでみるか」
手紙の内容は流石に俺も読む訳にはいかないから、読み終わるまで少し待つ事にした。
それ程手紙は長くなかったらしく、やがてペナックは手紙から顔を上げる。
「俺がガキの頃あいつに連れて行った場所…スパインビーチでの出来事を書いてあるな。あの時運悪く津波が来てな。その時忘れてしまった荷物の中に、俺に見せようとしていた物があったらしい」
ペナックは手紙をたたみ、ため息をつく。
「それがどんな物か分かりたくもないし、その品が津波にあって無事な訳がない」
「――無事かどうかは、探してみないと分からないさ」
「どういう事だ?」
「俺がスパインビーチでその品を探してくるっていう事」
俺の言葉にペナックは呆れた表情になる。
「冒険家たちは皆こんななのか?自分の事でもないのに命をかけて…結局捨てられるのは待ち人さ」
その言葉に俺はそろそろ家に帰ってきているはずの姉ちゃんを思い浮かべる。
「…捨ててる訳じゃないさ」
ぼそり、と呟いた言葉は誰にも聞かれずに消えた。


スパインビーチに辿り着き、俺はペナック達が津波に遭ったという場所を調べる。
「流石に津波に遭ったんじゃ、流されてるかな…」
周りを見回すとスパインホールが視界に入る。
「…まさか、な…。あそこ今の俺じゃかなりキツイ場所なんだよなー…。けど…行ってみるか!」




後編へ続く







※後書き※
題名から分かる通り、銀行クエスト7「父の愛」を書いてみました。クエものとかちょっと書いてみたくなったので。
流石に会話全部を書くと会話ばっかりになるので、色々と削ったりしてます。なので文章が所々おかしi(ry
ああ、文章おかしいのはいつもの事ですね((

本当は1つにまとめようと思ったのですが、予想以上に長くなりそうだったので2つに分けました。という訳で後編へ続きます。

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