里財小説・「Sweet Season」・第一話w


俺は、財前五郎。
浪速大学附属病院、第一外科の助教授だ。
後ろから、誰かの足音が聞こえる。
・・・誰だろう?俺はそっと振り返った。
すると、後ろに立っていたのは、里見脩二だった。
同じく、浪速大学附属病院、第一内科の助教授で、同級生だ。
学生時代、とても仲が良い友達だった。
そういえば、久しぶりに里見を見たな・・・。飲みにでも誘うか。
見ると、里見も俺に気が付いたらしかった。
俺は、声をかけた。
「やぁ、里見君じゃないか。久しぶりだね!!」
「あぁ、何だ、財前か。」
「何だとは何だよ。久しぶりに会ったって言うのに、冷たいじゃないか。僕達、親友じゃあないか?」
すると、里見はにっこりと笑って、こう言った。
「あぁ、親友だよ。」
「どうだ、今日、飲みにでも行かないか?久しぶりに里見と飲みたくなったんだ。」
「すまんが、財前。今日はもうちょっと研究してから帰ろうと思ってるんだ。悪いな・・・。また今度。」
その言葉を聞いて、俺はなぜだかわからないが、すごく不安になった。なぜだか、里見が俺から離れて行ってしまう様な気がして、どうしても、今夜飲みに行きたいと思った。そして、思わずこんなことを言ってしまった。
「・・・何でだよ、里見。俺は、こんなに君のことを愛しているのに・・・っ・・・。」
「・・・財前・・・?」
そして、俺は里見の声を聞いてふっと我に返った。俺が何を言ったのか思い出して、いきなり恥ずかしくなった。顔が赤くなるのが自分でも分かった。
「・・・すっ・・・すまん!・・・ちょっと・・・、疲れてたみたいだ。今日は・・・帰るよ。またな、里見。」
「・・・あぁ・・・。」
そして、俺はそのまますぐ後ろを向くと、早足で帰ろうとした。
・・・ここに、里見と一緒にいるのが、とにかく恥ずかしかった。―その時は、まだ、俺の里見への友人以上の愛情に、気付いていなかったから―。
☆つづく☆

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