窓辺でお茶を

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「教育基本法改定」についての呼びかけ


「『教育基本法改定』についての呼びかけ」を転載します。

 衆議院補欠選挙での勝利を追い風に、政府与党は「教育基本法」の改定を具体的な日程に組み込んで動き出しました。自民党案の今国会での成立をめざしたその動きは、まさに風雲急を告げています。

 なぜ今「教育基本法」を変えなければならないのでしょうか。自民党は、この改定案を「戦後教育の失敗を改め、日本の国力を取り戻し、『美しい国』へ日本を作り変えるための第一歩」と位置づけています。

 しかしそれは、単なる「戦後教育の再生」などではありません。私たちの国の戦後60年に及ぶ「戦火なき時代」を支えてきた日本国憲法を変えるための一里塚であることは疑いありません。
 日本国憲法とともに歩み、戦後の平和的繁栄の基礎となった「教育基本法」を、「日本国憲法改定の先触れ」とするために変えようとしているに過ぎないのです。
 教育を、戦争の具にしてはいけません。

 折からの北朝鮮による拉致問題や核実験などに激昂して湧き上がった私たちの国のナショナリズムを利用し、「愛国心教育」を押し付けようとしているのが今回の「教育基本法改定」です。
 しかしその「愛国心」の内実は、「国を愛する」というこのではなく、「政府の言うことをおとなしく聞く」人間を作り出そうとしているに過ぎません。「国を愛する」ことが、いつの間にか「政府を愛する」ことに、都合よくすり替えられているのです。

 思想の自由や内心の自由に忖度することなく、ひたすら政府に都合のいい価値観を押し付けようとする。それは、最近の各地、特に東京都教育委員会の「日の丸君が代」への、常軌を逸した強制振りをみればよくわかります。
 そのような教育委員会が最近の「いじめ問題」で、どんな醜態をさらしたでしょうか。彼らが示した後輩は、教育への政府の介入がいかに悲惨な事例を生み出すかの、あからさまな証拠です。

 「教育基本法改定」は、すぐに「防衛庁の省昇格」「自衛隊海外派兵の恒久化法」「共謀罪」などのきわめて危険な法案につながり、さらには、「憲法改定」「核武装」へと前のめりに突き進んでいくと思わなければなりません。
 それはもはや絵空事ではありません。
 いまや、自民党政調会長や外務大臣が平然と「核武装論議必要論」を説くような状況に突入してしまっているのです。

 私たちは、このような危険水域に踏み込むことを拒否します。
 「政府の言うことには反対せず、おとなしく従う人間」を「愛国心」という耳障りのいい言葉で飾って作りだそうとする今回の「教育基本法改定」を、拒否します。

 改めて問います。
 なぜ今、「教育基本法改定」が必要なのですか。

 教育の自由を謳い、民主主義の大切さを説き、強制を拒否しているのが、現在の教育基本法です。その内容に不自由を感じ、民主主義や人権教育を否定し、政府の考えを強制したいと考えているのが、今回の改訂を強行しようとしている人たちではないでしょうか。
 そんな人たちの思い通りの国を作ってはいけません。
それは決して「美しい国」であるはずがない。きわめて「息苦しい国」、「見苦しい国」でしかないのです。

 以上のような認識の下に、私たちは「教育基本法改定」を拒否する行動を提起します。
ことは緊急を要します。

 ぜひ、みなさんのご参加をお願いいたします。



<よびかけ賛同人> (11月12日現在)
井上ひさし(作家)、池田香代子(翻訳家)、石坂啓(マンガ家)、伊藤真(伊藤塾塾長)、魚住昭(ジャーナリスト)、上原公子(国立市長)、岡本厚(「世界」編集長)、落合恵子(作家)、奥地圭子(東京シューレ代表)、鎌田慧(ジャーナリスト)、北沢洋子(国際問題評論家)、小室等(ミュージシャン)、小森陽一(大学教授)、斉藤貴男(ジャーナリスト)、斉藤次郎(教育評論家)、早乙女勝元(作家)、佐高信(評論家)、鈴木力(編集者)、竹下景子(女優)、高梨哲哉(大学教授)、俵義文(子どもと教科書全国ネット21事務局長)、星川淳(翻訳家)、森永卓郎(経済評論家)、無着成恭(住職)、毛利子来(小児科医)、渡辺えり子(劇作家)<敬称略>

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