Dearest

Dearest

失踪



「頭が痛い。」最初にそんな電話があった。

そんな苦しそうな電話に心配になった私。
でもその時は『大丈夫?』としか聞いてあげれなかった。

 『仕事帰れないの?』そんな言葉もかけた気がする。

 「まだ終わらないから・・・」

 その時もう夜12時を回っていた。
平日12時は当たり前。遅い日は2時過ぎの日だってある。
その日は休日だったが彼は仕事が終わらないからと独りで残っていた。

 次の日彼から電話があった。
 「・・・・」
 かけてきたのは彼の方なのに何も言わない彼。
 『頭痛いの?』
 その問いに「うん」とだけ彼は答えた。
 結局何も上手く話せないまま彼を気遣って電話を切った。
 つもりだった。

 数分後一通のメールが届いた。
 「このままじゃ君に何もしてあげれなくて申し訳ない。
 君と過ごせてとても楽しかった。君の幸せを心から祈っている」
 という内容の別れを告げるものだった。

 私はパニックに陥った。そして何十分か過ぎたころ意識を取り
 戻し彼に電話した。

 「この電話番号は現在・・・」
 彼は私が放心状態だった数十分の間に携帯を解約していた。

 もう何が何かわからなくなり、まるで狂ったかのように、
 私は震える手を抑えながら何度も何度も電話していた。




 この時のことは日記(崩壊)へ。

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