なんちゃって妄想ワールド(War section)11


司令室では核兵器発射に向けてあわただしかった。
しかし、その慌しい光景を指令官たちは上の座から優雅に見下ろしていた。
「この1射でどう出ますかな?」
「動きが無ければ2射目で敵本国を撃つまで」
「生意気なSIRN共もこれで終わりですな」
指令官たちは核で全てを終わらせようとしていた。
「発射まで60秒」
モニターの兵士のカウントが続く。
「しかし、外が騒がしくありませんかな?」
「すぐ近くで戦闘が行われているのだ。仕方あるまい」
まさか、自軍の陣地に敵軍の切り札が侵攻してきているとは夢にも思っていなかったらしい。
核の発射の為に慌しかった為その事は指令官たちの元へ伝えられていなかった。
「発射まで10、9、8、…」
もうすぐ地上へと核が落とされようとしていた。
「3、2、1・・・発射ッ!!」
カウント終了と同時に発射口より核ミサイルが発射された。

「貴様らの核は最新の物だよ。今まで誰も目のつけたことのない、近未来型のなぁ!」
しかし、何故この男は自分にこのような事を知らせる必要がある?
アイは不思議に思った。
モノトーンは気にせず話し続ける。
「人の精神を汚染するんだよ。例え撃ち落とそうとも無駄な足掻きだ。人は苦しみ、自分の穢れた部分を掘り起こされ、穢れ、汚れ!!そして失意のうちに死んで逝く」
「そんなものが存在するはずがない!!」
「やがて分かる事さ。全て事実だ」
モノトーンはアイが否定した事を全て否定した。
その時、モノトーンが持っていた無線のような物がアラームを鳴らした。
そこからはモノトーンの部下であろう男の声が聞こえてきた。
「隊長ッ!核が第3基地へ落とされました!!」
アイにもそれは聴こえていた。
モノトーンの予想は見事に的中した。
いや、確信していたのかもしれない。
この男ならありえる。
「被害は甚大です。第3基地周囲100キロの地域に被害。範囲内にいた市民たちが突然苦しみだしたとの事です!」
モノトーンは自分の思い描いている通りの事が起き、笑い始めた。
「ハハハハハ。さぁ、始まったぞ。ここからが本番だ」
「隊長?大丈夫ですか。環境に被害は0という事です。まさかとは思いますが、人体のみに効果のある兵器かと・・・」
それを訊き、「了解した」と告げ、無線をきった。
「分かっただろう?これが事実だよ、中倉」
アイは現実を受け入れる事が出来なかった。

ロトは敵を見失い、戦場を彷徨っていた。
敵兵が攻撃をしてくるが、ロトは気にもせず砕玉で弾き飛ばす。
「何処だよ。何処にいる?俺を楽しませてくれよ。ハハハハハ」
強い敵を求め、快楽を得る為に・・・。
その時、ロトの視界にあの4人が入った。
「強そうな奴・・・アレを討てばぁ!!」
そう思い、4人へと迫った。

「なんだろうねぇ、あれは」
アルミエルがロトに気付き、その方に向いた。
「俺が殺ってやる」
ラズエルはそう云い、ロトの方へと駆けた。
「俺の相手をするって事は、分かってるんだろうな?」
オクトの照準をロトに向ける。
そして放たれた銃弾をロトは俊敏な動きで避け、砕玉で反撃した。
「中々やるみたいだな。だが無駄だ」
ラズエルの攻撃が止む事はない。
しかし、ロトの体を貫く事はなかった。
「クソッ、何であたらない!」
敵に苛立ちが見えてきた。
それを判断できたのか本能だけで向かったのか、ロトは砕玉をラズエル目掛けて投げた。
「消えろぉぉぉ!!」
ラズエルは回避に成功したが、複数あるオクトのうち1つが撃破された。
「こいつ・・・許さねぇ!!」
ラズエルはさらにムキになり荒い攻撃を仕掛けた。
しかし、精神の安定が必要とされる遠隔操作の武器をこの状態で正確に操る事は出来ず、ロトに当たらない。
そして、ロトは砕玉を投げた。
無常にもそれはラズエルの横を通り過ぎた。
「これで!!!」
ラズエルが攻撃しようとしたその時、通り過ぎた砕玉が伸縮できるワイヤーにより戻ってきた。
それはラズエルの腰部に直撃し、体を貫いた。
「俺が・・・この俺が負ける・・・?!」
信じられないといった様子の表情を浮かべ、ラズエルは戦場に散った。
それを見たアルミエルは、
「愚かだねぇ」
と云い、今していた作業を放棄し、ロトへと迫った。
「アレだけの武器を使っていながら。所詮は見せ掛けだけか」
死んだ戦友を悔やむどころか、馬鹿にしていた。
「まぁ、あいつは捨て駒さ。僕が相手をしてやる」
そう云って攻撃を開始した。

武器の整備が終わり、もう1度出撃したシュウ。
ロトやショーイを探していた。
戦闘が始まってどれくらい経つのだろうか。
兵士の数が減ってきている。
両軍とも戦力が落ちてきて、兵士も疲れ果てている。
「中尉、ロト。無事でいろよ」
シュウはその一心で走っていた。
その時、横から銃弾が飛んできた。
「変わった武器の奴らのだな」
カズマだった。
スゥを物陰にやり、シュウに発砲した。
「チッ、こんな時に!!」
愛刀の師走でカズマに切りかかる。
カズマは避けつつ反撃する。
一進一退の攻防が続く中、激痛で倒れたスゥが目を覚まし、カズマとシュウが戦っている姿を見た。
「シュウ・・・カズマ・・・!!」
その声に2人は反応した。
「スゥ!?」
シュウは驚いた。
まさか、敵兵となったスゥとこんな場所で・・・。
覚悟していなかったわけではない。だが、急な出来事で対応できなかった。
「そうか。貴様がっ!!」
捕虜とした上人質にして自らの身を守った卑怯者。
「お前らが、お前らがスゥを!!」
「クッ、クソッ」
シュウは反撃できなかった。
それとスゥの事も気になる。
その隙をついたようにカズマが銃を撃とうとした。
しかし、弾切れで銃弾が放たれる事はなかった。
そこで、地面に落ちていた先の尖った鉄の棒を見つけ、それを手に取った。
「死ねぇぇぇ!!」
カズマに気付き、横に身を流して師走でカズマの腹部を切り裂いた。
整備してすぐだったので、切れ味がよく、カズマは叫び声を上げ、ナノシステムによってバラバラになった。
「あぁ・・・」
スゥは全身の力が抜け、その場に倒れこんだ。
数々のショックとシュウの存在。
それが彼女の精神にかなりのダメージを与えていた。
もう限界に達していた。
シュウはスゥに駆け寄り、安全な場所へと移動させた。

「2射目発射まで300秒」
モニターの兵士がカウントする。
「さて、終わりだな。これで」
「長かったこの戦争も終止符が打たれる」
「世界は我々の物だ」
司令官たちはすでに勝利を確信し、余裕を見せていた。
そして、悪魔の囁きによって再び核が撃たれようとしていた。

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