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なんちゃって妄想ワールド(War section)12
そこに敵兵を抱えたショーイが現れた。
「シュウッ!よかった、生きてた・・・」
ショーイは安堵する。
「中尉。どうしたんですか?その敵兵は・・・?」
シュウはショーイが抱えている敵兵に目が行く。
「投降するって云ってきたんだ。殺せないだろ?そんな奴を」
シュウはいかにもショーイらしいと思い、クスッと笑った。
「隊長は・・・?ユウたちも」
2人は彼らを思い出した。
戦闘が始まってすぐにバラバラに行動した自分たちは、アイたちの姿を見ていない。
「とりあえず本部に…」
ショーイが云いかけた時、
「シューウ、ショーイー!!」
と誰かが呼びかけてきた。
それはユウだった。
隣にエイトもいる。
「よかった、お前ら無事だったんだな」
ユウは安堵の表情を見せる。
「お前たちこそ。それはそうと、隊長を知らないか?」
シュウは気になっていた事をユウに尋ねる。
「隊長ならあっちの方に走っていったけど・・・何かを感じるとかって・・・」
何かイヤな感じがする。
シュウは、
「スゥを頼む」
と云って、ユウにスゥを渡し、アイの向かった方向へ走っていった。
「オ、オイ。シュウッ!!」
ユウは呼びかけたがシュウはそのまま走っていった。
「帰ってくるのが遅かったら俺も行く。とりあえず安全な場所へ行こう」
ショーイはユウたちを連れ、移動した。
その頃、ロトとアルミエルはもうすぐ戦いに終止符を打とうとしていた。
「もう終わり?最初の威勢はどうしたよ?ハハハハハッ」
先ほどまで敵と戦っていた人間とは思えない。
何故こんなに体力が残っているんだ?
押されているのはアルミエルだった。
「もっと楽しませてくれる敵はいないのかぁ?何でこんなに弱いんだよっ!!」
ロトは不満げに云う。
そして、弱りきったアルミエルに砕玉を投げつけた。
人間兵器といえども、これだけのダメージを受けていてはもう動けなかった。
無抵抗のままアルミエルは砕玉の的となり散っていった。
その時、ロトの中で歯車が狂い始めた。
「ぐっ、ぐあぁぁぁぁ!!」
突如苦しみ始めるロト。
それはタイムリミットを意味していた。
禁断の薬を手に入れ、大量に服用したための副作用だった。
「こんな・・・ところでっ・・・」
苦痛に耐えながら、ロトは次なる敵を求めて戦場を彷徨った。
「まもなく2射目が発射される。これで連合は勝利を確信するだろうな。だが、まだ人間兵器がある。両者とも滅びる!!」
モノトーンは放心状態のアイに云う。
さらに、
「全ては私の思い描いたように!人間共は私の意のままに!!」
と云った。
「そんなのはエゴだ!!」
突然入ってきた第三者にモノトーンは目を向ける。
「隊長!大丈夫ですか?」
それはシュウだった。
「ん?君の部下かね、中倉」
モノトーンが云った。
「敵の云う事なんか訊いちゃ駄目です!隊長!!」
シュウは放心状態のアイに叫びかける。
「私たちは・・・ハメられてたの。上官・・・たちに・・・」
シュウはアイの云った事の意味が分からなかった。
「ポセイドンは・・・核の・・・材料で・・・」
シュウは驚愕した。
まさか自分たちが上の人間にハメられていたと?
自分たちが正義と信じ、それが全てだと思い、これまで仕えてきたのに?
そんなはずはない・・・。
「お前が吹き込んだのか!!」
シュウはモノトーンに向け銃を発砲する。
弾はモノトーンには当たらず、壁に当たり兆弾した。
「さぁ、もうすぐ2射目が打たれる。君も見て行くがいい」
モノトーンはシュウにも語り掛けた。
「発射まであと30秒」
オペレーターが発射カウントを告げる。指揮官たちが不気味な笑みを浮かべ、発射までの時間を待った。
「発射まで10、9、8…」
ラストカウントが始まり、
「4、3、2、1、発射です!」
カウント終了と同時に核は再び放たれた。
シュウたちのいる建物も発射の衝撃で揺れていた。
「これで、終わる」
モノトーンは静かに云った。
「貴様は、貴様の目的は何だ!!何故打たれると分かっていながら止めようとしないのだ!!」
シュウは敵兵に尋ねる。
何故自分の軍の本国に核が落とされるのを分かっていながら阻止しようとしない?
その為にここに来たのではないのか?
その時、モノトーンの通信機に通信が入った。
「隊長!!不可解な事が起こりました!!」
情報を寄せるよう命じていた兵士は動揺していた。
本国に核が落とされたのだ。
仕方のない事か。
モノトーンはそう思い、兵士に訊いた。
「本国への被害は?」
すると、兵士の云った答えは意味の分からないものだった。
「いえ、被害は0です。核が本国上空で消失しました」
「消失?」
兵士の云った言葉に訊き返した。
「えぇ。消失です」
兵士の答えは同じだった。
「至急調査を頼む」
モノトーンはそう云って無線を切った。
その話を訊いていたシュウも意味が分からなかった。
核が消失?いったい何故?
そう疑問に思いつつ、敵兵を見た。
すると、今はとても無防備な状態で敵兵は立っている。
今しかない。
そう思い、シュウは、
「てやぁぁぁ!!!」
と叫び、銃を撃った。
避け損ねたモノトーンは腹部に銃弾を浴び、痛みが全身を駆けた。
「クッ・・・」
モノトーンは建物の奥へと消えていった。
「おい、待て!!」
シュウはモノトーンのあとを追おうとしたが、アイが止めた。
ロトは彷徨い、無意識のうちに本部の方で爆音が聞こえるほうに向かっていた。
そこには最後のクローン、フォビドゥン=ガルエルの姿があった。
「あいつ・・・まだ!!」
先ほど倒したはずの敵にそっくりなガルエルを見て、ロトはさっきの敵が生きていると思い込んだ。
そして、いきなり砕玉をガルエルに向け投げた。
敵と戦闘をしていたガルエルはそれに気付き、回避した。
「何だ?あいつ」
副作用で今にも死にそうなロトを見て、哀れ見た。
戻ってきた砕玉をもう一度ガルエルに向かって投げた。
「ヒャヒャッ・・・これでねぇぇぇ・・・!!!」
しかし、その様な攻撃が当たるはずもなく、無常にもかわされ、ガルエルの放ったOPMの弾に当たり、ナノシステムが作動するまでもなく、ロトの体は吹き飛んだ。
邪魔者を排除したガルエルは、自分の任務を遂行すべく連合本部基地へ銃口を向けた。
そして、OPMから銃弾が放たれ、それと同時に連合本部基地の3分の1が倒壊した。
その時、ガルエルの全身から血が噴き出した。
通常の人間の何倍も強化された体とはいえ、OPMの強力な衝撃に何度も耐えることが出来なかった。
ガルエルはその場に倒れこみ、ナノシステムにより、消え去った。
SIRN本部では、人間兵器4人の生命反応及び通信が途絶え、パニックになっていた。
「あいつらは!!何処へ行った!!」
「分かりません!恐らく戦死したかと・・・」
「そんなはずがあるか!!探し出せ!!」
司令部のオペレーターと指揮官は取り乱していた。
その時、SIRN最高司令官の『ロード・ミリィ』が言葉を発した。
「ここは一時休戦を取ったほうがいいでしょう。彼らとてもう戦力はそう残っていないはずです」
滑らかな口調でロードが云った。
彼女は女性ながらSIRNのトップに立ち、指揮をしていた。
兵士たちはすぐに対応し、連合に休戦協定を結んだ。
ジンはその話を訊き、暗い表情で自軍の基地へと生還した。
ジークも、戦いの一部始終を見、疲れ果てていた。
「本国へ戻ろう」
ジークの号令でサミダレとフユツキは本国へと帰還した。
表面上では戦死したとなっていた人間兵器の1人ガルー・ラ・バーンは、自分についていたレーダーに気付き、それを破壊していた。
「還るか」
彼はそう漏らし、SIRNに戻るわけでもなく、1人何処かへ消えていった。
シュウたちはその話を訊いてもまだ建物の中にいた。
そこに、ショーイたちが捕虜2人も連れてやってきた。
「おい、探したぞ」
ショーイはシュウに云う。
「休戦・・・ですか・・・」
シュウは云う。
さらに、
「僕も、隊長ももう軍では戦えません・・・」
と云った。
「俺も一緒さ。こいつら見てたらさ、もうな」
ショーイもシュウと同じ意見だった。
事情は違うとも彼らはもう軍では戦えない。
戦いたくない。
その時、建物の中に複数の兵士が入ってきた。
しかし、彼らは銃を向けるわけでもない。
それに軍服が連合でもSIRNでもない。
その中の指揮官と思われる女兵士が、いきなり話しかけてきた。
「あなたたちの話を少し訊かせていただきました。我々は中立国『エクアル』の兵士です。もし本当に軍で戦いたくない、ということならば、本国へ亡命されてはどうでしょう?」
その言葉に一同は呆然とした。
「亡命・・・か」
「スゥたちも今軍に連れて行ったら・・・」
シュウたちはエクアルへの亡命を決意した。
そして、腹部に銃弾を受けたモノトーン。彼は建物の奥で、自らの最期を迎える覚悟をしていた。
「私も、潮時かな・・・。最後に計算が狂った・・・か」
モノトーンはゆっくりと目をつむった。
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