なんちゃって妄想ワールド(Repetition)16


「フライド!?」
気にはなったが目の前の敵で精一杯のフルは、フライドの安否を確認できずにいた。
砕玉を頭上で回転させ、その勢いのままショーイに投げた。
「ぐっ、クソッ!」
ナギナタはそれに弾かれ、後方へ落ちた。
その時、海上から閃光弾が撃たれ、救命艇が向かったことがフルに知らされた。
「お前の相手ばかりしてられないんでね」
フルは嫌味っぽくショーイに言い放ち、救命艇が着く場所へと走った。
ショーイは後を追おうとしたが、それよりもシュウの事が気になった。
「シュウ!」
急いで駆け寄ってみると、シュウは膝をついたままガタガタと震えていて、その目の前に敵兵の亡骸が横たわっていた。
「俺は・・・俺は・・・」
平常心を保てなくなっているシュウにショーイはキツ目に云った。
「前にも云っただろう。何故覚悟もないまま戦場へ出た」
シュウは少し間をおいてこう云った。
「覚悟は・・・決めた。だが・・・」
ショーイはため息をつき、シュウを連れてクシィを捜しに行った。
少し歩いた場所にクシィは腰を下ろし海を眺めていた。
「ご苦労様でした」
クシィはシュウとショーイに向けていった。
「君こそ、な」
ショーイがクシィの無事を確認し、安心した。

敵艦はすでに撤退しており、難なく艦へ戻れた。
3人は救命艇でまずモノトーンへと戻った。
「本当に、ご苦労様でした」
ショーイにアリスが云う。
「いえ。彼が良くやってくれたからですよ」
ショーイはクシィを評価するように云った。
それともう1つ気になる事がショーイにはあった。
「彼は?」
彼とはマサキの事を指していた。
「とりあえず自室にての謹慎処分を取っています。正式な処分は本国到着後に」
それを訊き、ショーイはシュウから伝えられた事を云った。
「謹慎処分だけで止めれませんか?問題のある艦だと汚名を課せられたらそれから先の障害になると思うのですが」
シュウの意思と訊き、アリスは、
「しかし、それは軍規則に逆らう事に」
と云った。
「そうですか。でも、少しは考えておいた方がいいかもしれませんよ」
そう云ってショーイはブリッジをあとにした。

フルは艦長のトミィから2人は戦死したという事を伝えられ、少々動揺していた。
「一旦近くの基地で補給をする予定なの。そこで少し休みなさい」
それはフルの耳に聴こえていなかった。
放心状態のフルを見て、トミィは参っていた。
ただでさえ主力を2人も失い、その上生き残った1人もこの状態だと、これから先どうなるのかと心配だった。

本国までの距離も徐々に近くなってきた。
その時すでに3隻はSIRN本国領海内に入っていた。
海域には幾隻もの艦が巡回しており、いつでも敵からの攻撃に備えてあった。
モノトーン、セピアに通信が入ってきた。
『君たちが派遣されてくる予定の3隻だな』
誰かは分からないが施設の中からの通信だ。
『申し遅れたが、私は『リーチ・ブエル』大佐だ』
リーチ・ブエル。前大戦では、直接戦闘に出ることはなかったが、指揮官として指令を下していた。
ジークと肩を並べるくらいに匹敵する上官の1人だ。
アリスとセピアの艦長は自分たちの自己紹介をし、ドックへと入った。
ドック入り口は岩にカモフラージュしてあり、崖が開いた。
そして3隻は本国へと辿り着いた。

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