なんちゃって妄想ワールド(Memory)


『ケイゴ・ユウキ』21歳。男。
顔面の上半分に、深い傷をいくつも負っている。
停泊中の母艦『サミズ』艦内に彼はいた。
「あ、ミヤケー。ちょっと」
ユウキがある人物の名前を呼んだ。
『コウ・ミヤケ』22歳。男。
「んあ?どうした」
ミヤケは気の抜けた返事をした。
5年ほど前、彼ら2人はある『ゲーム』に参加していた。
それは、この戦争という名の『ゲーム』の土台となったモノだ。
そして、今はそのゲームが始まったばかりだった。
「買出し頼まれたんだけどさ、ついて来てくんない?ついでに寄りたい場所もあるんだけど」
ユウキが頼んだ。
「別にいいけど、寄る所って何処だよ」
「昨日チーさんに言われてさ。そろそろ予備の銃も持っていいんじゃないかって」
ミヤケの質問に、ユウキが答えた。
チーとはユウキとミヤケの先輩兵士だ。
だが、この物語に直接影響することはない。
「銃ねぇ。いいよ、行こうか」
ユウキはミヤケを連れて買出しに行く事にした。
「っと、ちょっとその前に」
そう言って、彼は自室に入った。
そして、すぐに出てきた。
頭には深くかぶった帽子、そしてサングラスをかけていた。
「やっぱ傷だらけじゃあな」
「治せるんだろ?なんで治さねぇんだよ」
ミヤケが改めて気になってた事を訊いた。
「それは、ヒ・ミ・ツ」
ユウキがふざけて答え、ミヤケはシカトするかの様に、そそくさと歩いて行った。
「うおぉい、待てよ!」
ミヤケの後を追って、買出しに出掛けた。

言われた物を全て買い、最後に銃屋に寄った。
「いらっしゃい」
店主だろうおじさんが言った。
「あの、これの整備お願いします」
ユウキが愛用の銃を出した。
「自分で整備しないのか?」
ミヤケが彼に訊く。
「まぁ、これも寄ったついで」
「兄さんらは軍人さんかい。今はヒマだろう」
おじさんが2人に訊く。
「ヒマな方がいいですよ。戦争に参加したからって、好きで戦ってる奴なんていませんよ」
ユウキが言った。
「まぁ、整備はちゃんとやらせてもらうからね」
「頼みますよぉ」
おじさんはそう言い残して部屋の奥に入って行った。
するとユウキがミヤケに言った。
「ねぇ、よさそうなヤツ選んでよ。使いやすそうな奴」
「そうだなぁ。コイツなんてどうだ?」
そう言って、1つの銃を手に取った。
ユウキはそれを受け取り、構えたりしてみる。
「まぁ、予備だし。あまりかさばらない方がいいかも知れないし。コイツにしよう」
彼は奥にいるおじさんを呼んだ。
「おっ、お買い上げかい?」
「えぇ」
ユウキは勘定を済ました。
「もう少しかかるが、どうする?」
おじさんが銃の整備の事を言った。
「あ、待ってます」
2人は整備が終わるのを待った。

サミズに戻り、2人は部屋に戻ろうとした。
ユウキは帽子とサングラスを外し、ポケットに入れる。
食堂の前を通った時、ある2人の姿を見た。
『ティア・サーマーン』と『メディナ・シーア』だ。
2人仲良く食事をしている。
「相変わらず仲がいいなぁ」
「歳の差カップル」
ユウキたちは彼らを何となく恨めしそうに見た。
ティアとメディナは19歳と23歳というちょっとした歳の差カップルだった。
ティアの子供っぽいところが、メディナの母性本能を擽るのだろう。
その時、後ろからミヤケに強い衝撃が襲った。
ミヤケはそのまま前に倒れる。
「ってて・・・。何だぁ?!」
ユウキが呆然と見ている。
「もう、何処行ってたのよ!」
そう言ったのが『ナツメ・アカマ』だった。
「ナツメぇ・・・。お前はいつもいつも」
「私を置いてどっかに行くなんて。あー、分かった。ケイゴに唆されたのね!」
ナツメはユウキの方を見た。
「唆すって、俺は何なんだよ」
彼は呆れたように言った。
ナツメはミヤケに片思いをしており、過剰なアピールをしている。
だが、ミヤケは全くと言っていいほど気付いていない。
「君は彼女と居てあげるといいよ」
「えぇー!?ちょっ、お前!」
ユウキはミヤケを置き去りにして、部屋へと向かって歩き始めた。
その途中で、『ジーク・マクナルド』に会った。
「よっ、ジーク」
ジークはユウキをチラッと見て、「よぉ」と言った。
そしてそのまま通り過ぎて行った。
彼は挑発で小顔な、眼鏡をかけている青年である。
軍の女性からも人気があり、軽くアイドルのようなものだ。
だが、誰に対しても無愛想で、ほとんど会話をしない。
そんな中、唯一心を許していると思われるのが、『ロン・テムジン』だった。
ロンはユウキたちの所属する『テムジン隊』の隊長で、顔の左半分に刺青を入れている。
昔負った怪我の後遺症で、下半身が不自由な為、今は車椅子で生活をしている。
ユウキは色々な人物に会い、自室に戻った。

その日の夜、クルーたちに招集がかかった。
ユウキやミヤケたちもブリーフィングルームに来ていた。
「何だろな」
「戦闘だろ?」
ユウキとミヤケが話している。
「多分戦闘だろうね。最近戦闘なんてなかったし」
ティアが横から言った。
そこにロンと副長の『ピット・アディントン』が部屋に入ってきた。
車椅子を押しているのは、ジークだった。
そして、クルーたちの前に立ち、話し始めた。
「作戦会議始めるぞ。今回の任務は連合の支配下『カラカス』に向かい、そしてそこの民間人を、まぁ、如何にかして、そこを我が軍の配下とし、我が隊の拠点とする。ついでに基地陥とせばいい、みたいな感じの命令だったはず」
ロンが所々いい加減な説明をした。
これがいつもの調子なのだが、いい加減な割には失敗がないのがこの隊の特殊な所だった。
元々優秀な兵士だったロン。
何があったのか知らないが、急に感じが変わったらしい。
その穴を埋める為に、優秀なロンを横に置いているという噂もある。
その後に少々作戦が伝えられ、会議が終わった。
「戦闘かぁ。久しぶりだな・・・」
「あぁ」
ユウキとミヤケは気が進まない様子だった。

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