なんちゃって妄想ワールド(Memory)17


上官はファイを叱る事はしなかったが、ため息をついた。
結局、戦力を当初の予定より多く投入するという事になった。
上官の前から去り、3人は歩きながら話していた。
「結果オーライってヤツ?」
「全然オーライになってないけどね」
マイが突っ込んだ。
「相手も何らかの対応をしてくるだろうしな。こうなればもう強引にいくしかない」
ディランが言った。
「まぁ、過ぎた事を考えても始まらないわ。これからの事を考えないと」
「直に命令が下るだろう。それまでは訓練でもしていよう」
3人は戦闘に備えて訓練をする事にした。

セナたちも、ロンに街で起こった事を報告していた。
「騒ぎを起こしたのは関心せんが、偶然の手柄だな。すぐに全軍に通達しろ」
ロンはセナとジークと話しながら、部下の兵士にも命令を下す。
「お蔭で手を打つことが出来る」
「攻めてくると?手の内が知られたのにですか」
セナが訊いた。
「まぁ、知られた事は不利益に間違いないだろうが、その程度で退かんだろう。恐らくな」
ロンは長年のカンというモノで話をした。
「準備はしておけ。いつでも出られるようにな」
「了解しました」「了解」
2人は敬礼をし、士官室を出た。
ジークは途端に話しかけてきた。
「討てるのか?」
セナは俯いた。
「自信はないさ。でも、やるしかない」
ジークは気を利かせてこう言った。
「前線に出なくとも、後方支援でいいぞ。俺から上に言っておいてやる」
「いいよ。お前にばかり迷惑をかけたくない」
セナが言った。
「そうか。ならお前を信じる。でも無理だけはするなよ」
「判ってる」
2人は、迫る戦いの時を想定して、準備を開始した。

翌日、マイたちを乗せた艦はハイム沖にいた。
戦艦の大群を率いて、今にも戦闘が始まるという感じだった。
3人は射出用ポットに登場し、出撃の準備が出来ていた。
「偽善者共の顔色変えさせてやる」
ディランが意気込んでいた。
「どうも俺は気が乗らねぇ。俺はSIRNを倒したいのに」
「敵はSIRNに加担してるの。ゆわば共犯者って所よ。割り切りなさい」
ファイはマイに注意された。
その時、出撃命令が下った。
同時にポットが射出された。
そして、ポットが陸に到着した時、すでにSIRNの部隊は戦闘体勢にあった。

セナたちはすでに前線に配置されていた。
「来たぞ!」
ジークが言った。
「大丈夫?セナ」
彼は下を向き、何かを気にしているようだった。
メディナがセナの様子を見て言った。
「あ、うん。大丈夫。問題ない」
3人は、向かってくる連合軍の迎撃を開始した。
セナが、生前ティアに使い方などを教えてもらった手榴弾を使用した。
訓練をして基礎は出来るので、ティアの指導で、投げるのに適切な場所、タイミングなどの応用を仕込んでもらっていた。
見事に戦闘の部隊の一部を吹き飛ばした。
ジークとメディナが追い討ちをかけるかの様に、マシンガンで敵兵を撃ち倒していく。
更にセナも銃を使い、敵を撃つ。
「うおおおぉぉぉっ!!」
セナはそのまま前線で突っ込んだ。
ジークとメディナがそれを支援する。
その時、前の方で味方がやられていく姿が見えた。
そこにはマイたちの姿があった。
「いたぞ、奴らだ。気を引き締めろよ」
ジークが言った。
ディランもセナたちに気付き、口元を緩めた。
「ヘヘッ、見つけたぜ。あの時の屈辱ぅっ!!」
右腕を前に伸ばし、左手で右手首を持った。
「吹き飛べ!風殺覇!!」
彼の右手のひらにある穴から、強烈な風が噴き出した。
セナたち3人はそれに気付いた。
「!?」
「何っ!?」
「クソッ!!」
3人は寸前で回避する事が出来たが、後方にいた味方の隊が壊滅した。
「ッ・・・?!」
セナは驚愕した。
「これ以上調子に乗らせるな!潰すぞ!!」
ジークが叫び、セナとメディナも一気に突っ込んだ。
「セナッ!!」
セナの目の前にファイの姿があった。
「ファイ・・・」
ファイはセナに銃口を向けた。
そして、少し躊躇い、撃った。
セナは余裕で回避した。
「やめろファイ!お前」
セナが呼びかけるが、マイがそれを遮った。
「あんたはココで!!」
彼女はセナに向けて銃を連射する。
セナは軽い動きでそれを回避していく。
「貴様は!!」
ディランまでもがセナを狙おうとしたが、それはジークが妨げた。
「お前の相手は俺がしてやる!よくもやってくれたな」
至近距離でマシンガンを撃ち放つ。
ディランは回避しながら、右腕で防御した。

その頃、基地内で緊急に作られた司令部で、上官たちが戦場を見下ろしていた。
その中には、気に入らないといった風の表情をしたロンもいた。
「もう決まりですかね」
1人の上官が言った。
「ハハ、ウチの戦力相手に勝てると思っているのかね、奴らは」
違う上官が笑いながら言った。
目下で戦闘が行われているというのに、上の者たちはそんな事お構いなしだった。
「さっさと撤退してくれませんかねぇ。ここは暇で仕方がない」
その言葉で、その場にドッと笑いが出た。
それをずっと見ていたロンが、机を叩いて立ち上がった。
「戦場に出ないあなた方が、戦争を語るな!そんな軽く考えているあなた方が!!」
一瞬にして辺りが静まり返り、笑いが起こった。
「何を真剣に語っているのかね」
「何も戦闘で勝つばかりが戦争でないぞ」
小バカにされ、ロンは反論をしようとした。
が、咽喉まで出た言葉をどうにか抑えた。
反論する気も失せたのだ。
そのまま椅子に座り、顔を伏せた。

セナとファイ、マイはまだ戦っていた。
メディナが援護をするが、なかなか命中しない。
「ファイ!いい加減に」
「いい加減にするのはアンタよ!」
セナのファイに対する説得は、毎度マイに打ち消される。
そこに、メディナがマイに格闘戦へ持ち込もうとした。
蹴りがとんできて、マイはそれを受け止める。
その隙に、セナがファイに向けて銃を撃った。
ファイの銃が弾かれ、セナが彼の懐へ飛び込む。
そして、腹部を思い切り殴った。
ファイはそのままその場に倒れた。
「大人しくしてろ」
そして、すぐにメディナを助けに行った。
「マイ!お前も早く撤退しろ!」
「そんな事!」
その時、セナの後方で銃を構えている者がいた。
セナとメディナは気付かず、マイと戦っている。
ファイが目を覚ました。
そして、それを見てしまった。
「セナ・・・」
ファイが呼びかけたが、セナは気付かない。
すると、彼はその兵士に向け銃を構え、撃った。
兵士はその場に倒れた。
それを、ディランは見ていた。
「ファイ!貴様、今!!」
ジークを振り払い、右手を構えた。
セナとマイ、メディナはそれに気付いた。
「ディラン、何を?!」
マイが叫んだ。
ディランは構う事無く右手をファイの顔面に付けた。
「セナ、マイちゃん・・・」
次の瞬間、ファイの頭が吹き飛んだ。
「でひゃひゃ、裏切り者には死をってなぁ!!」
「ディラン?!」
マイは唖然としていた。
「ファイィィィィ!!」
セナは絶叫した。
ジークとメディナは何が起こったのか判らず、騒然としている。
その時、基地の方で爆発が起きた。
連合の空爆隊の襲撃を受けたらしい。
次々と起こる事に、セナたちは成す術がなかった。
「戦意喪失ってヤツかぁ?ひゃっひゃっ」
ディランは更に構え、セナを狙う。
「させるか!」
ジークがマシンガンを構えなおし、ディランに向けて撃つ。
ディランは攻撃をやめ、回避した。
更に、海上で大爆発が起こった。
連合艦隊が壊滅状態になっていた。
SIRN軍艦隊の増援部隊が到着したのだ。
そして、連合軍に撤退命令が下った。
その時、ディランは何者かに後方から撃たれた。
マイは驚いてその方向を見る。
すると、そこには1人の連合兵が立っていた。
「はぁ、少し遅かったみたいだな」
マイはその兵士に駆け寄り、叫んだ。
「何故撃った!!」
「麻酔銃だよ。あの義手の痛み止め。ちょっと厄介な副作用があるんでね」
その兵士はディランを抱え、戻っていく。
「撤退命令だぞ。早く退け」
マイはその兵士につき、撤退していった。

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