なんちゃって妄想ワールド(Memory)18


セナたちは、今にも倒壊しそうな基地へと急いだ。
そこにはロンがいた。
3人は焦って探し回った。
「セナ!俺はあっちを探す。メディナはこっち、セナはそっちを頼む!」
「わかった」「うん」
セナは走り、辛うじて残っていた階段を発見した。
それを上がり、上官たちのいた部屋を探す。
「おい、そっちは危ないぞ!」
セナの様に捜索に来ていた兵士が言った。
だが、セナの耳には届いていなかった。
そして、辺りを展望出来る広い部屋があったと思われる場所に着いた。
「ここか。ロン隊長!いたら返事をしてください!!」
そこからは、大勢の上官と思われる人物が、兵士によって運び出されているところだった。
「すみません、顔に刺青のある上官いませんでしたか?」
作業中の兵士に話しかける。
「作業の邪魔だ!どけっ!」
倒壊しそうな場所で作業をしているのだ。
相手にされなくて当然だった。
セナは部屋だった場所に入り、瓦礫の中を探す。
「隊長!隊長!!」
そこにジークが来た。
「セナ!いたか?」
「いや・・・」
ジークもセナと共に捜索をする。
その時、後方で瓦礫が崩れる音がした。
2人は咄嗟に振り返り、その方を見る。
すると、そこに1人の男が立っていた。
「痛ーっ」
それは、紛れもなくロンだった。
2人は見つかった喜びの前に、呆然とした。
「隊長・・・」
セナが言った。
そして、ジークが止めの一撃を放った。
「脚・・・。何故立てているんです・・・?」
いつも車椅子で生活をしていたロン。
なのに、今自分たちの目の前にいる彼は、自分の足で立っている。
「あ・・・」
ロンは、やってしまった、といった風の表情をした。
「・・・ハハハ、どうしたんだろうねぇ、これ」
照れたように頭をかき、誤魔化そうとした。
セナがロン顔面に一撃を食らわせた。
瓦礫の上に倒れるロン。
それに目掛けて2人は踏みつけ始めた。
「なに嘘ついてたんだよ、このジジイ!!」
「俺はいつもあんたの世話してたんだぞ!!」
「ちょ、ちょっとタイム・・・」
ロンはもう一度瓦礫の下敷きになった。

セナとジークは冗談を止め、ロンを救出して建物から離れた。
そこにメディナが来た。
「みつかったの!!」
「あぁ」
メディナはロンの姿を見た。
そして、唖然とした。
「大怪我じゃないですか!頭から血も出てるし!!」
「あ、いや、これは後から付け足された物で・・・」
ロンが恐縮そうに言った。
メディナは理由を聞き、呆れ笑いをした。
「でも、無事でよかったです」
3人は内心ホッとしていた。
その時、ジークが口を開いた。
「あのな、セナ、メディナ。隊長を探してた時に聞いたんだけど・・・」
そこでジークが話をやめた。
そして、下を俯いた。
「どうしたんだ?何があった」
セナが訊いた。
「・・・お前たちの主治医だった医師が、亡くなっていた・・・」
セナとメディナは驚愕した。
2人を3ヶ月に亘り診てくれた医師。
ジークも2人をお見舞いに行く時に、毎回会っていた。
特にセナはよく話もし、彼の存在が入院中のセナを支えてくれていた。
そして、その医師はさきの空爆で死んだ。
「そんな・・・」
愕然とするセナ。
メディナも顔から表情がなくなっていた。
ロンが立ち上がり、言った。
「これが戦争だ。その場にいる者、ある物を全て奪っていく」
3人が彼の方を見る。
「死んだ者の想いを無駄にしない為にも、我々は勝たねばならん。強くなれ」
ロンはそう言って去って行った。

施設の解体作業などが進む中、仮設テント内のレーダーに救難信号の反応が現れた。
「救難信号?」
そこにいたロンが言った。
上官はロン以外皆戦死していた。
なので、現状彼が現場の指揮を執る事になっていた。
「戦艦ですね。所属不明のアンノーンです。通信入ってきていますが、どうします?」
兵士がロンに訊く。
「いいだろう。回線を開け」
ロンに言われ、回線が開かれた。
すると、相手側から声が入ってきた。
「聞こえるか。応答してくれ」
それは男の声だった。
「この戦艦おかしいですね・・・。突然レーダー上に現れた事になっています」
「何っ?」
ロンはマイクを取り、応答した。
「こちらSIRN軍所属ロン・テムジン大佐だ。そちらは?」
「テムジン隊長ですか。ハハ、久しぶりです。モノ・・・、いえ、ユウキと言えば判りますかな?」
ロンは目を見開いた。
「ユウキなのか!?よく帰って来た・・・」
「フン、そろそろ立場を弁える準備でもしておいてください。直に上からものも言えなくなる」
そう言って、一方的に通信が切られた。
「ユウキって、あの派遣隊のですか?」
「あぁ、ヤケに帰りが早いな。まぁ、無事でよかった」
ロンは港に向かい、歩いて行った。

数人の兵士とロンが出迎える中、大破した戦艦が港に入ってくる。
ロンの横にいた兵士が耳打ちをして言った。
「派遣隊のメンバーは派遣前に無条件で昇格しているみたいですよ。ちなみに、ケイゴ・ユウキは少佐まで昇格しています」
ロンは驚きと焦りを感じたが、表情に出さないようにした。
そして、艦のドアが開き、1人の人が降りてきた。
それは、以前より髪の毛の伸びたユウキだった。
目の錯覚か、少し大人びた様にも見えた。
ロンは降りてきた彼の前に立った。
彼は嫌味なのかユウキにこう言って出迎えた。
「良く戻ってきたな、『モノトーン・アリエル』少佐」
すると、ユウキはフッと微笑を浮かべた。
そしてこう言った。
「多くの仲間を失いましたがね」
ロンはハッとした。
ミヤケとナツメの姿がない。
「ミヤケとアカマはどうした」
ユウキは感情を込めずに、こう言い放った。
「死にましたよ」
ロンは驚愕した。
ユウキはそのままその場を去ろうとした。
ロンの横を通り過ぎようとした時、ユウキが言った。
「私の名はモノトーン・アリエルで合っていますよ。嫌味で言ったのでしょうがね」
彼はそう言い残し、去って行った。

セナたちは、見慣れぬ軍服の男を見つけた。
「何処の軍だろ?」
メディナが言った。
「・・・あれ、ユウキじゃないか?」
ジークが言った。
セナはその人物をよく見た。
そして、確信した。
「ユウキだ!帰ってきたんだ!!」
セナが走り出し、2人もあとを追った。
「ユウキ!!」
セナがユウキに呼びかけた。
すると、ユウキは止まり、3人の方を見た。
「帰って来たんだな!」
喜ぶセナを見て、ユウキが聞いた。
「お前の年齢はいくつだ」
突然の質問に一瞬動揺した。
「何だよ。この間20歳になったけど、それより先になんか」
セナが話しているにも関わらず、ユウキが言った。
「時の流れ方が早いのか、あちらは」
意味の判らない事を言うユウキを見て、ジークはハッとした。
以前ハッキングをして見たデータ。
そのパラレルという所の事を言っているのか、と察したのだ。
「歳を取ったな、ユウキ」
ジークの言葉に、セナとメディナが反応した。
そして、ユウキの顔を見る。
ジークの言う通り、彼は大人びているように見えた。
「それに、早い帰りだったな」
ユウキは、ジークを見た。
「(察しがいいな。何か知っているのか?まぁいい)」
彼は色々考え、返答した。
「私はユウキなどではない、モノトーン・アリエル少佐だ。言葉を慎め」
そう言い残し、ユウキは行こうとした。
そこにセナが叫んだ。
「何だよ、みんなお前の帰りを喜んでんのによぉ。その態度はなんだよ!!」
ユウキは気にせず、そのまま歩いていく。
「シカトかよ。それに、ミヤケとナツメはどうしたんだよ!!」
ジークとメディナがハッとした。
ユウキは歩いて行きながら言った。
「お前たちの上官にでも訊くんだな」
そう言って、3人の前から消えて行った。
セナたちは、ユウキの変わり様に唖然としていた。


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