なんちゃって妄想ワールド(Memory)20


リカバーにいた兵士十数人程度をユウキの戦艦のクルーとして搭乗させた。
ユウキは、殆ど壊れているブリッジにクルーたちを呼んだ。
「一時的とはいえ、君たちは私の部下となる。期待しているよ」
ロンから聞いていたイメージとは相反し、とても優しい言葉を発した。
クルーたちは活気良く応答し、すぐに各員配置についた。
「テムジン大佐と話をしてくる。適当に寛いでおきたまえ」
そう言って、ユウキはブリッジを出た。
クルーたちはユウキがいなくなるのを確認し、話し始めた。
「おい、ウワサと全く違うじゃねぇか」
「めっちゃ優しいで、アリエル少佐」
「俺、本国帰ったら上官に志願してみようかな。アリエル少佐の部下になりたいって」
「思った。俺もしてみようかな」
各自色んな感想を述べていた。

サミズブリッジにユウキが姿を現した。
「どうかしたのか」
ロンがユウキに訊いた。
「すぐに出港してもらいたい。これは急ぎの用なのでな」
ユウキはそう申し出た。
「話してくれてもいいのでないか?何を運ばせようとさせているのか」
「前にも言ったであろう。あなた方が知る必要はない」
ユウキはそう言い放ち、ブリッジを出て行った。
そして、サミズは出港した。

ユウキは士官室にいた。
「さて、上の連中はどう出るか。予定を早めてくるか」
何かの資料を見ながら呟いていた。
「仕掛けてきてもらった方が、こちらとしては好都合なのだがね」
デスク上にあった機械をいじり、起動した。
その画面には、何か人型の物体が映っていた。
「これが糧となる。双方のな」
ユウキは不気味な笑い声を出した。

数時間後、サミズは、リカバーから本国までの距離の半分の地点に来ていた。
その時、オペレーターの1人がレーダー上に何かを発見した。
そして、次の瞬間警報アラームが艦内に鳴り始めた。
「隊長!この熱量・・・、戦艦クラスの物です!!」
「連合か?こんな時に・・・」
ロンはため息をついた。
「いえ、識別不明です」
「海賊とでもいうのか。攻撃してくる様子は?」
ロンがそう言った瞬間、敵から攻撃が開始された。
「チッ、やる気満々か。戦闘機部隊を出させろ!!」
指示を出し、戦闘態勢に移ろうとした。
そこに、通信が入ってきた。
『テムジン大佐、私が出る』
それはユウキだった。
「出る!?そっちの艦には機体など搭載していないだろう」
『いう事を聞け。いいな』
ユウキは上官であるロンに向かい、命令口調で言い、通信を切った。
「なんなんだよ、あいつは」
ロンが愚痴を言った。
「どうするんですか?」
ピットがロンに訊く。
「パイロットはコックピットにて待機させる。あの自信、どこから出てくるか確かめさせてもらう」
ロンはユウキを試す事にした。

ユウキは格納庫に向かい、何か機体に乗っていた。
そして、そこからクルーに指示を出していた。
「凍結解除。固定アームパージ。ボックスオープン」
水色の箱の中から冷気の白い煙が出始め、箱が完全に開いた時、その中に機体が立っていた。
人型で二足立ちしている。
「ゲート開放。出撃用意」
戦艦の一部が開き、外が見えた。
「モノトーン・アリエル、ディス発進する。ここでこれを失うワケにはいかんのでな」
それは、ユウキが任務先から持って帰ってきた、ディサイション・パワードだった。
ユウキの乗ったディスは、敵を討つべく出撃した。

突如ユウキの艦から現れた物体を、ロンはブリッジから見ていた。
「なんだあれは・・・」
全てのクルーは絶句していた。
「これがあいつの、俺たちが輸送している物なのか」
ロンはあれが輸送中のモノなのだと気付いた。

ユウキは単機敵部隊に特攻していた。
「上層部もチャチなモノを用意する。沈め」
ディスの装備するセイバーからエネルギーの様なモノが照射される。
それは敵戦艦を撃ち抜き、撃沈させた。
「こっちの世界では長生き出来んか。早めにかたをつけさせてもらう。
素早い動きで敵を錯乱させ、セイバーで戦艦と戦闘機を撃ち落す。
その時間約1分。
全ての敵が消滅した。
すると、ユウキはすぐに帰艦して行った。

サミズでは、一瞬の出来事に騒然としていた。
「一瞬で・・・」
ロンは言葉を失った。
上層部は凄い事を企んでいる。
戦争を終わらせる気でいる。
そう思った。
「何をしようとしている・・・」
その時、初めて軍に疑念を持った。

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