なんちゃって妄想ワールド(Memory)21


サミズのクルーたちの顔には、安堵の表情が浮かんでいた。
セナたち3人も、甲板から本国を眺めていた。
「本国かぁ。初めてだな」
セナが言った。
「私もー」
メディナも本国へ来るのは初めてらしい。
「俺は何度か来た事あるな。施設がすごいよ」
ジークが言った。
3人は色々な想いを巡らせながら、陸の方を見ている。
「戦争なんてやってなかったら、ここに来るのも楽しいんだろうけどな」
セナがボソッと言った。
「まぁな。ワシントンは巨大都市だし、色々なものもある」
「早く終わらせたいわ」
サミズの一行は、本国へ入国した。

艦を降りると数人の将校に出迎えられた。
「長旅ご苦労だったな」
「ありがとうございます」
ロンが礼を言った。
そこに、ユウキが艦から下りてきて、その場に向かってきた。
「お久しぶりです」
ユウキが将校たちに挨拶をした。
「やはり歳をとるのだな、あちらへ行くと」
「その様です」
2人の会話に、ロンは困惑していた。
何の話か解らないからだ。
「立ち話もなんだ。来たまえ」
そう言うと、将校たちは建物の方へ歩き始めた。
そして、ロンとユウキはその後をついて行った。

ある部屋に入り、その中でロンとユウキが報告をしていた。
将校は、とりあえず、といった風のため息をついた。
「それで、君はあれを戦闘に使ったのだね?」
将校がユウキに訊いた。
「はい。私がその場で判断しました。サンプルは2体持って帰っています。任務の内容では1体あれば十分との事でしたので、問題ないかと」
ユウキが質問に答えた。
「まぁいいだろう」
将校が言った。
そこにロンが口を挟んだ。
「お言葉ですが、少将。あれで一体何をしようと考えておられるのですか、上層部は」
将校はすぐに答えた。
「敵本国を直接討つ為だよ。解るだろう?あれを量産する」
「そんな・・・、あんな物を使うと。あれは強すぎる力だ」
ロンは訴えた。
「何かね。なら、君は討つより討たれる方が良いというのかね?」
その将校の言葉に、ロンは反論できなかった。
「戦争は勝たねば意味がないのだよ。これだけの人、金、物資。莫大な物だ」
確かにそうだ。
ロンはそう思った。
そこにユウキが話を戻すように言った。
「少将。あの戦闘でディサイション・パワードの存在を知った物は、サミズ・バーストに搭乗していたクルーのみです。ですが、あれを見て疑念を感じた者も少なからずいたはずです」
ロンは自分の気持ちとユウキの言葉の一致し過ぎな事に恐怖を覚えた。
「だからどうした」
将校が言った。
「その様な者がいれば、始末しておくべきです」
ロンは驚愕した。
「同胞を殺すというのか!」
ユウキは冷たい目でロンを見る。
「軍の命令、上官の命令に従えない、従わないといえば、任務に支障が出ます」
やり方はおかしいが、正論だった。
「まぁな。だがまだ軍の狗として働いてもらわねばならん。処分を下すにしても、まだ先だ」
将校がそう返答した。
そして、話を変えてこう話始めた。
「テムジン大佐。君の隊に今日付けで転属する兵がいる。あとで引き取りに行ってくれ」
「はぁ」
ロンは気の抜けた返事をした。
「あと、ジーク・マクナルドは特例で少佐に。彼には隊を結成してもらい、更なる戦力として働いてもらいたくてな」
ロンは驚きの表情をし、ユウキは不気味に微笑した。
「まぁ、伝える事はこれくらいだ。長旅からの帰りだからな。今日はゆっくりしたまえ」
将校はそう言い、ロンとユウキは部屋を後にした。

ロンはジークに昇進などの事を伝える為に、サミズへ戻っていた。
「おい、ジーク」
ジークを見つけ、声をかけた。
ジークはロンの方へ振り返る。
周りにはセナとメディナがいた。
「隊長。なんでしょう?」
ジークが訊いた。
「まずはおめでとうと言っておこう。特例でお前の昇進が決まった」
3人は驚いた。
「マジかよ。ジークが昇進って、また離されるし」
セナがガックリと肩を落とした。
「更にな、お前はこの隊を抜ける事になった」
それを聞き、3人は再び驚いた。
「抜ける・・・?」
「どういう事です、隊長」
セナが訊いた。
「ジークは自分の隊を結成し、前線で活躍して欲しいという事だ」
「はぁ」
ジークが嬉しくなさそうな返事をした。
「急で悪いのだが、明日までに出れるよう準備していてくれ」
「わかりました」
ロンがその場を去ろうとした時、セナが言った。
「なら、俺たちの小隊はどうなるんですか!」
「代わりが今日付けで配属される事が決まっている。心配するな」
セナはロンの言葉に失望した。
どうにかしてジークを止めたかったのだ。
なのに、ロンはそっけなく送ろうとしている。
セナとジークに別れる刻が来た時だった。

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: