なんちゃって妄想ワールド(Memory)22


人間のオーラを出していない様な感じだった。
銀髪で長髪の男。
目からは異様な力を感じた。
ユウキはその人物からプレッシャーの様なモノを受けた。
「なんだ、この感じは・・・。これがディスに乗ったパイロットに宿る能力というヤツか」
あちらの世界では、まれにディスに乗ると不思議で不快な感覚に陥る現象が起こるという話があった。
そして、その感覚は強い力の持ち主から発せられるというモノだった。
「神の子か」
何故かユウキはその人物をそう呼んだ。
長髪の男がユウキの方を向いた。
そして、ふと微笑んだ。
「こんにちは」
男はそう言った。
そして、さらにこう言った。
「君の力は強すぎるようだね」
ユウキはその馴れ馴れしい態度より、彼の言葉に反応した。
「なんだお前は」
彼は疑わしい表情で男を見た。
「神の子だよ」
そう言って、男はその場を去って行った。

ジークが隊を去る日が来た。
荷物をまとめ、艦を降りる準備は完了していた。
彼が部屋を出ようとした時、セナとメディナが入ってきた。
「セナ、メディナ・・・」
ジークがセナを見て言う。
「寂しくなるよ、ウチの隊も」
セナが言った。
「戦場である以上生きれる保障はないが、生きていればまた会える」
「そうだな」
2人は近寄り握手をした。
「ガンバッテね」
「メディナもな」
メディナとジークも握手した。
そしてこの日、ジークはサミズを降りた。

その後、ロンが1人の青年を連れてきた。
「1日遅れの紹介になったが、昨日付けで我々の隊に配属となった『マイン・キリサメ』中尉だ」
銀髪の長髪。
昨日ユウキが会った男だった。
「よろしく」
マインは愛想良く挨拶をした。
「よろしく」「ヨロシクね」
セナとメディナも返事をした。
「仲良くな。じゃあ今から彼に艦内を案内してもらいたいのだが・・・」
ロンが誰かを指名しようとした所で、マインが言った。
「彼に案内してもらってもいいですか?」
それはセナの事を指していた。
「んまぁ、じゃあセナ頼むわ」
「了解しました」
セナは、マインを連れて艦内を回り始めた。

「えっと」
「僕はマイン。君はセナ君だったね」
セナの言いたい事を見透かした様に答えた。
セナは気まずそうに頭をかいた。
「ここが食堂な。だいたい皆ここでたむろってるよ」
他に格納庫やブリッジなどを回り、最後に自室へ来た。
「ここが俺のいる部屋。2人部屋なんだけどな、前一緒だった奴は転属して。だから、マインはここを使うといいよ」
セナがそう言った。
その時、彼は気付いた。
マインはジッとセナの顔を見ていた。
「・・・?俺の顔になんかついてるか?」
セナが訊いた。
「君とは仲良くやれそうだよ」
マインが微笑みそう言った。
セナは不思議そうな顔をしたが、ふと明るい表情になった。
「そうだな。これからよろしくな」
セナが手を出し握手を求めた。
「僕こそね」
新しい仲間とは、気が合いそうだった。

ロンとユウキは応接室で話をしていた。
「お前は本気で言っていたのか?仲間を殺すなどと」
ユウキは微笑してこう言った。
「またその話ですか。物分りの悪い人ですな」
小馬鹿にするような言い様だった。
ロンは机を叩き、ユウキを睨みつけた。
「セナ・ケレイト。ヤツは邪魔になりそうに思えて仕方がない」
ユウキの言葉にロンがキレた。
「それは単にお前の私情だろうが!どういう理由か知らんが、私の部下に手を出す事は許さん!」
それをユウキが冷たい目で見ていた。
そしてこう言った。
「あなたも上層部に疑念を持っている。覚悟しておいた方がいいですよ」
ロンは凄い形相でユウキを睨み続けた。
ユウキは立ち上がり、部屋を出ようとした。
彼は出る寸前にこう言った。
「連合が近々攻めてくるでしょう。殺される前に死なないよう気をつけておいた方がよいと思われますが」
そう言い残して部屋を出て行った。

一方、某連合軍基地で、ワシントン侵攻が本格的に始動しようとしていた。
そのメンバーの中にはマイとディランの姿もあった。
「本当に終わらせる気かな?これで」
マイがディランに訊いた。
「さぁな。でも、これで終われば早くカタがついていいだろう」
ディランがそう答えた。
彼は治療を受け、どうにか正常な状態を保っていた。
「あのさ・・・」
「何?」
ディランが何かを言い掛け、マイが訊いた。
「俺、もうそんな生きれないって。やっぱコイツが足引っ張ってるって」
そう言って義手の腕を掴んだ。
「・・・副作用?」
マイが訊いた。
「そうらしいな」
ディランは前を向いて言った。
「また俺がああなるか判らない。だから、お前とは別小隊に所属させてもらったよ」
マイは驚いた表情で彼を見た。
「そんな!?最後まで一緒に戦うって・・・」
「ごめんな。でも、最後まで迷惑掛けれんだろ?」
それはディランの覚悟だった。
そして、出陣の時が来た。
2人は別々の艦に乗る事になっている。
最後にディランがこう言った。
「例の彼と、うまくいければいいな。こんな世界でなけりゃ、こんな複雑にならなかったかもしれないのに」
「過去に『もしも』はないよ」
マイが少し悲しそうな顔をして言った。
2人は向き合い、握手をした。
「死ぬなよ」
「ディランもね。生きて帰ってまた話そう?」
「あぁ」
そして、戦争前の最後の話をし、別れた。

それから2日が経った。
ワシントン基地では、連合の軍団をレーダーで発見していた。
「本国へ直接攻めてくるとは。正気か・・・?」
上官たちがざわめいていた。
「防衛線を強化しろ!陸に上げるな!!」
SIRN側は海戦で止め様としていた。
「アリエルをあれで出させろ!一瞬でカタをつける」
ユウキにも命令が下る事となった。
そんな中、冷静な面持ちで連合の艦隊がいる海の風景を眺めている人物がいた。
「心配しなくても負けない。何かあっても俺たちがいるしな。今は邪魔させない」
そう独り言を呟いていた。
リーチ・ブエル、彼だった。
優秀な上官。
数々の戦果も上げている。
この戦闘の結果を知っているかの様な言葉にも聞こえた。

サミズも艦隊の中で前線に投入され、ユウキもディスのコックピット内で待機していた。
セナとメディナ、マインは念の為の陸防衛網として配置されていた。
「それで戦うのか?」
セナがマインに訊いた。
彼が持っていたのは、長身で両刃の斧だった。
「いつもこれだよ。僕はこれでしか戦えないから」
マインはそう言った。
彼らはこの戦闘が今後に大きな影響を与えるとは、予想だにもしていなかった。

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