なんちゃって妄想ワールド(Memory)25


セナたちは一度基地に招集され、新しく隊を編成されていた。
そして、セナ・メディナ・マインの配属先が決まった。
アリエル隊。
後にユウキの意思でモノトーン隊となる隊だった。
セナはそれを不服に思い、メディナは彼を宥めていた。
「そんなに嫌なのかい?彼の下につく事が」
マインがセナに訊いた。
メディナがそこに割り込み、言った。
「あっ、昔からずっと同じくらいの実力だったから。先越されたのが悔しいのよ」
セナは彼女にフォローされ、マインはそれで納得したようだった。
そこにユウキが来た。
「仕組みやがったな」
出会い頭にセナが突っかかった。
ユウキは見下した感じに彼を見下ろしこう言った。
「心外にもほどがある。私の下についたからにはちゃんと働いてもらう」
セナは彼を睨んだままだ。
メディナがセナの体を掴み、殴りかからない様に止めている。
すると、周りからアリエル隊に配属された兵士たちが駆け寄ってきた。
「光栄です!アリエル隊長!!」
「まさか隊長の下につけるとは」
「全力で戦います!」
ユウキはとても信頼されているようだった。
セナとメディナは驚いた様子で顔を見合わせた。
2人の表情を見て、ユウキが言った。
「君たちも彼らの様になってもらいたいものだ」
そう言い放ち、彼はその場を去った。
セナは何故ユウキが過剰なほどに信頼されているのか、全く理解できなかった。

セナたち3人は休憩室にたむろし、沈痛な面持ちでいた。
「隊長・・・。俺はあいつを信じれない」
マインは紙コップに入っていた飲み物を飲み干し、ゴミ箱に捨てた。
そして、こう言った。
「君がどう足掻こうと、どう叫ぼうと、彼が君の上官になった事には変わらない」
それを聞き、セナが訊いた。
「じゃあ、マインはあいつが信じれるのか?」
マインは遠くを見据える様に目線を流し、言った。
「信じられなくても、従わないと。君は自分の信じた正義を疑うのかい?」
セナの心の中を知っているかの様な話し方だった。
言い返せず、彼は俯いた。
マインは微笑み、セナに言った。
「君は強い。いずれ世界を変えれる力さえ手に入れれる。僕にはそんな気がするよ」
すると、その時マインのつけていた腕時計のアラームが鳴った。
彼はそれを止め、何か物悲しげな顔をした。
そして、こう言った。
「行くね。もし、また会えたらいいね」
彼は部屋を去って行った。
その言葉の意味が判らず、セナとメディナは困惑していた。
「別れの言葉?どういう意味だ・・・」
「でも気になるわ。追ってみる?」
メディナがいつになく積極的だった。
「あ、あぁ。行こう」
セナとメディナはマインのあとを追った。

管制室内で、1人の兵士が異常を感知した。
「格納庫に誰かいる・・・」
その時、基地中に警報が鳴り響いた。
警報ランプで赤く染められる基地内。
指揮官がすぐに管制室に入ってきた。
「異常は何処だ!!」
「恐らく格納庫です!何者かが無人の格納庫に」
指揮官はそれを聞き、その画面を見た。
そして、顔色が青くなっていった。
「何故ここに入っている・・・。ここは一部の人間しか・・・。今すぐ不審者を捕らえろ!」
その格納庫とは、上層部でも一部の者しか入れない、ディスの保管されている場所だった。

セナとメディナはマインを追跡中に騒ぎにあった。
「まさか、マイン!?」
2人は急いで彼の向かった方へ急いだ。
すると、廊下の次の角を曲がった突き当たりの部屋のシャッターが閉まっていっていた。
「格納庫か?!こんな所に」
「急いで!閉まりそうよ!!」
2人は全力で走った。
「間に合えぇぇぇ!!」
セナは滑り込み、ギリギリでシャッターの向こうへ入れた。
メディナは間に合わず、閉ざされたシャッターの前で止まった。
「セナ!無事?!」
「あぁ、大丈夫だ」
セナは辺りを見渡した。
すると、左前の方で何かが燃えているのが見えた。
そして、そこに誰かが立っていた。
その人物はセナに話しかけてきた。
「セナ君だね。待っていたよ」
バチバチと音を立てて燃える炎の灯でその人物の顔が見えた。
「マイン・・・?!」
スプリンクラーが作動し、頭上から水が降り注いできた。
「君ならここに来れると思った。来てくれると思ったよ」
マインはいつのも優しい表情をしながら話してきた。
「どういうつもりなんだ。何の騒ぎだ、これは!」
セナは彼に事情を訊こうとした。
「神より使われし使徒。そして、人間の作り出した神。人造神」
マインは突然意味の判らない事を喋り始めた。
「両者とも2つの鍵を手に入れた。扉はもうすぐ開かれる」
「何を言っているんだ、マイン・・・」
セナは困惑するばかりだった。
「思い上がった人間の気取った神。全てがそこにあった。人間が人間を造り出し、そして壊す。人形の様に」
一方的に何かを喋るマイン。
「セナ君。鍵が何か判るかい?」
突然訊かれ、セナは戸惑った。
「1つはこのディス。そして、もう1つは・・・核だよ」
このディス。
セナはマインの後ろにあり、燃えている物がディスだと判った。
「片方の1つの鍵は壊した。でも、まだあと3つある。扉が開かれる事は必至。誰にも止める術などなくなった」
「マイン・・・、これ以上喋るな」
セナは彼の話す事が虫唾に走った。
だが、マインは止めようとしない。
「でもね、開いた物を再び閉じる事は出来る」
マインは喋り続ける。
「セナ君、君たちの様な人たちによってね」
セナは目を見開き、驚いた。
「君たちには力もあるし、知った事も多い。だから君を狙う人がいるんだよ、味方の中にも」
彼は全てを知っているのか。
セナはそう思った。
「きっとこれから全てが判る刻が来る。僕は君に真実を知ってもらい、止めてもらいたい」
マインがそう言った。
すると、彼の言葉が止まり、マインは自分の腕を押さえていた。
彼はフッと微笑み、こう言った。
「もう時間がないみたいだ。僕の体は直にいう事を利かなくなる」
「どういう事だ?!」
「オリジナルといえど、所詮は人形だからね。きっと細工はされていると思った」
マインの表情が徐々に苦しそうになっていた。
「このままじゃ当初の予定通りの結果になってしまう」
「どうすればいいんだ!」
セナが訊き、マインがまた微笑み答えた。
「僕を殺すんだ」
セナは驚愕した。
「僕を殺してくれ。でないと君たちが滅びる事になる」
「そんな事・・・!!」
セナは拒絶した。
「君たちは生きる資格がある。使命がある。君が僕を殺さなかったら、君の仲間も死ぬ事になる」
マインは苦痛に耐えながらセナに伝える。
「心配しなくてもいいよ。僕は死んでも、死なないから」
マインは持っていた愛用の斧を思い切り天井に向けて投げた。
斧は天井に突き刺さった。
その行動は、もしもの時に、セナにあれで危害を加えないためだった。
「さぁ、君の手で僕を」
その時、マインは突然セナの方へ突進し、殴った。
「もう・・・、時間が・・・」
彼の体が制御出来なくなっていた。
「早く・・・、でないと、君の仲間も・・・」
セナの中で何かがキレた。
それは、2回目の感覚だった。
マインを殴り倒し銃を抜き、彼の頭部に銃口を突きつけた。
「・・・・・・」
セナは黙っている。
「それでいい」
マインは苦しみながらも微笑んでいた。
「・・・・・・・・・」
セナは無心の状態になっていた。
「結末は・・・。いや、よそう」
マインは最期に言おうとした事を、止めた。
「・・・・・・・・・・・・」
次の瞬間セナは引き金を引き、銃声が聞こえた。
マインの首から上が跡形もなく吹き飛び、セナに大量の返り血が噴いてきた。
血で赤く染まった頬に、一筋の涙が通り、セナは上を見上げた。
降り注ぐ水で、涙は流され、返り血も流れていく。
その時、後方でシャッターが開いた。
「大したものだな、セナ」
その声はユウキだった。
「・・・仲間を殺したんだ。何が・・・」
「神の子は裏切り者だった。お前のとった行動は正しい」
その言葉は、今のセナの気持ちを逆撫でする様な気にさせた。
セナは地面に手をつき、嗚咽を漏らしながら泣き崩れた。
「何で・・・、何でみんな俺から離れていくんだ・・・」
これまでにない、心の最深部まで破壊された、とてつもない悲しみに襲われた。

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