なんちゃって妄想ワールド(Memory)28


「どこまでも邪魔をする気か、ナツメ」
ユウキが嫌気をさした様に言った。
「あんたはここで死すべきよ。その力で全てを滅ぼす前に!」
銃弾を装填し、さらに銃を撃ち続ける。
ユウキも間を置き、銃で応戦した。
「ハッ!誰が死ぬものか。志達せぬまま死ぬ気はないっ!!」
彼は物陰から物陰へ移動し、少しずつ自分の配置を良くしていく。
「あんたの信じた正義がここにはあった。違うの?!」
この言葉の中に、ナツメの躊躇いがあった。
まだ心の中で、多少なりとも彼を、仲間を信じたいと思っていたのだろうか。
だが、ユウキは冷たくそれを振り払った。
「偽善者共の語る正義のどこに正義があるっ!!最初っから誰として信じて事はないぃっ!!」
ユウキは怒りを放つかのように銃を連射する。
ナツメはコンテナの陰に移動し、応戦した。
「この世界の行く末が見れずに、残念だなっ!そろそろ終わりにしてくれる」
ユウキは一丁の銃を抜いた。
それは、セナの持つ強力な破壊力を誇る銃の量産型『バスター』だった。
コンテナに向け発砲した。
すると、コンテナが砕け、崩れ始めた。
「何っ!?」
ナツメは瞬時にその場から離れた。
ユウキはニヤリと微笑し、刀を抜いてその方向に走った。
ナツメはどうにか難を逃れ、体勢を立て直そうとし前を見た。
その瞬間刀が振り下ろされ、ナツメの前髪を掠めた。
「黄泉路への引導は私が渡してやる。有難く受け取れ!!」
ユウキは刀を横に振り、ナツメはそれを避けた。
するとユウキは左手で銃を抜き、流れのまま撃った。
ナツメがその勢いのまま左に避けた。
「消えろ!」
ユウキがナツメの懐に入った。
そして次の瞬間、ユウキの刀がナツメの腹部を貫いた。
「ウ・・・ガッ・・・」
ナツメが苦痛に滲んだ声を出し、地面に膝をついた。
さらに数発の銃弾を浴びせ、ユウキが言い放った。
「それはくれてやる。後悔は死んでするんだな」
ユウキはナツメの横を通り過ぎ、セナたちの向かった格納庫を目指そうとした。
「待ッ・・・テッ・・・」
最期に振り絞って出した言葉は、ユウキの元へは届かなかった。
歩いて行くユウキの後方で、ナツメの体が砕け散った。

ナツメに言われた通り、格納庫を目指す2人の前に、あの隊が現れた。
アリエル隊だった。
その瞬間、セナは悟った。
マイの身に何かがあったと。
最悪の場合の事も脳裏を過ぎった。
「どうするの?セナ」
「走るんだ。格納庫へ!」
セナはメディナを押し、格納庫へ向かう通路を走った。
向かってくる敵を迎撃しながら走っていく。
しかし、それではらちが明かなかった。
「先に行け!この程度の数なら問題でない」
メディナはセナを信じた。
メディナが行ったのを確認し、セナは狭い通路であの銃を使った。
バスターのオリジナルとなった銃だ。
「砕け散れ」
セナの放った一発の銃弾が、一直線上にいた兵士を撃ち抜いた。
それでほとんどの兵士が死に、残りの兵士もすぐに片付けた。
彼はすぐにメディナの後を追った。

格納庫でメディナは待っていた。
すぐにセナが追いつき、戦闘機に乗ろうとする。
そこに、ユウキが追いついた。
「逃がさんよ!!」
「クソッ!あと一歩だったのに」
セナが戦闘機のコックピットからユウキに向けて発砲する。
するとユウキは後退し、物を盾に隠れた。
セナはコックピットから降り、ユウキの相手をする事を決意した。
「メディナ!先に行け!!」
すでに出撃の出来るメディナに、セナが言った。
「させるか!!」
ユウキが銃を構えた。
だが、セナが銃を撃ち牽制した。
「必ず追いつく!だから!!」
メディナは苦渋の選択を選ばされる事になった。
しかし悩んでいる時間はない。
今までセナが嘘をついた事があったか。
さっきだって嘘をつかなかった。
それが彼女に答えを出させた。
「うん、わかった」
メディナはミサイルを撃ち、ゲートの扉を無理やり開いた。
そして、機体を出撃させた。
「チィッ」
「お前の思い通りにはならない」
ユウキにセナが言った。
「ならば貴様だけでも葬ってやる」
ユウキは残りの戦闘機全てにバスターを撃ちっ放した。
それは的確にエンジンを仕留め、機体は爆発炎上する。
煙に反応し、スプリンクラーが作動する。
セナの退路が絶たれた。
だが、戦況はセナの方が有利だった。
バスターの撃ち過ぎでユウキの腕に限界がきていた。
だが、余裕を見せる彼はこう言った。
「私の部下たちが来たと思うが」
「全て倒した。俺の大事な人のお陰でなぁっ!!」
セナは銃を連射した。
ユウキは確実に避けつつ反撃する。
「お前はナツメも殺した!仲間であった彼女を!!」
その時、セナは3度目の感覚に陥った。
何かがキレ、無の感じになる。
そして、それが人並みを外れた戦闘能力を発揮する。
それを見てユウキが微笑した。
「貴様とてその力を使い、私情で幾人もの人間を殺した!!」
セナに向けてユウキが言い放つ。
「裁く権利もないのに、欲望のままに!!」
「お前に何が解る」
2人は激しい銃撃戦を繰り広げる。
「最も真実に近い人間が、己の力も知らずに何を生きる!!」
ユウキが何かを話し始めた。
「使い道も判らぬまま、無駄に呆け!邪魔になるならここで消す!!」
「お前では俺を倒す事など出来ない」
無心のセナはユウキと互角かそれ以上に渡り合っていた。
「だがどれほどの力を持っていようと私を超える事など出来ん!!」
するとユウキは、ポケットから取り出した何かを床に向けて叩き付けた。
次の瞬間、激しい閃光が格納庫全体を覆った。
セナは不意に目を閉じてしまった。
そして、形勢は逆転した。
ユウキの放った銃弾がセナの右足を射抜く。
セナの右足に激痛が走り、そのままバランスを崩して倒れた。
立ち上がろうと膝を立てた時、自分の頭に何かが点き付けられている事に気付いた。
「所詮はその程度だったと言う事だ」
ユウキはそう言い放ち、躊躇う事無く引き金を引いた。
その瞬間、セナの頭の中にこれまでの事が走馬灯のように流れていく。
あそこでユウキと再会したこと。
再び軍に入り、仲間たちと出会ったこと。
共に戦ったこと。
戦場で彼女と会ったこと。
仲間と泣き、笑い、喜びを分かち合ったこと。
出会った人たちと、最後は再び分かり合えたこと。
さようなら。
セナは最期にそう思った。
頭を撃ち抜かれ、ナノシステムによって粉々に砕け散るセナ。
ユウキはその光景を冷たい目で見ていた。
スプリンクラーの水が赤い血を流していく。
ユウキは顔を上に向けた。
顔全体に水が降りかかってくる。
「何故こんなものが私の中から出てくる。まだ奴が生きているというのか」
ユウキは泣いていた。
だが、それはモノトーン・アリエルが流した涙ではなかった。
モノトーンの心の奥で微かに生きていたケイゴ・ユウキの感情だった。
そこに1人の男が来た。
「人の敷地内で派手にやってくれたものだな、モノトーン・アリエル」
それは、リーチ・ブエルだった。
「貴様が本命か」
「フッ、それは言えないが」
リーチはユウキを見下した風に言った。
ユウキは彼をそれ以上相手にしなかった。
そのまま格納庫を出て行き、自分の艦へと戻って行った。

その後、ユウキは顔を仮面で覆うようになり、モノトーン・アリエルとしてその名を轟かせていく。
新しいメンバーでモノトーン隊を結成。
その中にはジン・カミノ、イースト・トオル、ビー・リバー、ハウル・カイがいた。
ジークとも再会し、一時的にだが共闘する事となる。
メディナはその後エクアルへ亡命。
困惑する世界の中、新たなる主人公たちを中立の世界へ導く担い手となる。
これは、戦火が広がる前の記憶だった。

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