ディサイション・パワード 第4話「仲間」


「ミイ、こっちで合ってるのか?」
不安げに焔が云う。
「ホムラ・・・私のディスを信じられない?」
焔はハイハイといった感じで流した。
「あのボウヤのディスから出ているエネルギー反応がまだ残っているのが確認できる。間違えてはいないな」
美衣をヨーランがサポートした。
「しっかし何処に向かうってのかねぇ、あのボウヤは」
「先にあるのは・・・研究所?」
ヨウのディスから出ているエネルギー反応のあとを追っていくと、1つの研究所に着いた。

3機はその敷地内に降り立った。
建物越しにヨウのディスも確認できた。
「こんな所に何の用があるってんだ」
「文句云わないの。入るわよ」
建物はすでに廃墟と化していた。
そこにあるシステムは全て落ちていて、復旧するには無理があった。
「この機械ももう無理みたいね・・・。あの子何処に行ったのかしら」
美衣が部屋の中を軽く物色しながら云った。
「ミイ、ヨーラン!あっちから機械音みたいなのが聞こえるぞ」
「ほぉ、まだ動く物があったのか。じゃあそこに居るかもな」
3人は音のするほうに向かった。
ドアを開け、部屋の中に入った。
そこに居たのは白衣を着た1人の研究員だった。
「珍しいねぇ、こんな所に人が来るなんて」
研究員は3人に見向きもせず機械を操作し続ける。
「あの、男の子が来ませんでした?」
美衣が研究員に訊いた。
「この部屋には来ていないよ。他の部屋から物音が聞こえるからそこにいるかもね」
見ず知らずの人間が自分のいる建物の中に無断で侵入しているというのに、焦る様子も見せずに操作し続けている。
「ミイ、探して来い」
「えぇー、私?!何でぇ」
嫌がる美衣にヨーランが楽しそうに云った。
「若いモン同士の方が話が弾むだろ?」
美衣は呆れながら渋々ヨウを探しに行った。
美衣が部屋を出たあとにヨーランが研究員に訊いた。
「ここは何の研究所だったんだ?」
「研究なんかじゃないよ。発電施設だ」
3人が研究所だと思っていたのは、昔発電所として使われていた建物だった。
「あんた1人か?ここに居るのは」
「あぁ、みんなここが放棄されると聞いて逃げて行ったよ」
「てか、あんた何歳だよ」
真剣に話をしている2人の中に焔がいきなり割って入った。
「一応26だが」
2人は研究員の意外な若さに目を見合わせた。

その頃、美衣は最後の部屋に入ろうとしていた。
「スゥーッ」
深く息を吸いドアを勢いよく開けた。
いきなり開いたドアに驚き、中にいた人が美衣の方に向いた。
「あー、こんな所に」
美衣はやっとヨウを見つけた。
「なっ、お前何でここに」
「何でって、あんたを追いかけてきたのよ」
ヨウは呆れた風な表情をし、また何か作業を始めた。
「何ゴソゴソやってるのよ」
「発電システムを復旧させてるんだ。五月蠅いからあっち行ってろ」
美衣はブスッとした。
「そんなすぐに作動させれるはずないでしょ」
「最小限でいいんだ。すぐに出来る」
ヨウがキーボードのキーをカチッと押した瞬間、一部のシステムが起動した。
「えっ?何で動くのー?すごいじゃん!」
「いちいち五月蠅いんだよ。少しは黙ってろ」
美衣はまたブスッとした表情をした。
そして、何かを思い出した事を云った。
「そういえば君の名前訊いてなかったよね?」
「知らなくていいだろ。これ以上関わる事もないんだ」
「いいじゃない、名前くらい!」
ムキになった美衣にヨウはまた呆れた。
「睦月 ヨウだ。もういいだろ、俺は行く」
足早に部屋を出ようとしたヨウに美衣が訊いた。
「ちょ、何であれ起動させたのよ」
「だからお前には関係ないって云ってる・・・ハァ」
そこにヨーランと焔が走って来た。
「ミイ、敵だ!政府のディス部隊が来たぞ」
ヨウは驚き急いで自分のディスの下へと向かった。
「俺たちも戦闘だ。急ぐぞ」
3人も急いで自分のディスのところへ向かった。

「4機も!?」
「豪華なお持て成しだな。いくぞ!」
前に戦闘をしたディス部隊だった。
3機はディス部隊の迎撃に向かった。
「あれ?あの子、ヨウは?」
美衣が云うようにヨウの姿が見当たらなかった。
「あ、いたぞ。さっきの場所から動いてねぇ」
ヨウのディスは3人がここに来た時と同じ位置にいた。
「やっぱり今は違うとはいえ戦い辛いんだろ」
ヨーランがヨウを気遣うように云った。
「無駄話はそこまでだ、来るぞ!」
4機は3人に向かってきた。
「おぉぉい、ヨウは何処だよ!!」
ジミュートが苛立ち気に云い、セイバーを振り下ろした。
ディスの機動性を活かし回避する。
そこにヨウの声が入ってきた。
「さっきの3人、これの射線上から退避しろ!」
ヨウのディスは何か大きな物を持っていた。
何がなんだか分からない3人は云われるがままに退避した。
「ジミュート、敵が散開したぞ」
「見りゃ分かる!」
その時、発電施設の方から巨大な電磁波の反応が確認できた。
「何か来る!!」
4機は逃げ遅れ、電磁波の影響で身動きが取れなくなっていた。
「今だ!あいつらを倒すんだろ?」
ヨウは吹っ切った様に3人に云った。
動きが鈍くなった4機に3機のディスが襲い掛かる。
「チィ、こんなモンでぇぇ!」
ジミュートの機体が動きを取り戻した。
3機は警戒したが、その機体は自分たちには何もせず、ヨウのいる方へ向かっていた。
「ヨォォォウ!!!」
「ジミュート!?」
ジミュートはセイバーを撃とうと構えた。
しかし、電磁波の影響かいきなり高度を落とし地面へ足をついた。
ディスから降りるジミュートの姿がヨウの目に確認できた。
ヨウもディスから降り、銃を構えながらジミュートの動きを窺った。
そこに1発の銃弾がとんできた。
「ヨウ!お前が何を考えてるかなど知らんがなぁ!!」
さらに銃を連射する。
「やめろジミュート!政府のやり方は間違ってるんだよ!!」
説得しようとするヨウ。
「フン、裏切り者の分際でぇぇぇ!!!」
ジミュートは聞く耳を持たず銃を撃ってくる。
そして、頃合を見計らったかのように再びディスに乗り込んだ。
「逃げる気か?!」
ヨウも急いでディスに乗り込んだ。
オシリス在籍時代、ライバル同士の戦いが始まった。

ディサイション・パワード 第5話「戦闘」

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