ディサイション・パワード 第8話「後悔」


横には白衣を着た人の姿が薄っすら映った。
「目が覚めた?まだ起き上がらない方がいいわよ」
ヨウは云うことを聞き、起こしかけた頭をもう一度枕の上に戻した。
「俺は・・・どうなったんです?」
ヨウは戦闘の途中で気を失ったのでそこの記憶がなかった。
「あなたは気を失っていて助けられたのよ、みんなにね」
白衣の女が云った。
「ミスさん、俺のディスは無事なんですか?」
ミスと呼ばれた白衣の女はさぁ、と答えた。
ヨウがベットから起き上がり、何処かへ行こうとした。
「ちょっと、まだ寝ていないと」
「ディスを見に行くだけです」
そう云って医療室を出て行った。

格納庫の前に来て、中へ入ろうとした。
ドアが開き、そこには焔とヨーラン、リリスやフィン、そして美衣の姿があった。
「ヨウ君!目が覚めたのね」
美衣が喜んで云った。
他の皆も嬉しそうだった。
「あぁ、御陰様でな」
そう云って、ヨウは自分のディスの方へ向かおうとした。
「あ、ヨウ。何処へ行くつもりだ?」
ヨーランがヨウに云った。
「何処って、ディスの所以外に何処があるんだよ」
不思議そうにヨウが云った。
「ディスは修理中何だよ。後にしたらどうだ?」
焔もヨウに云った。
ヨウはあまりにも皆が止めようとするので強行突破した。
「ちょっ、ヨウ!」
皆の間を駆け抜け、一気にディスの方まで走って行った。
他のメンバーはヨウを追いかけた。

ヨウはディスの前に立って唖然とした。
ヨウのディスは、ネットが絡まり損傷をしていた。
そこに皆が駆けつけた。
ヨウが背中を向けたまま云った。
「どういう事だ・・・」
何が起こっていたのか知らないヨウはこの状況が理解できなかった。
「ヨウ、それは」
リリスが気遣って何かを云おうとした。
それをヨーランが止め、真相を話し始めた。
「そうか・・・」
ヨウは信じられないといった様子で俯いて云った。
「でもお前は気にする事はない。艦長もそう云っていた」
ヨーランが付け足した。
しかし、ヨウは真相を聞き決心していた。
「でも俺がコイツで出ればまたそれが起こるかもしれないだろ。迷惑はかけられないさ・・・」
それは、他のメンバーの迷惑にならないよう脱退するという事だった。
「だが俺たちにはお前の力が必要なんだ」
焔が説得した。
ヨウは寂しげに「ありがとう」と云ってディスに乗り込んだ。
無理矢理ネットを引きちぎり、作業員たちを横に避けた。
「おい!どうするつもりだ!!」
「俺にも分からないよ」
ヨウはそういい残して1人出て行ってしまった。
『おい、今出たのはヨウか?」
永原が艦内放送で格納庫に話しかけてきた。
そうです、と壁にかけてある電話で返事をした。
『今すぐ追ってくれ。ミイとリリスに頼めるか?』
2人は了解して自分のディスに乗り込み、出撃した。

2度目の作戦失敗にノゥは3人に集合をかけた。
3人は罰を与えられる事を覚悟し、ノゥの部屋へ向かった。
そして部屋の前に来て覚悟を決め、中へと入った。
「失礼します」
3人はノゥの前に整列した。
ノゥは3人を見て云った。
「君たちの仲間は相当な腕の持ち主らしいな」
何を云われるかと3人は身構えている。
「機体が大破した2人は後で私に付いて来てくれ」
2人、ジミュートと弥生は不思議そうな顔をした。
そこへ3人にノゥが云った。
「睦月 ヨウ。彼は次の作戦で確実に倒す事になった」
その自信に満ちたノゥの発言に3人はハ?という感じになった。
「あれの試験も兼ねて目標にさせてもらう」
ノゥは不敵な笑みを浮かべた。
そこに情報部の兵士が1人部屋へ入ってきた。
「ノゥ隊長。テスト射撃は成功し、目標は消滅しました」
その試験射撃をされた兵器と思われる物がヨウを捕らえ、倒したという報告だった。
3人は唖然とし、その報告が信じられなかった。
「そうか。ご苦労だったな」
ノゥは満足げに云った。
「さて、2人は私に付いてきてくれるかな?」
ノゥは部屋の外に出た。

ヨウは艦を出て1人目的もないまま彷徨っていた。
少し離れた場所には偵察部隊の政府軍ディスが配置されていた。
「目標、発見しました」
「了解。全機射線上から退避」
政府は何かを使おうとしていた。
「長距離射撃用大型レーザー砲、照準」
遠距離からの射撃で敵を攻撃し、敵からの攻撃を受けないようにしてある。
威力は強力だが、命中率が低いのが欠点だ。
「目標、敵ディス。撃てー!!」
号令と共にそれは放たれた。
たった1機に大げさな、という声もあったが政府はこれを使った。
それだけヨウは厄介な存在だったと云うことだ。
ヨウは巨大なエネルギー反応に気付いた。
気付いた時にはすでに回避は出来ない距離にいた。
「クソッ!!」
フィールドを全開で展開し、それを防ごうとした。
その光景を追ってきた美衣とリリスが見た。
「ヨウ君!!」「ヨウ!!」
2人が叫んで呼びかけた。
ヨウはそれに気付いた。
そして、ディスに限界がきていることにも気付いた。
「ミイ、リリス・・・逃げろ」
次の瞬間、ヨウのディスが光の中へと消えていった。
「そんな・・・ヨォォォォ!!」
リリスが叫んだ。
美衣はその光景を信じれずにいた。
『どうなったんだ!状況を説明しろ!!』
コレクションから永原の声が聞こえる。
しかし、2人は反応しなかった。

どうにか2人を回収した。
「どうしてすぐに報告しなかった」
永原が2人に云った。
「すみません・・・」
2人は言い訳もせず云った。
クルーたちは皆信じられないといった様子だった。
ヨウが死んだ。
あの時無理矢理にでも出て行くのを止めていたら。
医療室から出さなければ。
後悔の念が皆の頭を過ぎり続ける。
そこに永原が云った。
「これを乗り切らなければ次に撃たれるのはお前たちだぞ」
そう言い残し自室へと戻っていった。
そして、紫郎もこう云った。
「俺も気持ちはお前らと一緒さ。でもな艦長の云う事が正しい。吹っ切らなきゃいけないみたいだな・・・」
クルーたちは沈黙した。

ディサイション・パワード 第9話「新型」

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: