ディサイション・パワード 2部第1話



ヴィーナス浮上から5年。
人々は宇宙での生活に慣れ、技術も急速に進んでいった。
宇宙上に人々が住む為の場所、『ランド』はすでに3基も完成し、民間人はそちらへ移っている状態だ。
本国防衛の為の自衛軍がもしもの時の為に毎日欠かさずディスで巡回している。
政府では、総合評議会議長として睦月 創が任命され3年が経っていた。
彼は地上で学んできた事を活かし、国民の事を第一に考えている。
それが国民から人気のある理由だった。

ところが、ある日いきなり平和な日々が終わりを告げた。
「ムツキ議長。軍本部から通信が入っています」
仕事中の彼に側近の男が云った。
「繋いでくれ」
モニターに慌しい軍本部の光景とそこの指揮官の姿が映っていた。
「議長!不審な艦が4隻、こちらへ向かってきています!」
「軍艦が?」
創は不思議そうな顔をした。
「奴らが宇宙に上がってきたのか?」
それを訊かれた指揮官が答えた。
「いえ、その様な事は見られていません」
それは、さらに創を悩ませた。
「なら我々を裏切った者たちがいると云うのか」
「それはまだ確認できていません」
創はまだ落ち着いた様子で指示を出した。
「こちらからの通信に応答が無く、もし攻撃をされる様な事があれば自衛権を発動させる」
それは撃墜の許可を意味していた。
指揮官は了解し、通信を切った。
創はため息をつき、とりあえず軍本部へ向かった。

4隻の艦を止める役に、新造艦『スプレット』とそのクルーが任命され、それが初陣となった。
「4隻討つのに1隻だけって、お偉いさんたちはどういう頭してんだよ」
スプレットのクルー『桐島 渉流』が愚痴を漏らした。
彼は18歳で優秀なディスのパイロットだった。
腕前は一流だが言葉遣いがなっていない。
「しかもワシらに出撃命令じゃけぇのぉ。しちメンドくさい」
広島弁で愚痴を云ったこの男は『玉城 魁』。
19歳。そこそこの成績でスクールを卒業。
ディスのパイロットで、この艦のエースだ。
「そんな事云ってたら怒られるよぉ?2人ともぉ」
彼女は『和久井 幟唯』。この艦唯一の女性パイロットだ。
2人の面倒をいつも見ている。
彼女がこのストーリーの主人公的存在だ。
「相変わらず真面目だなぁ、シイは」
楽天家の渉流が云った。
「ワタルたちが気を抜きすぎなんだよぉ」
幟唯が少し怒った。
「あぁ、分かった分かった。俺たちが悪かったよ」
そこに彼らは、艦内アナウンスでブリーフィングルームに召集をかけられた。

「出撃前よ?何さ」
渉流が部屋の中にいた人物に云った。
「まだ戦闘になると決まった訳じゃあない。攻撃を仕掛けられたらの話だ」
それは、スプレット艦長の『飛立 天』だった。
彼は尋常ではない20歳という若さで艦長の座についている。
彼にはずば抜けた指揮能力が認められたからだ。
「つーかお前さぁ、いい加減タメ口きくの止めろよ」
天が呆れたように渉流に云った。
「まぁまぁ、小さい事は気にすんな」
全く懲りていない様子の渉流に、天はため息をついた。

創が軍本部に到着し、その艦の状況を見ていた。
「通信をつなげ」
通信を試みるが、相手からは反応が無い。
「何処の所属だ」
「分かりません。しかし我々の軍の物ではないですね」
創は再度通信を試みるように云った。
しかし依然反応は無い。
その時、艦ではなく別の場所から軍本部に通信が入った。
「国際チャンネルです。どうします?」
「つなげ」
誰からか分からない通信をつないだ。
「聴こえるか。政府軍ヴィーナス」
それは若い男の声だった。
「誰だ。名を名乗れ」
創がその男に云う。
「それに答えるつもりは無い。これより反乱軍改め『エヴェンジ』は政府軍に対し宣戦布告を通達する」
軍本部はどよめき出した。
「復讐だと・・・。イレギュラー共が」
創が男に説明をさせようとした時、通信が切られた。
「い、一方的な宣戦布告のみで通信が切られました」
その時、ヴィーナス軍本部の方へ向かって来た艦隊からディスが出撃した。
「何っ?!やはりあれは奴らの。しかしどうやって・・・。くっ、迎撃開始!」
その命令はスプレットのクルーたちにも告げられた。
「やっぱりね。こうなると思った」
コックピットの渉流が自分の思った通りになったと天に云った。
「命令は今出されたんだ。さっさと出撃しろ」
渉流が面倒くさそうに了解し、3機が出撃体勢へと入った。
「ワタル・キリシマ、いくぜ!」
「カイ・タマキ、出るぞ」
「シイ・ワクイ、いきます!」
水色・黄色・濃桃色の3体のディスが漆黒の宇宙へ飛び立った。


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