ディサイション・パワード 2部第16話



政府軍から離反する事を余儀なくされたアドバンス。
初陣から幸先の悪い事だ。
艦に格納している機体は幟唯・渉流・ケント・天の物のみだ。
しかも味方は居なく、孤軍となってしまった。
「どうるすんだ?これから」
渉流が云った。
クルーは皆考えた。
「すまんな、俺が不甲斐ないまでに・・・。特にケントには迷惑をかけた」
「気にしないでください」
天を気遣ってケントが云った。
そこに黙っていた幟唯が云った。
「艦長はこれからどうするつもりなんですか?」
「もう政府には戻れん立場だ。かと云ってエヴェンジに味方するつもりもない」
エヴェンジにはめられ、こういう状況になったのだ。
味方をするはずも無かった。
「なら何さ。この1隻だけで両軍敵に回して戦うって?」
渉流が呆れたように訊いた。
天が真剣な顔のまま答えた。
「少しでもこの戦争での被害を減らす為にそれと戦うつもりだ」
「私はそれと同意見です」
幟唯が意見を述べた。
天がフッと笑みを浮かべ、そして手元の無線を取った。
「艦長のヒリュウだ。本艦は政府軍を離反し、反乱者としての制裁を受ける事となるだろう」
艦内放送で全クルーに云った。
「この事態は私の責任で起こった様な物だ。よってクルーには責任はない。艦を降りたいものは遠慮なく云ってくれ。ランドまでの足は私が用意する」
天は覚悟を決めていた。
その気持ちを悟った渉流が云った。
「・・・1人で抱え込もうとすんなよ。俺たちもいるんだ」
天が周りにいたクルーたちを見た。
「無理について来なくてもいいんだぞ」
「無理なんかじゃないですよ。俺も決めましたから」
ケントが云った。
天は嬉しそうな顔をして、皆に礼を云った。

ノゥとナツメは新人類開発施設『ホープ』へ下っていた。
彼らはそこにいた少年たちの元へ来ていた。
「あいつらの調整はどうです?」
施設の科学者に訊いた。
「順調ですよ。相変わらず1人は薬を使用しないと保てませんが」
ノゥはここにいる3人の少年たちに目をつけていた。
数回戦闘にも出し、上々の戦果を上げている。
その中の1人は地球にも降下させた。
ノゥは少年たちの所へ近寄った。
「あ、ノゥ」
少年の1人『イルス・クリーク』が云った。
彼が薬なしでは心神共に保てない少年だ。
「久しぶり。どした?今日は」
2人目の少年『タトナス・グレーデン』も云った。
彼は特に問題はなく、成功作と云える物だろう。
そして3人目の少年が部屋の奥から現れた。
「あの艦のクルーが裏切ったらしいねぇ」
「あぁ、大誤算だよ」
彼は新人類のオリジナル。
元となった素体だ。
「あの艦を君たちに任せたいと思ったんだがね、君は大丈夫か?カイ」
ノゥはオリジナル素体の少年をカイと呼んだ。
「関係ないね。元々下等種族としか見てないからね、旧人類共は。命令があったから真面目に付き合ってる風にしてただけさ」
「では君にも任せるよ、カイ・タマキ」
その少年はかつてスプレットに登場していた玉城 魁だった。
「瞬殺だよ」
言語回路も修復され、彼に残された記憶と声しか以前の面影を見るものがなくなっていた。

レボリューションでは今後の行動について話し合われていた。
バルト基地奪取を失敗し、戦力を月基地にて待機させる事を決定した。
「あの新造艦の動きも気になる。タダでは沈まんだろうしな」
ヨウはアドバンスを重視していた。
「ヴィーナス進軍は一時停止だな。奴らの出方を見ん事には」
ジミュートも意見を出した。
他のクルーも賛同し、彼らはしばらくアドバンスにつけてみる事にした。

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