ディサイション・パワード 3部第3話



世界政府側では、ジミュートたちの息子、リオンも戦闘に出ていた。
彼はディス乗りで、BMには乗らない。
装備は両手にトンファを装備し、腰にライフルを装備している。
「次々出てくる、キリがない」
リオンが面倒くさいのか弱音なのか、よく分からない云い方をした。
「集中しろ、やられるぞ」
リオンと防衛軍スクール時代からの付き合いの『ヴュルム・ハイデルベルク』が注意した。
彼もディス乗りで、紫色の機体が愛機だ。
「ミリ、マヤ。まだかよ」
リオンが2人の女性の名を呼んだ。
「機動に時間がかかるの!もう少し頑張って」
『ミリ・ギュンツ』が云った。
彼女もリオンとスクール時代からの付き合いだ。
BMを専門に乗り、操縦技術も中々だ。
「こっちも無理ぃ」
『マヤ・ミンデル』もまだ出撃が出来ない様子だった。
彼ら4人が当時スクールでも有名な4人組だった。
操縦技術があるというのもあるが、何かと問題を起こすメンバーでもあった。
「だからBMなんか止めてディスに、ってアブネ」
2人に文句を云いながら敵の攻撃を避けた。
リオンとヴュルムの2人は、その場を奮闘して守り抜いていた。

ネアンがふと敵本部の方へ目をやった。
すると、味方の軍が一定の場所から侵攻できていないことに気付いた。
「何をしているのだ、不甲斐ない」
イェルがそれに反応した。
「しゃーっ!だったら俺がやってきてやんぜ」
そう云い残してその方向へ飛んで行った。
「いいの?あいつだけに行かせて」
リスがネアンに訊いた。
「わかった、俺も行く」
イェルの性格上、無茶をしかねない。
リスに云われて仕方なくネアンが動いた。

リオンとヴュルムは向かってくる変わったBMに気付いた。
そして、向かってくる機体は勢い良く武器を振ってきた。
2人は散開して回避し、ライフルで応戦した。
「そんなモンで俺のBMを落とせんと思うなよ!」
軽やかな動きで全ての攻撃を回避し、リオンに向かって一気に間合いを詰めた。
「リオン、避けろ!」
ヴュルムが叫んだ。
リオンも必死に避けようとしたが、ディスの反応が遅れた。
「時代遅れのディスがぁ!!」
イェルは長身のナギナタを突いた。
リオンはやられる、と思い、全身の血の気が引いた。
しかし、彼の機体の前に何かが現れ、敵の攻撃はそれに当たっていた。
それは、世界政府の量産型BMだった。
「そんな戦い方じゃ死にに行くようなもんだぞ」
「親父・・・?!」
それはジミュートだった。
ジミュートの乗るBMの左腕にナギナタが刺さっている。
「ジミュート!てめぇ何いきなり傷つけてんだ」
春がジミュートに云った。
「悪い悪い」
そう云って、刺さっているナギナタを掴んだ。
イェルは取られないよう必死にナギナタを引く。
「ならくれてやる」
ジミュートはそのままナギナタを下に押し、左腕を斬りおとした。
「だーっ!だから何やってんだ、お前は!」
春がまたジミュートに云う。
腕がついたままのナギナタをイェルは捨てた。
「ナメやがって、クソ野郎!ネアン!」
ネアンはヴュルムと戦闘をしていた。
ネアンは無言で予備装備の『シュナイダー』を投げて渡した。
イェルがそれを受け取り、攻撃態勢に入った。
「そんな雑魚BMでぇ!」
攻撃をしようとした時、シュナイダーを持っている右腕が撃ち抜かれた。
「なぁ?!」
イェルは衝撃に襲われた。
「ちゃんと戦え、バカ」
春がライフルを1発撃っていた。
そして、さらに2,3発撃った。
イェルは回避した。
その時、撤退の合図である空砲が鳴った。
「イェル、撤退だ」
「云われるまでもねぇよ。そのつもりだっての」
2機はすぐに撤退して行った。
一同は、とりあえず戦闘が終わりホッとした。
その時、リオンが発言した。
「って、なんで親父がBMに乗ってんのさ」
助けられてからずっと疑問に思っていた事だった。
「あー、リオン。その事は黙っていてくれ。民間人をBMに乗せたと上にバレルと色々と、な」
春が苦し紛れに云った。
リオンはそれ以上追求せず、全機は格納庫へ戻った。

湖に浮かぶ島の上に、1軒の小屋があった。
そこには、1人の車椅子に乗る老人の男が住んでいた。
「政府は攻撃を受けたらしいぞ。場所は政府本部近辺だということだ」
老人は誰かに話しをしていた。
会話の相手は20代くらいの若い女だった。
「行くのか?」
老人が訊く。
女は黙って頷いた。
「ワシは止めはせん。だが、復讐は最後に何も残らんぞ」
老人は続ける。
「残るのは、虚しさだけだ。それでも行くか?」
女が口を開いた。
「私にはそれ以外に生きる道がない」
老人は残念そうな顔をした。
女は座っていたレトロな椅子から立ち上がった。
そしてこう云った。
「色々と世話になった、ナガハラ艦長」
女の顔に太陽の光が当たり、顔が見えた。
だが、何故か女は黒いバンダナで目の部分を隠しており、素顔が確認できない。
女は小屋の外に出て行った。


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